コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: リバーシブル ( No.39 )
日時: 2011/05/01 08:37
名前: 北野(仮名) (ID: CYOxNglE)

=第三十話=ハイキング


家帰ってから代介と基裏からさらに報告があった。

「気力使い果たしたんでしばらくバトル路線無理。
 ってか天弓のメンテナンスもいるしね」
「なんか無我夢中で使ってたみたいで・・・今となっては
 ドリームバ−ドすら・・・」

という次第である。
まあ本来バトル路線ではない作品のキャラクターの闘った後は
こんな感じだろう。仕方あるまい。

「ま、いっか。紫表君には安静にしてもらうとして、
 今日は気分を取り直してハイキングに行きましょう」

大きな事件も片付き、伊達も元気を取り戻している。
今は隠してはいるが・・・黒さも一緒に。

「どこ行くんすかぁ?」

「えっ、だるいんすけど」って感じで代介が行き先を聞く。
そういや気力使い果たしたとか言ってたな。
そんだけ疲れてんだろ。
すやすやと寝ている紫表を見ながらふと治はそう思った。

「ドア蹴って開けたくせに何言ってんのよ」

あっ、そういやそうっしたねって感じでこれも納得できる。
(治達は代介の戦闘スタイルを知りません)
結局代介行けんのか?

「でも大自然の中って楽しそうですよね」

普段インドア派の沙羅を誘っていこうと
基裏ががんばって納得させようとしている。

「白谷君も行くよね?」

伊達がこっちにも話を振ってくる。
そう言われてもこっちには看病という大事な仕事がある。
確かに山は好きだけど・・・
紫表も今大変だしなぁ。

そんな感じで迷っていると、健史が変わると言ってくれた。
この惨事を終わらせてくれた恩人に対しての唯一できる
御礼だとでも言わんばかりに。

「ありがとう。じゃあお言葉に甘えて行かせてもらおうかな」

この人こういうことには詳しかったからいちいち説明しなくても
大丈夫だよな。下手に口出すのは良くないし。

「んじゃ、いきたいやつは全員3時に家の前集合な」

そう宗治が言ってその場は解散になった。



〜3時〜

「はい。全員揃ったなら出発ね〜」

伊達の引率で基裏、代介、治、小島、沙羅、宗治、伸治、雄太、鈴未
の9人が山を登っていた。

「お〜基裏ちゃんの言うとおりたまにはアウトドアも気持ちいいね〜」

汚れるのがいやという理由でパソコンを置いてきた沙羅が
雄大な自然に舌を巻いている。
確かに体力のない自分にとって少ししんどくは感じるが、
それを楽しみにかえる美しさが自然にはある。
クライマーたちがわざわざ疲れてまで山に登る理由が
少し分かったような気がした。

やや季節は早いが、ジージーとアブラゼミが鳴く声が聞こえる。
さらさらと風が吹き、さわさわと木の葉が揺れる。
チーチー、ピーピー、と鳥のさえずる音色が聞こえる。
まるで、オーケストラの発表会に来ているみたいだ。

ようやく、山の中腹の展望台に着いた。
そこからは、辺りの風景が一望できた。

眼下に広がる壮大な伊達家の敷地。
他の家々の所有する棚田とその脇にあるあぜ道。
水田の東を流れる小さいながら水量の豊富な川。
その素晴らしい光景に、みな思わず息をのんだ。

「ね、自然の美しいいいところでしょ」

伊達が笑いながら基裏に話しかける。
その一言で、基裏が思わず止めてしまっていた呼吸とまばたきを
再び始めた。

「すごい・・・・・」

その一言以外、自分の知っている言葉には形容する言葉は無い。
いや、堅苦しい言葉で装飾し、飾らせた方が
安っぽく感じてしまう。



このときは、まだこの美しさに感嘆している余裕があった。
こんなに、トラブルを呼び寄せる体質を持つ私達が
6人もいるのに、何も起こらない訳がない。
紫表が欠けているこの状態だというのに、
また変な事件に巻き込まれるのであった。



                         続く




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基裏「あっ、結構まともな路線に戻ったんじゃない?」

代介「いや、まだまだだろ。また何か巻き込まれるんだぜ」

治「もう疲れてきた・・・」

美千流「まあなんとかしましょう」

小島「どうせあれだろ・・・紫表いないのにあたま・・」

沙羅「ストップ!外れそうだけどストップ!」

紫表「zzz」

治「ま、今日はこの辺で♪」