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Re: ダイスキっていいたいよ ( No.24 )
日時: 2011/07/02 21:30
名前: 柚莉愛 ◆VoHZnMKTK2 (ID: zXyKVICa)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode

第15話

それから一ヶ月が経った。
「行って来ます・・・・」
莉環は元気なく家を出た。
あの日以来一度も杏那と話していなかった。
もちろん一緒に登校もしていない。
この日も一人で登校だった。
親友に裏切られた悲しみは莉環の心に深い傷を負わせていた。

一方杏那は葵と待ち合わせして一緒に登校していた。
葵はどちらかといえば莉環とは全く正反対の性格だったが
とても気があってあっという間に二人は仲良くなった。
「今日体育でバレーやるんだって!」
元バレー部の杏那はとても嬉しそうだ。
「そうなの!?私も好きなの!」
葵も嬉しそうだ。
「あ、私いいこと思いついた!」
葵は杏那を手招きし耳元で囁く。
それを聞いて杏那は一瞬凍りついた。
「でも・・それっていじめじゃないの・・・?」
「でも杏那ちゃんはそれだけのことをされてきたんだからいいでしょ。」
葵は涼しそうな顔をしている。
その言葉を聞いて杏那の心境は一瞬で変わった。
「そうよね。私ずっと耐えてたんだからね。うん、やろ!」
そんな杏那を葵は横目で見て笑った。

学校に着くと莉環は先に登校していた千里の元へ駆け寄った。
「ちさあ〜!!おっはよ!」
勢いよく千里に抱きつく。
「はいはい。おはよ。本当世話が焼けるんだから。」
千里はそういいつつも笑顔で莉環を受け止めた。
杏那が莉環を無視するようになってから
莉環の心の支えは千里だけだった。
もちろん千里は事情をちゃんと理解し莉環と一緒にいた。
「今日は朝から体育だよ!莉環体動かすの大好きじゃん!」
「やった!」
二人は微笑み合った。

体育では杏那が言っていたとおりバレーをした。
杏那はもちろん大活躍だったし、
葵も負けないくらいの運動神経のよさを発揮した。
莉環と千里は二人で楽しくやった。
「あ、じゃあ体育委員の光井さん!ボールを体育倉庫に入れておいてね。」
「はい。」
授業後、莉環は言われたとおりボールを片付けはじめた。
「あ、時間かかるかもだからちさ先戻っていいよ。」
「わかったー!じゃああとで。」
千里は先に戻っていった。

莉環はボールを片付け終え、体育倉庫に持っていった。
その時体育倉庫の扉がゆっくり閉まった。
「え・・・?」
莉環は驚いてドアのほうへ駆け寄ったが遅かった。
すでに鍵が掛かっていた。
「すみません!まだ人がいます!開けてください!」
莉環は必死で叫ぶ。
その時ドアの向こう側から笑い声が聞こえた。
「人がいるなんて知ってる。わざとだもん。あんたなんて一生そこで暮らしな!」
莉環は言葉が出なかった。
「行こう。杏那ちゃん。」
——え・・・・杏・・・?
「うん。」
それは確かに杏那と葵の声だった。