コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: リバーシブル ( No.30 )
- 日時: 2011/04/24 13:46
- 名前: 北野(仮名) (ID: X74BODye)
=第二十四話=八岐大蛇
弓から放たれた矢は、一直線に前園に向かって突き進む。
かろうじて反応することができ、回避することができた。
「気功だと、ハッ馬鹿馬鹿しい」
代介の、気弓についての一通りの解説を聞き、実際に撃たれた
後のこの状況でも前園は、それを全否定した。
科学的に証明されていないものをどうやって信じろと言うんだ?
そんな表情で、バカにするように代介をあざ笑った。
「別に信じなくていいさ。現にこうして存在しているわけだし。
でもさ、その場合、あんたは自分の主さえも否定したんだぜ」
これを聞いた時、前園は少なからず焦りに似た感情を感じた。
龍牙に対する忠誠心の強い前園は、自分の手によって
その忠誠する者を否定してしまった、そう思ったのだ。
「だが、龍牙様はそんなうさんくさい物は使わない!」
さっきのあいつの言葉が脳裏にこびりつく。
この私が龍牙様を否定など、するわけがない。
いくあてのない私を救ってくれた恩人に、この私が・・・
「そりゃ使えないさ。あいつは内気功系の戦闘能力者なんだから」
ないき・・こう?前園にとって初めて聞く言葉が発せられる。
ポカーンと口を開けて、情けなさそうな顔つきになる。
頭の中を?マークが巡回する。
「まず、俺が使っているのは、外気功系の戦闘術。
精製した気を、外に溢れ出させ、武器に錬成したり、
飛ばしたりして闘うスタイルがこれだ」
確かに、代介はさっき目の前で矢を錬成し、こっちに飛ばしてきた。
それに、回避した後に本来ならさっき自分の背後にあった壁に
刺さっていないといけないはずなのに、何かが刺さった跡を
残して、霧のように消え失せていた。
「次に、内気功系の説明だが、これは例を出した方が話は早い」
そして代介はその例を挙げた。
「超速戦闘」
これを聞いた時、ようやくさっきの言葉の真意をつかむことができた。
「内気功系の戦闘方法は、気を体内におしとどめ、身体能力を
格段に高め、腕力、五感、第六感、スピードの基礎能力を
爆発的に飛躍させる形式をとる」
今、代介が最後にした説明とさっきの話をまとめると、
超速戦闘や、心眼など、伊達流剣術の奥義は、内気功系のものであり、
気を否定するということは、それを使う戦闘方法である、
超速戦闘・・・つまり、龍牙様の力を否定することに繋がるのである。
「やっと分かったみたいだな」
やれやれ、そう言いたそうな表情で、また弦に手をかける。
これを見た前園は瞬時にボウガンに弾を装填した。
あと一瞬、それが遅れていたらどうなっていたか分からない。
すでに放たれた矢に向かって急いでボウガンで弾をぶつける。
しかし、矢は向かっていく弾をいとも容易く打ち砕いた。
幸い、矢は弾に当たることで軌道を変え、はるか彼方へと
飛び去って行った。
これを見た前園はあることを決めざるを得なくなった。
・・・あれを使うか。
カバンから、ザァッと、一本の帯を取りだす。
良く見ると、それは何百発も弾丸の連なった
究極の連射用の弾丸の集合体だった。
すぐに、前園はそれの端をボウガンに装填した。
「ハチの巣になれ」
バラララララララララララララララと、大量の弾が連射される。
代介は、慌てることなく、ある一点を気弓で貫いた。
それは、弾の塊の中の次に撃たれるはずの部分だった。
当然のこと、連射は中止させられ、撃った全ての弾丸は
ことごとく回避された。
「次は、こっちの番だぜ」
弓が引き絞られたとき、さっきまでとは違う異変が起きた。
弓に描かれた、蛇の絵が輝いたのである。
そして、二本の矢が同時に放たれた。
二本の矢はそれぞれ、左右の両サイドに分かれて飛んでいく。
どうやら威嚇射撃のようだ。
前園があっけに取られている間にまた矢を撃とうとする。
今先ほどよりも、強い光で輝く。
痛いほどの殺気を感じる。どうやら今度は狙ってくる。
そう判断した前園は、他よりも一回り大きなものを発射した。
今度放たれた矢は四本。さっきよりも数が増えている。
だが、自分の撃った弾は瑠弾なので、爆発し、
全ての弾の軌道を反らした。
「やるじゃん」
一瞬だけ感嘆するような顔つきになった後、
また冷静な目つきで、同じように今度は
八本の矢が襲いかかってきた。
この瞬間、「なるほど」と言いたくなった。
ひとまず、同じように全ての軌道を反らした。
「分かったぞ」
この拡散するやの秘密が分かった、そう言って自信満々に
代介に自分の導いた解答を話した。
「その蛇の光った首の本数だけ、矢が放たれるんだな」
まぶしくて、見ることは出来なかったがおそらくそうであろう。
だが、それは誤った解答だった。
「違う。これがあらわすのは本数じゃない。指数だ」
意味の分からんことを言ってまた弦を引き絞る。
「次は八本首でいくぜ。・・・奥義」
ヤマタノオロチ
続く
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あっ・・・また2000文字越えた・・・・・