コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

リバーシブル ( No.27 )
日時: 2011/05/04 21:48
名前: 北野(仮名) (ID: Evvrhazt)

=第二十一話=空を衝く(つく)


衝空拳・・だと?
なんだそれは?またしてもきいたことがない。
目の前にいるこの少女は・・・一体何者なんだ。

「教えといてあげるよ」
基裏がようやく体勢を立て直した蟹原に無表情でそう言った。
やはり、顔に浮かんでいるのは怒り。
そしてもう一つは、蟹原に対する蔑み。
「まず、ドリームバードは、未熟な超速戦闘のスピードを
 補助するためのブースター」
よくよく思い出すと、基裏が手を動かした瞬間はまだだが、
手を空に叩きつけた瞬間には、もうすでに基裏はその未熟な
超速戦闘に入っていた。
地に足がついた状態では、地面に力が逃げてしまう。
だからこそ、一旦、宙に跳んでから叩きつけることで、
セカンドブースターを発動し、超加速したのだ。
「そのためには、空気抵抗を大きくしないといけない」
基裏がそこまで説明してから、ようやく納得できた。
平手にしていた理由は、拳だと、後ろに叩きつけるのが難しい
からではない。

空気抵抗を大きくするため・・・

そして、空気抵抗の少ない拳で繰り出すと、どうなるのか。
その答えはもう出ていた。
本来、あの娘の加速した瞬間に、そこに立っていたら
もっとすごいことになるだろう。
基裏は、反作用の力による衝撃を自分の体に残さず、
100パーセント推進力にすることによって、
体への負担を減らし、加速の能率をあげていた。
そして、作用の力、つまりもともと基裏の方から空気を
押した方の力は、衝撃波となっていたんだ。
あそこには、波状に広がることにより、力が分散し、確認しづらい
大きな力が働いていたんだ。
そして、それを拳で撃ちだすことで、大きな力を一つに凝縮、
小さな形にして発射した。
今度は、反作用の力を地面に逃がすことで、
自分への負担を小さくした。
そして、推進力もほとんど打ち消したんだ。

「空を衝き、繰り出す拳、故に・・・」


              衝空拳


ようやく、基裏の説明が終わった。
途中からは蟹原の推測と全く同じだった。
しかし、原理が分かったからといって、回避できる保障は
どこにもない。むしろ、回避は不可能だと言われているようなものだ。
空気を伝わる衝撃波など、目に見えるはずがない。
回避のタイミングも判断できない。
一歩遅ければ、もろに喰らってしまい、
一歩早かったら一手攻撃チャンスを減らすことになる。
だが、背に腹は代えられず、手数を減らす代わりに確実性を
取りに行く。
相手が振りかぶった瞬間、その場を離れる。
そうせざるを得ない状況だ。
おそらく、さっき二回目に自分を吹っ飛ばしたあの一撃は、
本気などではない。なにせ、正義感の強い人間だ。
一発目から相手の知らない一撃で、不意打ちのように・・って待てよ。

衝撃波の強さって加減できなくね?

できたとしても、距離の調節ぐらいだ。
第一、回避し続けたら、威力など、大した問題ではない。
スタミナの勝負なら、女子中学生なんかには、負けない。

そして、ようやく落ち着きを取り戻したところで
一つだけ注意すべき点が頭に浮かんだ。

一発目をくらっても、動揺してはいけない。

そのすきにもう一発、さらにもういっちょ、と来られたら、
そのうちぶっ倒れてしまう。

そんだけだな。

槍の切っ先を基裏がいる方に向けた。
基裏が衝空拳のモーションを取る。
とっさに横に回避する。
だが、基裏は、拳を突き出しただけで、衝空拳は使わなかった。


・・・ヤバいっ!!

そう思った瞬間にはもう手遅れで、自分の体は、
衝空拳から逃れるために、ジャンプし、空中で
地に足が着くまで、自由に動けなくなっていた。
とたんに、あの「バアンッ!!」という音がする。
基裏は、蟹原の右サイドから現れた。
基裏から逃げるため、右におもいっきりジャンプした蟹原は、
悔しくも、自分から突っ込んで行く形になった。

そして、次に『シュウッ』という音がする。
自分が向かっていく力と、0距離に近い超近距離からの
衝空拳が蟹原の右わき腹にめりこむ。
基裏「ズザザァッ」という音と共に、やや後ろに後退する。
その距離、わずか30センチ程度。
それとは違い、蟹原は5メートルは優に吹っ飛んだ。

「分かった?これがお母さんの受けた痛みよ」



                         続く


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おれ今回「超」ってことば使い過ぎだぁッ!!

ていうか脱線激しすぎ!

まあがんばって修正したらいっか