コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- リバーシブル ( No.31 )
- 日時: 2011/04/25 19:42
- 名前: 北野(仮名) (ID: SGjBfZqJ)
=第二十五話=弾数
「指数?何だそれは?」
せっかく説明してやったのに、前園は首をかしげる。
どうやらこいつ、指数のことが分かってないようだ。
「まじで知らねーのか、小学校・・・いや、行き過ぎだな。
中学校からやり直せ。いや、でも」
いいこと思いついた。ちょっとイラついてるし、
からかってやるか。
「道徳は母さんの胎内からやり直した方がいいかもね。
人でなしさん?」
やったね、見事にキレやがった。冷静さも失ってるし、
こいつはもう哀れすぎる。
ま、でもそのおろかさに免じてヒントをあげようかな。
「ヒント、二本同時で首一本。四本同時で首二本」
メロディも付けて言ってやった。
おっ、なんか閃いた顔をしてるな。
こいつは楽しみだ。どう出てくるか見ものだぞ。
「そうか、2×1=2 2×2=4、つまり八本だと16本だ!」
違うわあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!
指数の要素どこ行ったあああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!
驚き呆れて開いた口も塞がらん。
ダメだ、まじでこいつダメダメだ。
もうつまんねえ、終わらせよ。
丹田で精製した気を胸、左肩、二の腕、手首、
左手、そして指先にまで運搬し、大蛇天弓に注ぎ込む。
八本の大蛇の首が全て輝く。
眩く、目も当てられないほどの光を放ち、
辺りの自然エネルギーの力を取りこみ、一緒に練り込んでいく。
その際、エネルギーと共に空気が引きずられ、
半径数百メートル内の空気が、大気が鳴動する。
代介の周囲には、矮小だが、れっきとした竜巻ができあがる。
この物凄い風圧で、前園はうかつに身動きが取れず、
風に立ち向かうことで精いっぱいだ。
ボウガンの弾を撃とうが、トンチンカンな方向に飛んでいく。
ある時、フッっ・・・と風圧が止んだ。
気弓の装填は完了した。
あとは・・・撃つだけだ。
キリキリキリッと弦を精いっぱいの力で引き絞る。
さすがにこんなに装填すると大変だな。
右腕の血管が浮き出ている。
「最後のヒントだ。累乗計算って知ってるか?」
この言葉を聞いてもあまりピンと来ていない。
もういいや、勝手に16発と思ってろ。
真の数値はその16倍。
「喰らい尽くせ、ヤマタノオロチ!!」
力を極限まで溜めきった至極の一撃、いいや
二百五十六撃が前園に襲いかかる。
当然のこと、この尋常ではない本数にまじでビビっている。
でも、全く動かないことはできるわけない。
とっさに我に帰り、無駄だと分かっていても、回避するための
努力をする。
バカの一つ覚えのように、瑠弾をぶちかましてきたが、
今度はそんなちんけな攻撃じゃ止まらない。
「うわああああぁぁぁ!!!!!」
矢の雨が、豪雨が、一斉に前園の体に降り注ぐ。
勝負は決した、そう思った時だった。
あいつの声が聞こえたのは。
「な・ん・て・な」
煙は晴れ、前園の姿が現れる。
あいつのジャケットは防弾チョッキだったんだ。
でもまあもういいや、さっさと間違いを添削しよう。
「首一本なら2の一乗、つまり2本。
二本だったら2の二乗、つまり4本。
八本だったら2の八乗、つまり・・・」
256本
この驚異的な数字を聞き、相手の目の焦点が合わなくなる。
もう、今の表情はとてつもなく締まりが無い。
まじで今すぐぶっ飛ばしてぇ。
まっ、でもあと少しの辛抱だ。
「俺の気ってちょっと特別でよ」
まず話を聞くように前園に呼び掛ける。
「気っていうのは5種類のものに変換できるんだ。
火・水・氷・雷・風の五つにな、
そして、変換前の気を剛系気と呼ぶ」
だがそこでだ、たまに特別な気が剛系気の性質として現れる。
俺の種類は・・・
「炸裂(バースト)系という名だ」
炸裂系の気を持つ人間は、2000万人に一人と言われている。
さらに、気功を使うことができるのは、十五人に一人と言われている。
そして、外気功と内気功、その使い手の比率は
1(外)対20(内)でもある。
つまり、炸裂系の気を持つ人間が外気功系戦闘者となる確率は・・・
「6500000000(65億)分の1」
よって、代介は、確率論では地上唯一の
炸裂系外気功戦闘者、というわけだ。
「そしてだ、お前のチョッキには俺の矢が大量に
突き刺さっている」
代介は、前園に対して、くるりと踵を返した。
「安心しろ、気絶くらいで許してやる」
青白い爆炎が、前園を包み込んだ。
続く
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あれ?紫表より強くね?
いえいえ、そんなことは・・・ありそうだなぁ・・・・・