PR
コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: =桜陽炎と空蜻蛉= ( No.7 )
- 日時: 2011/04/06 13:59
- 名前: 生死騎士 (ID: 6U1pqX0Z)
「あの桜の木」=「呪いの桜の木」に、皆嫌がらず来てくれた。
絶対拒否すると思ったのに、さすがは俺を受け入れてくれるだけある。
「わー満開じゃん?」
「おおー今まで見た桜の中で一番綺麗かもな。」
棗が木の真下に立って花を見上げた。
確かにこの桜は他の桜が比べ物にならないほど、綺麗に咲いている。
日光を反射して、花弁が輝いている・・・そんな風にも見えた。
ミチルがその隣でビニールシートを広げて、こちらに手招きした。
「ほら、お団子買ってきたよ。あとお弁当も。」
「よっしゃぁ、団子ぉっ!!」
棗が我先にと食べ物に駆け寄るのをちょっとひいたような眼で見ていると、八雲が声をかけてきた。
「憐」
「うん?」
八雲は桜を指差し、
「この桜、なんていう種類なんだ?」
と聞いた。
「え?ソメイヨシノだと思ってたんだけど?」
彼は違うな、と首を振った。
俺の頭にハテナマークが浮かぶ。
「桜の種類って、ソメイヨシノだけじゃないのか?」
「・・・」
「・・・?」
「・・・ちょっとは常識を知れ。桜の種類は他にもある。」
マジか・・・俺ずっとそれだけだと思ってた・・・
「俺が求める答えは、そういうことじゃない。」
「は?」
じゃあどういうことなんだよ・・・
俺には八雲が言う言葉の意味が理解できない。
八雲はふぅとため息をつくと、「もういい」と言って向こうを向いてしまった。
・・・・・・んなこと俺に聞かれても。
あの子や、お爺さんなら答えられただろうか?
今から一年ほど前、あの子が行方をくらまして、その日にお爺さんまでもが亡くなってしまった。
なにか不自然な感じがした。
同じ日に、こんな事件が重なるなんて普通じゃありえないと思う。
その日も咲いていた、この桜。
そして今日の八雲の言葉。
なにかひっかかるような気がしてならなかった。
──なぁ。お前は何か、知っているのか?
PR