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Re: =桜陽炎と空蜻蛉= ( No.6 )
日時: 2011/04/05 12:05
名前: 生死騎士 (ID: 6U1pqX0Z)



「れぇぇぇんっ!!」

突然、背後から大きな声。
これが彼なりの挨拶の方法らしい。

「おはよう、棗。」

「ん、おはよー憐。」

最近まで、友達なんていなかった。
それ以前に話しかけてくる奴もいなかった。
この眼のせいで。

クラス替えして、初めて友達になったのがこの棗だった。
俺の噂は学年中に広まってるはずなのに、それでも俺に話しかけてきたこいつは、それなりに物好きな奴なんだと思う。

まぁ「物好き」と言えば、こいつの他にも・・・

「あ、憐君と棗だ。おはよーう!」

「・・・はよ。」

教室の中に入ると、すでに登校してきていた「物好き」二人が手を振った。
八雲とミチル。
この二人は棗の次くらいに話しかけてきた奴だ。

ついでに言っとくと八雲の方は「人間」という存在自体にあまり興味がないらしく、むしろ俺の「特殊」な部分に惹かれて話しかけてきたらしい。
ミチルは誰にでも分け隔て無く接するから。


二人は携帯の写真を見ていたところだった。
綺麗な、桜の写真。

「これね、朝来るときに見つけた木なんだけど・・・」

「皆でお花見に行かないかとこいつが言い出してな・・・。」

どうやら花見の計画を立てていたらしい。

「四人で行こうよ!もうすぐ満開になっちゃうよ!」

ミチルが声を弾ませて言う。
棗が相槌をうつ。

「どうせなら綺麗な時に行きたいね〜」


桜か・・・

俺の、右目の色。


「・・・憐〜?」


気がつくと俺は眼を閉じて、「あの」風景を無意識に思い浮かべていた。


風に吹かれて、散る花弁を。

それを隣で眺めている、


あの子の姿を。



「・・・ん!れーんさーん!?」

眼を開けると、俺の真正面で手を振ったりしている棗がいた。

「だいじょぶ?」

「え?全然。」

きょとんとしている棗を横目に、俺はミチルの方を向いた。

「予定、決まったのか?」

「う、うん。今度の日曜日はどうかな?」

日曜日、ね。

「・・・いいんじゃない?」

「棗は?」

「いいよ〜」

「じゃあ、決定。場所は・・・」






















「あの桜の木の下、で。」