コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- リバーシブル ( No.49 )
- 日時: 2011/05/11 21:43
- 名前: 北野(仮名) (ID: Ikb4yhFE)
作者はついに耐えきれなくなった!
とりあえず短めの話を出そう!とかなんとか考えた
=第三十八話=memories in the sunny day
長い長い夢を見た。
決して覆ることのない、絶望が身体を包んだあの、
本当に俺の身に起こった、悪夢としか言いようのない、
暗闇の中、一人取り残されたような感覚。
天と地がひっくり返ろうと・・・そこに存在する真実。
そして、その灰色の世界から救い出してくれた暖かい光。
美しい自然、豊かな人間関係。
そう、俺はこの場所に来たことがある。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「来るな!お母さんなんか・・・あんたなんかお母さんじゃない!!」
当時、いや今でもそうだが住んでいた家に六歳だった
俺の、怒号がこだました。
近所の人たちは何事かと思って急いで家の庭から
こちらの様子を見てきた。
ただ好奇心から覗いていただけだったであろうが、
この世の全てに裏切られ、理性すら失っていたその時の自分には、
嘲笑うように、さげすむように睨まれている気がした。
その場から逃げだすように、一目散に、わき目も振らずに
駆けだしたのを、今でも覚えている。
道行く人たちの視線が痛かった。
みんな、ニタニタと自分を笑い物にして、楽しんでいるように感じた。
—————なんで、なんで俺にだけ教えてくれなかったんだ・・・
どこに行く訳でもなく、一目散に走っていたので、
どこをどう走っていたのかなんて、一切覚えていない。
とりあえず、走ったんだ。
それ以外は・・・何一つ覚えていない。
それほど、頭の中には怒りと悲しみ、そして絶望が取り巻いていた。
本音を言うと、何を考えていたかも分からない。
ただ、その時のことを思い出して、最初に出てくる感情が
それだというだけだ。
もっとも、怒りは一番最初のあの瞬間しか感じなかったが。
どれくらいの時間が流れただろうか。
ついに、自分が今まで全く見たことのない土地に着いた。
さすがに疲れに耐えかねて、休憩を取ろうと立ち止まった。
そして、ようやくその瞬間に我に返った。
・・・ここ、どこ?
電柱に地名は書いてあったが、当時幼稚園児だった自分に、
漢字など読めるはずが無く、今でもそれがどこかは分からない。
唯一その場所について覚えていることは、
今しばらく前に母に裏切られた自分へ追い打ちをかけるように、
親と・・・本物の家族と仲良く遊ぶ子供たちが
公園でキャッキャとはしゃぎながら楽しそうな笑顔を
見せつけるかのようにこちらに向けていたことだけだ。
「あああああああああっ!!!!!!」
泣きはしなかった。というよりも出来なかったという方が
正しいだろう。
涙は、走っているときにもう枯れ果てていた。
やり場のないぐちゃぐちゃとした、ドロドロに渦巻く、
色に例えると赤や紫などが入り混じるような気持ちが、
絶叫への道のりの中にいた自分を加速させた。
太陽は、俺にとどめをさすように、痛いほどに輝いていた。
別に昼間の公園で叫んだところで、注目されることもない。
なぜなら、すでに公園は騒がしく、泣く子供もすでにいたため、
子供がたった一人多く泣いたところで、気付くよしもない。
どうせこけたんだろうと勝手に決めつけられて終わりだ。
第一、見られたところで恥という感情が凍っていたあの瞬間、
何も感じなかったと思う。
そんな時だ。
痛さだけの太陽の光で無く、優しくて柔らかい光が差し込んだのは。
「どうしたんだいボク?こんなところで一人で?」
それが、初めて零花様と会ったときだった。
続く
________________________________
沙羅「ねえ、これって誰の過去話?」
代介「読みゃ分かるだろ」
沙羅「ま、確かに候補は一人しかいないけど・・・」
代介「でも、あんたなんか(以下省略)ってどういう・・・?」
沙羅「気にしなくていいでしょ!すぐ分かるって!」
代介「(う〜ん、軽いなこいつ。初めて見た時は陰キャだったのに)」
終了