コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- リバーシブル ( No.45 )
- 日時: 2011/05/06 20:27
- 名前: 北野(仮名) (ID: DHMZtM4G)
=第三十四話=無知って怖いね
「あれ、あいつらどこに行った?」
川にたどり着いたはいいが、子供たちの姿が無い。
まさか自分たちをここに来させるためのブラフかと思った。
—————いや、あいつらは自分たちが見られていることは考えずに
動いていた。
順序立てて今の考えを否定する。
実際自分たちがあの連中を見かけたのは偶然で、
最初から監視していた訳ではない。
今から考えるとそのようにしてやつらが見つけたところを
心の麻酔銃で眠らせて横取りしても良かった。
だが、頭に血の上っていた自分たちはそんなことを考えることすら
しなかった。はるかに手っ取り早い手段だというのに、
ガキどもが簡単に勝負に乗った理由が、見つけるためのキーを
すでに思いついていたことにも気付かず、怪しまずにこんな試合が
始まったことに何の違和感も覚えなかったのは・・・
頭に血が上っていたから・・・
もしかして、こうするためにあの最も失礼なガキは俺たちを
怒らせたのか?
確かにあいつの言動には心からうっとおしく思っていた部分もあった。
だがあいつは自分のおもっていることを必要以上に、過剰に
非道な言葉を使って俺たちをまくしたてた。
もしかして俺たちは最初から掌の上で泳がされていた?
ということはやはりフェイクか、という念が再び沸々と
湧き上がった来たが、もう一度それを否定した。
いや、今の予想が正しければ連中は俺たちを油断している。
見られているとも思わずに、川にいたということは
やはり何か意味があるということだ。
そしてもちろん、今この場にいないのも・・・
「みんな、早くここから移動した方がいいかもしれない」
たった今自分がたどりついた答えとその道のりをみなに説明した。
「う・・・確かに一理あるな」
瞬の顔に冷や汗が浮かぶ。
すると突然、ガサガサっという音がした。
振り返ると、茂みの辺りが揺れている。
バキバキッと木の枝がきしみ、折れていく。
どうやらお出ましのようだ。
みなの鼓動が大きく、そして速くなる。
全員の鼓動が聞こえるほどだ。唾がごくりとのどを
通る音がする。
緊張が最高まで高まったそのときそれは現れた。
—————来た・・・!!
現れたのは現れたのだが、熊は空腹のせいかこちらには目もくれず、
川辺まで一直線に進んだ。
心がハッと我に帰る。動転しているのか、恐れているのかは
分からないが、麻酔弾を装填し、震えの止まらない手で撃ち出した。
エアガンの弾が発射するパンっという軽い音がする。
重苦しいその空気には不適切だが、熊に向かって一直線に
向かっていく。ただし、腕に向かって。
腕に当たった瞬間に弾ははじけた。
風船が割れるようなパチって感じで破裂し、麻酔薬は
前足に降り注いだ。
「しまっ・・ハズレ」
熊はゆっくりとこちらを見てきた。
その姿からは明らかに怒りがうかがえる。
野生の者の唯一の娯楽である食事を邪魔されたのだから無理もない。
刹那、巨大熊は低く、重い声で、鳴いた。
その咆哮には修羅のような恐ろしさがあった。
「うわあああぁっ!!!」
佑輔が解き放たれた狂犬のように駆けだした。
ターゲットを定めたやつは、一気に走りだした。
もちろん狙いは佑輔。
麻酔弾の二発目を心は装填する。
これが外れたら次は無い。
プレッシャーの中、今度はやつの顔めがけて真っ直ぐに飛んでいった。
クリーンヒット!
薬は熊の、鼻を、口を、目を覆った。
確実に吸い込んでしまったはずだ!
五人は勝利に酔いしれた。だが、
まだ倒れていなかった。
量が足りなかったのだ。
本来、対人用に作られたその弾では、人より大きい熊の
必要摂取量にはほどたりなかったのであった。
そして、一際強い怒りの目で、今度はターゲットを
心に設定したのだった。
続く
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美千流「バッカみたい」
基裏「バッカみたい」
沙羅「バーカバーカ」
紫表「zzz」
小島「バカだな」
代介「くそだな」
治「また手抜きかぁっ!代介!さすがにそれは酷い!」