コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: リバーシブル    ( No.59 )
日時: 2011/06/23 20:24
名前: 北野(仮名) (ID: 7BFkVMAM)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel6/index.cgi?mode

=第四十七話=ヒント集結




「洞窟・・・かな?」

一つ目のヒントをゲットした後、小島一行は二つ目のヒントを発見した。
正確には、ヒントのある場所へとたどり着いたと言うべきだが。
目の前には決して大きいとは言えないが、そう小さくもない暗く、じめっとした
洞窟が口を開いていた。
生温かい気味の悪い風が奥から吹き抜けている。
そして、空気を切るような羽ばたく音が聞こえてくる。
もうこの時点で大体の予測はついている。
ヒントのある場所はここであり、この場所は「赤きがひしめく」に
相当することも分かる。
と、するとだ。赤きはおそらく眼であろう。
なんの動物かって?それはもちろん・・・蝙蝠。

「蝙蝠って何?」

漢字に余り詳しくない沙羅が小島と治に聞く。
普段パソコンに頼り切るからこんなことになるのだと代介は言っている。
読書家の基裏もすぐに分かるだろう。
無駄な知識の多い代介、普通に賢い紫表と治も
すぐに分かる。
小島さんはどうか知らないが・・・

「どういう字だよ・・・」

あれ?そういえばなんでこいつは読み方分かんないのに
漢字だけ出てきているんだ?
俺もなんで分かっているんだ?

「ナレーさんが言ってるからだよ」
「はあ!?」

えっ?ナレー・・意味が分からな・・・

「天の声だよ。ナレーションナレーション」

もうダメだ。たまに沙羅と伊達、果てには代介は
作中人物だというのに作者や、読者用の文に干渉しやがる。
ついて行けない紫表と基裏、小島さんはしょっちゅう振り回されている。
もっと常識人が欲しいと思う。

「もういいから入ろうぜ」

そして無知を後悔しろ。それだけ心の中で吐き捨てて洞窟へと入って行った。






外から見た通り、洞窟内はジメジメとしていて
多数の水たまりが出来ていた。
天井から岩が氷柱のように垂れ下がっている。
そんな中、キョロキョロとせわしなく蠢く赤い小さな光。

「あれ?なんでだろ?」

いきなり沙羅がパソコンの画面を見て素っ頓狂な声を上げた。
何やら波線が忙しく画面の中を駆け回っている。
縦にはvo、横にはHzとなっている。

「何にも音は聞こえないのに音声センサーが反応してる」

確かに、細かくて振動数のよく判断できないほどの高い音が
感知されている。
まあつまりあれだ。超音波。
ここまで来たらみんな分かったであろう。

「当たり前だろ。コウモリがいるんだから」
「・・・へ?」

バサバサバサッ!

突如天井の、壁中のコウモリが飛び立った。
赤く光る眼を従えて縦横無尽にあちらこちらへと飛びまわる。
沙羅は余りのショックで悲鳴を上げることさえできないでいる。
あーあ、また泣きだした。
全く誰なんだろうな。こんなところに置いたの。
普通に考えたら基裏だろう。
でもこんなことするのって・・・


                  〜〜〜

「はっくしぇーいっ!!風邪かな?」
「何してんだよ。うるさいぞ」
「すまないねー紫表ちゃん」
「ちゃん付けすんじゃねえ」

お次は伊達用の服(未使用)を(脅されて)着さされた紫表だった。
代介の高笑いの五月蠅いこと五月蠅いこと・・・



                  〜〜〜


洞窟から辛うじて脱出した沙羅はまだ目に涙をたたえながら
三角座りしてじっと動かずにいた。

「知ってたくせに知ってたくせに知ってたくせに知ってたくせに・・・」

ああ、こりゃ面倒くせえな、そう思った治はヒントを取り出した。

「なるほど、「ハ」と「の」か」

しばらく休憩していこう、小島はそう思ったのでそこに腰かけた。
そして山の麓の方の景色を眺めた。

「にしても良い所だなー」

すると一つの川が目に入った。
一筋の川から二つに分かれているその姿はまるで・・・

「人って漢字に似てんなー」




そうつぶやいたその時、実はそこに他の一行が差しかかっていた。
伊達を筆頭とする健史宗治の三人組だ。
なぜそんなところを通るか?
そんなの決まっている。手掛かりを求めてだ。
第六のヒント、人という名の清流。
それが今通っている土地の形なのだ。
水辺に立てかけてある看板、そこにあったのはもちろん・・・

「OK、「ホ」と「ぎ」ね」




                           続きます


次回、ヒント情報争奪戦だよ

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紫表と遊び疲れた鈴未はどこかへと走って行った。
ついに紫表は解放された!
(黒い人と過ごす)経験値が尋常じゃないほど溜まった!
疲れもドッと溜まった!
精神的に死にかけだ!
そんな紫表の前に立ち塞がるは・・・・・

「ずいぶん疲れてんなー」

代介だった。