コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

リバーシブル ( No.29 )
日時: 2011/04/24 10:52
名前: 北野(仮名) (ID: meZEZ6R0)

=第二十三話=気弓

カッ!

廃工場の入り口前で、ボウガンから放たれた弾が
地面、ドア、壁などに、無数に刺さる。
龍牙の部下、前園は代介と交戦している。
だったらなぜ代介の撃った矢が無いかというと、
代介は弓だけを持ってきた。
つまり、矢を持ってこなかったのである。
「何を考えているんだ」
ボウガンの狙いを定めながら、前園は代介に向かって
問いかけた。
「撃つ物を持たぬ銃士など、戦場において何の役にも立たない」
カバン、そしてジャケットの裏に大量の、無数の種類の
弾を常備している前園としては、この代介の状況は信じがたい。
緊張感、そして真面目さなど毛ほども見られない。
今だってそうだ。あくびなんかしながらノンキにしている。
この慢心の塊のような子供が、なぜ刃向かおうとしているのか、
全く分からない。前園はそう思っていた。
「そー言われてもなー」
決して棒読みではないが、やる気なさそうに代介は説明を始めた。
「そもそもこの弓は、本来矢を撃つ物じゃねぇンだよ」
前園の耳に、未知のセリフが飛び込んでくる。
矢を撃たない弓?そんなもの聞いたことがないぞ。

        ・・・・・・・・・・・・・・←強調の点
「正確に言うと、世間一般で矢と言われている物を撃つ弓じゃない、
 ってだけで、撃つのは矢なんだけどな」

世間一般で矢と言われているもの?
あの矢じりのついた、常識的なものか。
それを使わないとはどういうことだ。

代介が弦に指をかける。
その手には、もちろんのこと、撃つための矢は握られていない。
だが、弦に触れたその刹那、眩い(まばゆい)光を放ち、
矢を錬成した。
「なんだその光の矢は、どこから現れた?」
その光景を眺めながら、前園は目を見開いた。

「これは、気弓と言う」
情けをかけたつもりか、代介は説明を始めた。

要約するとこんな感じだ。

まず、自身の気功を核として、自然界に漂うエネルギーを纏わせ、
矢を錬成する。

自身の気は、核に使うだけなので、少量でよい。
故に、弾がきれることはない。
しかし、普通の弓では、この矢の威力は引き出せない。
だから、このように特別な弓を用いる。

「大蛇天弓」

代介が弓の名前さえも口にする。

「師匠から受け継いだ、遠距離最強の使い手である証」
そして、弓の弦は引き絞られ、光の矢は放たれた。



                           続く


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参照欄って何さ?
とか最近思ったりする
ちょっと都合悪くなったんで、
短めに終〜了〜