コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

リバーシブル ( No.47 )
日時: 2011/05/07 20:21
名前: 北野(仮名) (ID: DHMZtM4G)

=第三十六話=武器?拾ったけど?


「ガアアァァっ!!!」

はいキレたー、はいキレた—、はいキレたー!
一言で目の前にいる猛獣の説明をしよう。

怒ってる!マジで!!超怖い!!!

何なの?血上りすぎて牙どころか歯ぐきまで見えてんじゃん!
おかしいでしょ!目が正気を保ってない!

「は〜い全員攻撃〜」

慌てることなく美千流が指示を出す。
指示を聞いて、7人とも手に持っている唯一の武器を
次々と投げつけた。
白だったり黒だったり、丸かったり角ばってたり、
大きかったり小さかったり、重かったり軽かったり。
手元に無くなってもひょいひょいと足元から補充する。
一つ一つ不ぞろいだが、一つだけ共通点がある。
硬い、そしてぶつかると痛い。

胴体に特に攻撃が集中する。
というよりも狙いやすいのでみんなあえてそこを狙っている。
だが、さすが熊。びくともしない。
ときおり痛そうな表情をとるがさっきの跳び蹴りほど効いてはいない。
ついに、投げつけられるそれに目が慣れてきたのか
鋭い爪ではじき返し始めた。

「基裏、特攻!」

小島が指示を出す。
基裏は、手に持っている唯一の武器である石を投げだして
近くにあった棒きれを持って詰め寄って行く。

この行動に熊は素早く反応する。
石が投げられなくなったこともあり、
ひるまずにまっすぐと迎え撃つ態勢に入る。
右腕を後方におもいっきりひねり、力を溜める。
そして、前に振り出す時に徐々に体重を乗せ、その一撃の
威力の底上げをする。
常人にとっては素早い一撃であろう。
しかし、超速戦闘を取得している基裏や伊達、
普段から早いものを見慣れている代介にとっては
それはスロー再生のように見えた。
右腕、といってもこっちから見たら左側からの攻撃。
反射的に左側、攻撃範囲の外側に避難する。
空を切って体勢を崩したやつに棒きれを、
狙いを定めて振り下ろす。

ふと宗治の言葉を思い出す。


—————熊の弱点は、鼻だ。


狙いは・・・鼻を含む顔面ど真ん中!
きっちり基裏は叩き込んだ。

ボキッ

軽い音を残して棒きれは砕けた。
乾燥していた枝はとてももろかったのだ。

しかも、やはり基裏。
腕力不足であまりダメージが期待できそうにない。

「ヤバッ・・・」

その場にいるすべての人間の顔が青ざめる。
今度は左腕、つまりこちらから見て右側の腕で攻撃を
放とうとしていた。

「バケヤロウ」

振りかぶった腕の真下の足に石が食い込んだ。
あまりの痛みに耐えかねてその場に崩れ落ちる。
左足にかなりのダメージを負い、立つことすらおぼつかなくなる。

「石でぶったたけばよかっただろうが」

手元で大道芸のように石を弄びながら代介は基裏をけなした。

「悪かったね」

口数の減らない基裏だったが、安堵感と感謝の念は
こめられていた。

ほんっと、感情を裏に隠す名人だな。
治は昔に、紫表が言っていたことを思い出した。




                       続く


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紫表「いっちょあがりっすね〜」

美千流「先輩を見直したか?」

紫表「何もしてないじゃあないっすか」

美千流「なぜそれを!?」

紫表「代介から聞きました。名前だけの先輩だってほざいてましたよ」

美千流「あいつは人に喧嘩売る天才ね・・・」

紫表「とりあえず一件落着ってことで」

美千流「また次回に続く!」