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コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: =桜陽炎と空蜻蛉= ( No.13 )
- 日時: 2011/04/17 18:35
- 名前: 生死騎士 (ID: 6U1pqX0Z)
- 参照: 憐君の雑学知識はとっても微妙です。
ミチルが持ってきた弁当やらお菓子やらを食べながら、ワイワイと桜を眺める。
こんな花見も悪くないと思う。
とは言っても、俺の頭の中はあの言葉に支配されていたが。
──『俺が求める答えは、そういうことじゃない。』──
「・・・じゃあどういうことなんだよ・・・」
そう、ため息と共に独り言を吐いた瞬間だった。
「ッ!?」
刹那、桜の木が輝き始めたのだ。
桜は己の色──桜色の光を放ち、徐々にその存在を拡大していく。
桜が目前に迫ってもなお俺達は突然の出来事に驚き、本能的に『逃げなきゃ』と思っても体はなお動かず。
俺達は桜に吸い込まれた。
***
頬に何か異物が当たるのがくすぐったくて、眼を開けた。
そして数秒。
自分の置かれている状況を理解するのに、実に多くの時間を費やしてしまった。
なぜなら俺は、先ほどまで立っていた桜の木の前ではなく、眼下の大きな街が見渡せる程の高さの丘に倒れていたからだ。
・・・棗たちは?
幸い周りを見渡すと、三人とも俺と同じように草の上に倒れていた。
「・・・ここ、どこ・・・?」
棗が起き上がって顔を振る。
八雲は流石に状況理解が早いようで、
「ここは異世界のようだな・・・トリップでもしたか?」
とかなんとかブツブツ言っている。
ミチルは頭が混乱しているようだ。
──『異世界』。
それは俺達が存在するはずもない、世界。
そんな所にとばされたとはどうにも考えにくいが、今はそういうことにしておこう。
なにはともあれ。
俺達は元の世界に帰らなければいけない。
ふぅ。
「面倒なことになった。」
俺は重たい腰を浮かせ、立ち上がった。
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