コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- リバーシブル ( No.15 )
- 日時: 2011/04/16 21:49
- 名前: 北野(仮名) (ID: vfhHNd5c)
=第十一話=伊達家の宝
夕食が終わると、紫表のところにたくさんの人が押しよせてきた。
その原因となったのは、伊達の
「紫表君って謎解き、特に暗号解読が得意なんだよ」
といういらん一言から始まったのだった。
そして、なぜそんなどうでもいいような一言で
大勢の人が集まったかというと、伊達家には、
古びた紙に妙なものが書いてあるからである。
見るからに茶色く変色して、今にも破れそうなほど
ボロッボロになったみすぼらしい紙には何やら
意味深なことが書いてあった。
伊達家には財産がある
それは家にある
それは世間にある
それは社会にある
それは世界にある
そう、それはどこにでも
あるのだ
だが、一体どれほどの
者が、その財産に
気づくことなく
過ごしているのだろうか
私はそれが残念でならない
最後には筆者の名前として、正宗とくくられていた。
「ほらな、なんだか宝物の隠し場所を暗号にしてるみたいだろ?」
紫表のもとに集まってきた者の中でも最も年配の
中年の男の人が話を切り出した。
「うーん、でもこれたか・・」
「お兄ちゃんがんばってお宝見つけてよ!」
紫表が何かを言おうとしたのを遮って一人の小学2年生くらいの
女の子がやって来た。
遠くの学校に行っていて、今ようやく帰ってきたのか、
ランドセルをまだかついでいる。
「こら、早くカバンを置いてきなさい、鈴未(すずみ)」
さっきの年配の人が母屋の方を指さして、早く荷物を
置くようにと身振りでも伝える。
「はーい」
聞き分けがいいのか、その鈴未と呼ばれた子はすぐに
走って去っていった。
ふと紫表は古びた紙に目を戻した。
「どうだ?分かりそうか?」
何人もの人が詰め寄ってくる。
ただでさえ暑いのにこの蒸し暑さは拷問だ。
「こら、伸治(しんじ)何をしとるか。客人が困っておるじゃろう。
お前らも早くさがらっしゃい」
人ごみを押しのけて、三人のご老人が現れる。
一人は80歳は越えていそうな女性で、
あとの二人は65歳ぐらいの、伊達の祖父母であろう
現当主二名のようだ。
ということは、年上の方は話に出てきた先代当主だろうか?
ふと基裏はそんなことを考えた。
「宝物など不要じゃ。そんなもの探すヒマがあったら働かんか」
「そうじゃ、宝など存在せぬ」
先代(?)の言葉に続いて伊達の祖父が叱責する。
人々は仕方なさそうに解散した。
「ごめんね。紫表君。変なこと言って迷惑かけちゃって」
「別にいいっすよ。そんなに迷惑でもありませんでしたし」
紫表はあまり疲れているような様子はない。
「あっ、紹介するね、おばあちゃん、おじいちゃん、
ひいおばあちゃん。この子は私の後輩の紫表君
あと・・・みんなーちょっとこっち来て—」
「こんばんわ」
「こんばんわ」
自分の曾祖母たちが紫表に、言った言葉には
違和感を感じたが、紫表が全く気にせず言葉をかえしたので、
気にせずスルーすることにした。
「左から順番に、基裏ちゃん、治君、小島先輩、代介君、
沙羅ちゃん。みんな部活の仲間よ」
「初めまして、ゆっくりしてお行き」
「初めまして、ありがとうございます」
一通り自己紹介を終えると、代介が弓道場があったから
使わせてもらえないか頼んだ。
「そんなことならお安いごようさ。健史、連れてってやりな」
昼に治や基裏たちと戦った健史が代介を連れて行く。
ふと横を見ると沙羅はパソコンを開いて、
なにやらカチャカチャやっている。
「なにしてんの?」
基裏が沙羅のパソコンの画面を覗き込む。
「ハッキングコンテストの予選用のプログラミング。
自分の作ったコンピューターウイルスを提出するの」
さらっとかなりとんでもないこといいのけたな、こいつ。
伊達でさえ、そう思った瞬間だった。
「どんなウイルス作ってんの?」
基裏が根掘り葉掘り聞こうとする。
そんな怖ろしいこと聞かなくてもいいだろ。
そう思いつつもついつい耳を傾けてしまう伊達である。
「感染すると、伊達先輩の悪口をひたすら表示するうい・・」
「ちょっと待たんかい」
さすがにこれは止めないといけない。
そう思った伊達は全力で止めにかかった。
「冗談ですよ。実際はコンピューターにオーバーワークさせて、
ハードディスクをオーバーヒートさせてぶっ壊す
ものですよ、先輩」
屈託のない笑顔で話しているが、話している内容が
怖ろしすぎる
(作者は一高校生にすぎないので、そんなことはできません)
「風呂沸いたぞー」
伸治さんの大きな声が家じゅうに鳴り響く。
「じゃ、お客のみなさんから入ってもらうとするかね」
そう言って、自分のひいおばあちゃんは
紫表たちにタオルを手渡していった。
「ほら、順番に入って行け。男子と女子で分けられているから
男女一人ずつ入れる。人数も人数じゃからはよう頼むぞ」
____________________________続く__40人近く人いるよー
お風呂に何時間かかるんだー