コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

リバーシブル ( No.12 )
日時: 2011/04/15 17:04
名前: 北野(仮名) (ID: OYJCn7rx)

=第八話=名門伊達家

事件翌日、朝

「先ぱーい、そういや昨日のって何が目的だったんですか?」
昨日バカみたいに矢を撃ちまくった代介があくびをしながら
そう聞いた。返答は・・・
「悪い大人は叩き潰すにかぎるっしょ、社会的に」
伊達がさらっとひどいことを言う。
「もともと、パズル部はオセロ部だったのよ。
 やってたことは今と全く同じだったけど、推理と犯行、
 その両方をこなすのが白と黒の表裏一体な感じ、
 つまりオセロに似てたんだけど・・・まともにオセロできないから
 パズル部になったのよね〜」
聞いてもいないのに、パズル部の歴史を語りだす伊達。
「そうそう、一つやろうと思っている事があるの」
いきなり話題が変わったためか、改めてこちらを向き直った。
こういうときの伊達は何を言うか分からない。
「まともな話題をお願いしますよ」
治が変なことになる前に釘をさす。
「今回はまともよ。実は、ゴールデンウィークに実家に帰るんだけど、
 みんなで一緒に行かない?仙台のいいところよ。
 (東北の人ごめんなさい。設定上ここじゃないといけないのです)
 家もでっかいし家族も多いからにぎやかで楽しいわよ」
日本地図を広げて指でさした。
「先輩、私達そこまでバカじゃないですよ。
 仙台が宮城ってことぐらあい知ってますよ」
「基裏の言うとおりっすよ。てかそんなに多くの親族がいるところに
 俺達が行っていいんすか?」
紫表がちょっとした問題になりそうなことを指摘する。
「いいのいいの。てかあんなとこ一人で帰りたくないし」
そっちが本音だな、部室にいる全員がそう思った。
「という訳で、4月29日祝日から、土日の30、1日祝日の
 二日、三日、四日そして創立記念日の五日の七連休で
 みんなで仙台行くからなー。朝九時集合。
 三時ごろ到着予定よ」
半強制的に伊達が決定させ、その日は解散になった。



〜29日〜

「はーい、みんなそろったわねー」
自分の実家に帰るだけあって、この話・・もとい、今日は
伊達がしゃべりっぱなし仕切りっぱなしである。
「OK、みんな電車に乗って乗って」
すでに乗っていた小島以外の紫表、基裏、治、沙羅、
運悪くゴールデンウィーク中部活の無い代介を電車に押し込みつつ、
伊達が命令した。
「無理やり押し込んでるくせに何が乗ってだよ」
邪魔としか言いようがない弓をかついでいる代介がぼそっと
つぶやく。
「何か言った?」
久しぶりに発動する地獄耳、どんな悪口も聞き漏らさない。
「何もねぇっすよ」
面倒くさそうに答える。
「ちょっと早送りするから待ってて」
「早送りって何さ!?」
紫表の質問もむなしく、時は進んだ。

=午後二時ごろ=
「予定より結構早くに着きましたねー」
沙羅がみんなに聞こえるように言う。
「あぁー、よく眠れたー」
いつもと違って、スッキリ目が覚めた代介がこれから
起こることを楽しみにするような口調になっている。
「ヴー・・・やっと着いた」
それに対して治は電車酔いでグロッキーになっている。
小島もそこまではいかないが、少し元気がない。
いきなり伊達が歩みを止めた。
「おっ、着いたんですか」
紫表はまだまだ体力的に余裕があり、普段弓道とはいえ、
運動部に所属している代介も全然疲れてはいないが、
インドア派の治、小島、女子組の基裏、沙羅は
もうヘトヘトで、今にも倒れそうだ。

だが、目の前に広がるのはとてつもなく大きな屋敷だけで、
都会にあったらヤクザの家ではないかと思うほど、
純日本と言わざるを得ない、瓦張りのでっかい豪邸。
周りが田舎でのどかで、あげくの果てにはヒヨドリが鳴いている
この風景の中では、ただのでかい家としか言いようがない。
「なんだ、休憩っすか」
紫表がそう言ったとき、即座に伊達に否定された。
「違うよ。ココが私の家、そして、独眼竜が建てた家でもあるのよ」
「ハァ・・ハァ・・戦国・・・武しょ・・う・の?」
死にそうな声で治がのどから声を押しだす。
「そう、私の家は、伊達正宗の子孫なんだ!!」

                        続く