コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: ダイスキっていいたいよ ( No.45 )
- 日時: 2011/08/21 13:34
- 名前: 柚莉愛 (ID: LI/icqd3)
第25話
「好きにも色々あるかあ・・・」
家に帰った莉環は自分の部屋で考えていた。
——あたし、陸のこと好きなのかなあ・・・
わからなかった。
莉環は逞にしか恋をしたことがなかったし、
恋愛経験は豊富じゃない。
考えれば考えるほど自分のことがわからなくなった。
「あたし陸のことどう思ってるんだろう・・・」
そのときだった。
いきなり莉環の部屋のドアが開く。
入ってきたのは弟の渉(わたる)だった。
「ちょっと渉!ノックぐらしてよ。」
「あ、ごめん。父さんご飯できたって。」
「わかった行く。」
莉環は渉と共に階段を下りる。
1つ年下の渉は中3だ。
数年前までは莉環のほうが明らかに背が高かったのだが
今は莉環を大きく上回っている。
「渉身長何センチ?」
「173」
「そんなに!」
渉は誇らしく答える。
「俺だってもう男なんだから」
莉環は弟の口からそんな言葉が出てくるとは思っても見なかった。
——もしかして彼女とかいるのかな・・・案外渉の方が恋とか詳しかったり・・・
そんなことを思ってるとリビングに着いた。
美味しそうな匂いがする。
「今日は莉環の好きなグラタンだぞ」
父は上機嫌で支度をしていた。
光井家には母がいない。
莉環がまだ4歳の時に癌で死んだのだ。
莉環は母の記憶はほとんどない。
母がいなくて辛いこともあったが
今はこうして3人で幸せに暮らしていた。
「莉環美味しいか?」
父が笑顔で尋ねた。
「うん。」
莉環は父の顔をよく見る。
父はなかなかのイケメンだ。
今42歳だが30代とも思われる。
長身で筋肉質だった。
そんな父が小さい頃は大好きだった。
——あたし小さい時お父さんと結婚するとか言ってたっけ・・
思い出すと顔が真っ赤になった。
「姉ちゃんそんな顔してどうしたの?」
渉がグラタンを口に運びながら尋ねた。
「別に。なんでもない」
そういうと莉環は食べることに集中し始めた。