コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: ダイスキっていいたいよ ( No.51 )
- 日時: 2011/08/24 00:07
- 名前: 柚莉愛 (ID: LI/icqd3)
第28話
その日の2時間目の授業は家庭科の調理実習だった。
4人ずつの班に分かれてハンバーグを作る。
「何であたしだけ違う班なの?こんなのいやがらせだ!!」
莉環は一人嘆く。
実は先週のくじ引きで決定した班は、
杏那と千里と陸と大吾が一緒で、莉環だけ別の班だった。
「別にご飯作るだけなんだからどこでもいいでしょ。」
杏那が冷たく言い放つ。
莉環はすぐさま反論した。
「それは杏が高科君と同じだから言えることなの!」
「う・・・」
それを言われると杏那は言い返せない。
こうして納得のいかぬまま調理実習が始まった。
杏那たち4班は料理が得意な杏那が進めて順調に作業が進んでいた。
「やっぱ杏那は家庭的だ。こういう彼女をもって高科君は幸せ者だね。」
杏那がハンバーグを焼くのを見つめながら千里が大吾をからかう。
「だろ。自慢の彼女だから」
大吾は杏那と付き合い始めてから見違えるように変わった。
眼鏡はコンタクトになり、
いつも大人しく読書をしていた印象が強かったのだが
今では陸と一番仲が良く、男子の輪の中心にいることもしばしばだ。
「いいな大吾は。自慢の彼女がいて。」
陸が皿洗いをしながらぶつぶつ呟く。
「何で?新川君には莉環がいるじゃない。」
今度は陸をからかう千里。
「でも莉環は俺のこと見向きもしないじゃん。」
陸はさらに落ち込んでしまった。
千里はスキップで陸の元へ行く。
「そんな新川君に質問!今日は何月何日?」
「はあ?そんなん俺だって分かるよ。5月10日。」
陸は少しいらだった様子で答えた。
千里はにこにこして続ける。
「実は5月14日の土曜日が莉環の誕生日なの。みんなでパーティーしようってことになってるんだけど、来たい?」
「行く!」
陸は途端に元気になった。
「あいつって単純・・・」
大吾がくすっと笑う。
「あれくらいの人が莉環にはお似合いだよ。」
杏那もほほえんだ。
陸は口笛を吹きながら先ほどの倍のスピードで皿洗いを再開した。