コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: リバーシブル ( No.69 )
- 日時: 2011/06/27 20:58
- 名前: 北野(仮名) (ID: ZEjsU2TR)
=第五十七話=やっと五日目だねー
四日目のイベント、宝探し大会の終わった後に
紫表と代介が苦労して持って帰った巨大魚で、バトル復活のセレモニーが行われた。
まあ馬鹿みたいにはしゃぎ倒すだけの宴会同然のものだが
とある兄妹の気分は最悪だった。
「また筋肉痛かよ・・・・・」
「正直闘いつかれた・・・・・・」
浮かれ騒ぐみんなをしり目に平和主義(?)の二人のトーンは
凄まじかった。
正直これには何の意味も無いので省かせていただきます。
その次の日の話だ。
次にこの七人組を襲う事件の片鱗が見え始めたのは・・・
鶏が快く鳴く声が聞こえる。
障子からうっすらと目元に差し込む光がまぶしい。
和紙越しとはいえ、日光が当たっているので
春の陽気から夏の暑さへとシフトチェンジしていく
微妙に暖かい気温に起こされた。
眠気を覚ますために、まず上半身を起こして
両腕をぐっと上方に上げた。
眠たそうに片目をつぶり、思いっきり両腕をさらに持ち上げて
背筋を伸ばして伸びをする。
調度いい、そう思ったタイミングでパッと組んでいた指を解き、
左右に別れさせるようにして勢い良く体の両脇に下ろした。
なおも頭の中にこびりつくわずかな眠気を振りはらおうと、
首を左右に軽く振った。
やや寝ぐせの付いた、女子としては長くも短くもない
標準ぐらいの長さの髪も、その動きに合わせてサラサラと動く。
鞄から櫛と手鏡を取り出してそのやや寝ぐせの付いた髪を解き始めた。
昔から、髪質がいいといろんな人から言われている自慢のそれは
櫛の動きに合わせてスッときれいに整っていく。
最後に、お気に入りの髪ゴムできちんと整えて寝起きの支度は
大体完了した。
「何かメール来てるかな?」
リュックサックの中に大切そうにしまってある
一つのクッション性を持った袋状の入れ物を取りだした。
その中からさらに黒い立体を取り出す。
畳の上にそれを置いて、ゆっくりと開き電源を入れた。
多少日が射しているとはいえ、電気を付けていない上、
窓も大概雨戸ごと閉め切っているのでやや薄暗くなっているその場で
画面から漏れ出る光はぼぉっと薄暗く沙羅の顔を照らした。
「ん?同じ班の人からだ」
カチッとその新しく届いたメールを右クリックした。
『どうしよう!ヤバいって!うちらだけだよまだ何もやること決まってないの!
代介にも伝えて!文化祭で何かやるか意見あるか聞いて!
そして沙羅も考えて!これクラスのみんなに送ったから』
これを見て、今まで全く覚えていなかった学校行事を思い出した。
「一ヶ月後文化祭じゃん!」
ヤバいよ、何も考えてないよ。
代介代介・・・起きてる訳ないよ!
あいつ早寝遅起きだから・・・
私自身何も考えてないし、どーすんの!?
そんな風に沙羅がバタバタ騒いでいたときのことである。
伊達はその騒音に起こされた。
「大変そうだね?どったの?」
半開きの目をゴシゴシと擦って目を覚まそうとする。
伊達の髪には自分と違い寝ぐせ一つ付いていない。
「文化祭が・・・文化祭がああぁぁぁああああぁああああ!!!」
そーいやそんなんもあったねー、と後輩の問題を
ぞんざいに扱いながらようやく目を覚ました。
「二年は全クラス合唱で三年は劇。一年はなんでもできるからしっかり楽しみな」
それだけ言うと伊達はすぐさま着替えをしようと、タンスに向かった。
その様子を見て途方に暮れた沙羅はふともう一通のメールに気付いた。
なんか良く分からない迷惑メールの類だった。
だがなぜか見たいという好奇心に駆られ、開いてみた。
<奇跡のナノテクノロジーをあなたに!>
文章の出だしは、赤や黄色で派手に彩られたそんなでっかいタイトルだった。
沙羅は、うわぁ〜と目をちかちかさせながらも下に画面をスクロールした。
そこには、長ったらしい文章が書かれていた。
『某有名株式会社、日参が車と並行して研究、創作していた
ナノマシンという機械がついに三日前誕生しました!
そのサンプルを七名にだけプレゼント!詳しくは・・・』
そこまで読んですぐさまこのメールを削除した。
まず、内容が怪しい。
そんなものが出来たのなら昨日にでもとっくにニュースになってるはずだ。
ついでに七つもそんな高そうなものを配るのがおかしい。
—————てかそれ以前に私パソコン以外の機械に興味無いし
実際そんな沙羅だから、中学生になってケータイでもいるか?と
親から聞かれた時に、パソコンあるからいらないと返したほどである。
「それより文化祭だよ、どーしよー」
場所は移り、薄暗い場所で。
数人の人間がヒソヒソと話していた。
「日陰で過ごすのももう終わりだ」
「この呪術で全ては変わる」
「あの人から受け継がれたこの力」
「今までの仕返しをしてみせよう」
「手始めは文化祭。そこで多くの生徒に逆襲する」
「今こそ、我らが力を知らしめるのだ!手始めはパズル部!」
「ああ、竜門中学オカルト研究同好会の名にかけて」
続く
______________________________________
この学校変な部活多いねぇ〜
- Re: リバーシブル ( No.70 )
- 日時: 2011/06/29 20:00
- 名前: 北野(仮名) (ID: uel54i.x)
=第五十八話=話し合い
午前九時、朝食を食べ終えた三十分後。
沙羅はいつものようにパソコンに向かっていた。
もっとも、やっていることは普段とは全然違っているが。
<全員集まった?>
画面上についさっきまで無かった文字がいきなり現れる。
それを合図として、「いるよ」とか「います」とかいう内容の
ものがいくつもいくつも液晶を埋め尽くしている。
現在、文化祭で何をするかチャットを使ってみんなで話し合いをしているのだ。
<別に全員いなくていいから始めようぜ>
そんな中、一つのセリフがその連鎖を断ち切った。
まあ、クラス全員がいるのはすでに確認できたからもういいのだが。
「誰よ、そんなこと言ってんのは?」
キーボードには打ち込まないが沙羅は現実世界で愚痴を言った。
「真後ろにいんじゃねーか」
「あんたかよ、代介」
かなりだるそうにして掌の中で何かを扱っている。
良く見てみると、それは最近人気の出てきた
「小さいパソコン」という代名詞の付いたケータイの一種だった。
「ス●ートフォンだっけ?なんでそんなもん持ってんのさ?」
「ついこないだ助けたおっさんが通信機器の会社の偉いさんで勝手にくれた」
「助けたって・・・何したのさ?」
「強盗に襲われてたから矢で射抜・・」
「やっぱいいです」
なんにせよ、いやいやとはいえ、代介が混じっている
この珍しい状況の中、会議は進んでいくのであった。
なぜこんなにも慌てているのか?
その疑問に答えるのは簡単だ。
時間が無いから、そうとしか言いようが無い。
具体的に何をするか決まってからは、準備は総合の授業中にしか出来ない。
一ヶ月後にはもう開催、ちなみに準備が出来る授業は週一である。
ついでに言っておくと、もうすぐ魔の中間テストである。
正直代介、紫表、治は成績いいが、自分と基裏は・・・酷い。
「ま、いいわ。さっさと画面に集中して」
そんな会話をしている時には、もういくつか返信があった。
どれどれ、中身は・・・
<うわ、代介だ!意外!>
<機械系使えるんだ—>
<代介の言うとおりさっさとしようよ>
あ・・・完全にこいつ話題の中心だ。
とりあえず、会議は続くのであった。
<喫茶とかどう?>…クラスメートA
<それはPTAの専門だから許可されません>…代介
<歌おうよ!>…クラスメートB
<二年生に負けるよ>…代介
<劇も無理?>…クラスメートC
<無論>…代介
<何ならいいんだよ!>…クラスメートA
<縁日とかでいいんじゃない?射的とか>…代介
<銃どうすんの?>…クラスメートC
<エアガン?>…クラスメートD
<いや、しょっとが・・
「待て待て待て待て!!」
さっきからこの会話に入って行けず、とりあえず代介の方の
画面からその光景を見ていた沙羅だったが、
法に触れそうなものが出てきそうだったので、
送信を取り消した。
「なんでショットガンなんてあんのよ!?」
「親の趣味がクレー射撃」
「結構そんなものだったりすんのね・・・」
中々進まないものだったりした・・・・・
続きます
_______________________________________
基裏「紫表兄勉強教えてー」
紫表「どのへん?」
基裏「疑問文のあたり」
紫表「Doを最初に付けて最後に?そんだけだよ」
基裏「いや、だからそれがちょっと・・・」
紫表「え?なんで」
基裏「いや、何か生理的に・・・」
紫表「言葉なんだから理屈は抜き、さあ覚えましょー」
結論
紫表に勉強を教えてもらう時は必要最小限の知識を持ってから!
- Re: リバーシブル ( No.71 )
- 日時: 2011/06/30 17:58
- 名前: 北野(仮名) (ID: aS9uLd49)
=第五十九話=手抜いてるとか言わないで!
その日一日中みんなで話し合いをして、ようやく決定した。
文化祭でするのは代介の提案した縁日。
内容は、射的とくじ引き、そして金魚・・・は流石に無理だったから
スーパーボール掬いになった。
射的の担当は代介と沙羅とクラスメート数人。
景品は各自が家にある特に使わなくなった物を持ってくることにした。
古くなったサッカーボールとか、でっかい水鉄砲とか色々
よさげな物がそこそこ見つかった。
銃は何を使うのかというとエアガンである。
ただ、普通のBB弾じゃ倒すことなんて到底出来ないから
位置は多少遠くなるが的を設置、そこに当てたら商品ゲットである。
次にくじ引きだが、ただ単に射的を簡略化しただけである。
担当はクラスメートA〜Cとその他数人。
ラストのスーパーボール掬いは・・・説明いるかな?
担当は残ったやつ全員。
ここおまで決まるのに軽く五時間はかかった。
途中昼飯を取ったりしたので結局の話、終わったころには
軽く三時を回っていた。
そうして、パソコンの電源を切ったそのとき、
タイミングを見計らったかのように伊達がやってきた。
手には楽譜を持っている。
おそらく一人でどこかで歌の練習をしていたに違いない。
そのまま楽譜を鞄に入れて、二人の方にやって来た。
「決まった?」
電源を切ったところを見ていたので、
話し合いがもう終わっているのは知っていた。
「はい、何とか。プチ祭りみたいなことをしようと・・・」
「ああ〜、私が一年の時に隣のクラスの人がしてたな」
結構受けは良かったよ、そう言って居間の方に帰っていった。
「俺も部屋戻るか」
ケータイをポケットにつっこんで伊達が言った反対の方向に
スタスタと歩いていってしまった。
「練習しないとな」
部屋に着いた代介は、壁に立てかけてある
弓を取りだした。
まだあの日の闘い以来、天弓の蛇の装飾の色は褪せている。
まだメンテナンスが必要な証拠だ。
ま、普通の矢は撃てるのだが。
「で、部長。何に顔をうずめてんすか?」
部屋の隅で小島が顔を一心に寄せて
何かを読み込んでいた。
確か三年は劇だから台本だろうな。
「うちのクラスの台本。なんか知らんがいろんな人に
大量のセリフがあってな。俺も結構覚えないといけないんだ」
やっぱな、そして大変そう。
それだけ心の中で言って、「そっすか」と
素っ気ない返事をして矢の打ちっ放しに行った。
自分だからこんなもので終わったが、伊達にならもっと
キツかったろうな。
そう自分が代介に嫌われていないことをやや感謝した。
「伊達以外はあんだけ言われたら心折れるんだろうな」
苦笑いしながら台本に目を戻した。
「あれは手に入ったか?」
暗い理科準備室であの輩がまたしても話をしていた。
ここには、人体模型や生物のホルマリン漬けなど
様々な見慣れない物が並んでいるが、ここが部室になってから
もうかなり経っているので何も感じない。
慣れとは恐ろしいものだ。
「ああ、手はず通り横流しで手に入った」
「一時はどうなるかと思ったよ。あんなのが配られるなんて」
机の上に、数枚のお札が並べられた。
幾何学的な模様が螺旋を描いている。
「呪術符だ。一つずつ配っていく」
六人の人間が一人の前に並んだ。
「スタークロス(五傍の聖架)」
そう言って、目の前の人間にそのうちの一枚を与える。
真っ黒なローブを羽織っているので、男女の区別は
ここの人間にしか分からない。
そして、一人一人、慎重に配っていった。
続く
- Re: リバーシブル ( No.72 )
- 日時: 2011/07/02 13:47
- 名前: 北野(仮名) (ID: arQenQl7)
- 参照: もうゴールデンウィークのネタが尽きたんだ
=第六十話=開戦までのカウントダウン
そういう風に平和に五日目は過ぎ去り、ついには六日目になってしまった。
明日が長かったゴールデンウィークの最終日。
一日家でゆっくり体を休めるためにみんな今日中に家に着くよう
荷物をまとめて帰る用意をしている。
「用意出来たか、基裏?」
寝坊した妹の元へ紫表がやって来た。
もう昨日のうちに荷物を畳んでいた紫表はすでに暇人であった。
沙羅もコンピューターだけを大事にしまい、
他の着替えなどの荷物は適当に詰め込んだので
もうとっくに終わっていた。
治や部長、代介は早起きしてさっさと片付けていたから
朝食までにはやはり終わっていた。
「先輩の方が大変だけど私もまだだよ」
チラッと基裏が伊達の方を見た。
宗治や健史、大地や零花から大量のお土産を渡されているので
持ち運びがすでに面倒くさそうな状況に陥っている。
「今日で帰るとなるとちょっと淋しいな」
独り言のように紫表は言葉を漏らした。
「だったら将来ここに住むか?お前ほどの実力の人間なら大歓迎じゃ」
さっきまで孫と話していた零花がやってくる。
紫表は深々と頭を下げた。
「師匠、昔から世話かけっぱなしで申し訳ありません」
「構うものか。それどころかお主は立派にここを守ってくれた。
助けられているのはこっちじゃ」
そう言ったときの話だ。
電話を持った伊達の父親が部屋に来たのは。
「紫表君、電話だよ」
一体誰からだろうかと思いながら受話器を受け取った。
そこからは、ついこの間闘ったあいつの声が聞こえた。
「久しぶり、でもないな」
「龍牙か、どうしたんだ?」
「ああ、一つ忠告だ」
「何があったんだ」
「月輪(がつりん)の連中には気を付けろ」
「月輪?一体何だそれは?」
「詳しくは俺も分からん。名前が月輪の同胞衆ということと、
えらく強いやつがいることしか分からん。
ボスはいないが七人の幹部がいる」
「七人?多いな」
「ああ、素性が割れてるのはたった一人だ」
「誰だ?」
「伊達彩子」
「ハァ!?それって・・」
「美千流には黙っとけよ。連中のやることは過激だと思っとけ。
中坊に兵器まがいのものを渡すほどだ」
「何を渡したって言うんだ?」
「自分の目で確かめろ。お前らは狙われてる」
そして、電話は切れた。
リダイヤルしようとしたが公衆電話からかけてきたようで、
それは出来ずに終わった。
「何があったの?紫表兄」
基裏が心配そうに顔を覗き込んできた。
おそらく今、自分は驚きと動揺で顔は歪んでいるだろうと思った。
「あ、あぁ。まず準備をしてくれ。その後みんなの前で言う」
それだけ言って一旦自分の部屋に戻った。
「・・・・・ということらしい」
伊達の母が幹部の一人だということだけを伝えずに
それ以外のことをパズル部のみんなに伝えた。
まず、月輪という言葉に代介が反応した。
「そいつらのことは一つだけ知っている」
珍しく眉間にしわを寄せて、瞳に憎悪を湛えた目で
吐きだすようにそう言った。
手元の弓を抱えるようにして強く掴んだ。
「七人の幹部の一人は、俺の兄弟子だ」
「マジかよ」
伊達に続き代介の知り合いもメンバーか。
世間の狭さを思い知る。
「何にせよ、襲われるというなら対策は一つね」
それを聞いても伊達は臆せず、取るべき道を切り開いた。
「帰り討ちだな」
小島もいつになく物騒なことを言う。
だが、正当防衛ならそれもやむを得ない。
「ただ、紫表と代介がフルじゃない」
「そこなのよね」
治が問題点を指摘する。
それは困るな、といった風に伊達はくしゃくしゃと
髪の毛を掻き回した。
「いや、倒してみせます」
腰に付けている立方体を手でいじくりながら紫表は答えた。
「尖牙激昂(せんがげっこう)は使えますから」
「・・・何それ?」
聞いたことがない、そう驚いた表情で伊達は
紫表の方を見た。
「説明は今度します。それより、身を守る術を考えましょう」
そうして、七人は大きく不安を残して、
帰路につくことになるのだった。
続く
_________________________________________
会話多すぎだ・・・
そして、次回ようやくゴールデンウィーク終了!
四十話以上もゴールデンウィークじゃん!
次は文化祭直前決闘編とでも言おうかな?
- Re: リバーシブル ( No.73 )
- 日時: 2011/07/02 21:42
- 名前: 北野(仮名) (ID: arQenQl7)
- 参照: もうゴールデンウィークのネタが尽きたんだ
=第六十一話=答え
「紫表君、結局あの伊達家の財産って何なの?」
今にも出発しようとしているところに伊達がいきなりそんなことをぶり返した。
あー、そんなのもあったなーと思いつつも紫表はその答えを口にした。
「簡単ですよ。あれは暗号じゃなくて詩みたいなものです。答えはき・・」
「うわ〜そんなのいきなり思い出すとかやっぱり黒いんだー」
いざ、答えを言ってやろうとした紫表の声は代介によって遮られた。
にしても隙あらばこいつは喧嘩を売るな。
「代介、しばき回すわよ」
「きゃー、紫表ちゃんお助けー」
どこまでもふざけた口調で紫表の影に隠れる。
血管を浮かべながらも伊達は嫌々拳を引いた。
「なんで紫表は殴らないんだ?贔屓?贔屓?それ良くないよね」
「いっそのこともう黙りなさい」
一度おさめた拳をまたグーに固める。
明らかに怒っちゃってますよね。
「あれ?それとも紫表くん大好き?」
「ぶっ殺すわよ。後輩に手出すとでも?」
伊達が紫表にどくようにジェスチャーをする。
それに従って横にスライドしたが、結局代介もそれに着いてきたので
ずっと盾になり続けていた。
「ていうかあんたこそことあるごとに私に絡みすぎじゃない?
先輩尊敬してる?Do you love me?」
「んな訳ねえじゃん。俺の目には一部の人間除いて男も女もミジンコもみんな同じだよ。
例えそうじゃなくてもあんたなんかよりハッカーを尊敬するね」
一部の人間とは仲のいい男子や、クラスメート、家族などが入るようです。
また、悪人や自分の嫌いなタイプの人間も例外です。(嫌いだから)
「で、結局答えは何なの、紫表兄」
宝なんかどうでもいいが、答えの気になった基裏が
紫表を問いただした。
その一言で、鬱陶しい代介をほっといて答えを聞きだすことに
専念しようと伊達は決めた。
「あれは言い方が悪い。あの財産は何も伊達家だけのものじゃない。
財産の在り処を分かりやすく言うと・・・」
紫表は、自分と基裏の間に手を出した。
そして、そこに何かがあるようにぐっと掴んだ。
「ここにある」
「え・・・空気?」
「違う・・・・・・・」
溜息をついて、一気に呆れたような顔つきになる。
そして次に、すぐ後ろにいる代介との間で、
同じように拳を作った。
「ここにもある。何か分かるか、代介?」
「絆、とかそんな感じじゃねえの?」
一番その言葉が似合わない人間があっさりとそれらしい
解答を口にする。
かなり失礼な話だと思うが、その場の人間たちはどよめいた。
「そうだ」
しかも正解。
いやー、意外な人が当てるものなんですね。
「にしても、宝が無いってそういうことだったんですね」
伸治が当主陣に対して感嘆の句を述べる。
一番宝に期待していたような人間なのに全くと言って良いほど
落胆していない。
ほとんど好奇心だけで宝なんて眼中に無かったようだ。
「気は済んだか?」
「すっきりとしました」
ふと小島は時計に目をやった。
もうすでに十一時を回っている。
「伊達、電車十二時半発だよな?」
「はい。ってもう十一時!?」
「しっかりしてくださいよ、先輩」
「代介、何度いったら・・」
「今の治ですよ」
「え?そうなの」
確かに毒々しい言い方ではなく
ほとんど呆れるような言い方だった。
まあそれはそれでムカつくが・・・
「先輩、電車〜」
「分かったから基裏ちゃんちょっと待って」
そして、門の左側の柱に向かいあった。
右手を沿えて、優しく目を閉じて、祈るようにぼそりと呟いた。
「次こそ帰っていますように」
そして、ピッタリと体を寄せつけて
自分の身長のところに傷を付けた。
横に、十三歳と半年ぐらいと刻んだ。
「戻ったら見といてよ」
そして、急いでみんなの下に戻ってきた。
やっと、帰る準備が完全に出来たようだ。
「じゃ、次は夏休みに。今度は私一人で帰ってくるよ」
「いや、伊達流剣術持っている者は今年集合だから烏丸兄妹も来るぞ」
この瞬間、二人の頭にクエスチョンマークが浮かんだのは
言うまでもないだろう。
「えっと・・・何があるんですか?」
「ああ、今まで紫表は呼んだことなかったの。
三年に一回、伊達流剣術の大会みたいなものがあるんじゃよ。
まあ、十三歳と言えば一昔前なら元服までもう少し。
立派な大人じゃ。参加してもらうぞ」
「ごえんり・・」
「紫表君、いい訳無し。後電車乗り遅れるわよ」
気付いた時には時すでに遅し。
みんなすでにはるか彼方へと行っていた。
伊達が超速戦闘で一瞬で連中に追いつく。
紫表はというと、筋肉痛が昨日取れたばかりで上手く体が動かない。
よって、一人だけ駅に着くのが電車到着の寸前なのだった。
続く
________________________________________
ていうかあの子もうしばらく超速戦闘できないしね
- Re: リバーシブル 人の名前考えるのってめんどくさいよね ( No.74 )
- 日時: 2011/07/03 18:26
- 名前: 北野(仮名) (ID: arQenQl7)
- 参照: 二つに分けます
誰かー、人物名をくださーい、人間は思いつくけど名前が無いんですー
以上、独り言でしたー
=第六十二話=開戦
「ああぁ〜、疲れた」
家に帰って来た治が初めに発した言葉はそれだった。
自分の部屋の、柔らかいベッドに久しぶりに飛び乗る。
ほんの少しの抵抗だけ示して、ゆっくりと凹んだ。
洗剤のスッキリとした匂いの中で、いざ寝ようとした時に
ケータイが鳴った。
余談
小島、伊達、治…ケータイあり 沙羅…パソコン 代介…ip●one
残り2人…何もなし
「一体誰からだよ」
ガサゴソとポケットの中をまさぐって機械の匣を取りだす。
横のボタンを押すと、カチッという心地よい音が響き、
ひとりでに画面を見せてくれた。
「・・・マジで誰だ?」
見たことも無いメールアドレスだった。
moon-circle.dragon-gate(以下略)といった感じだ。
いちいち何のメールをどこの誰が送って来てんだよ。
なんだ?ドラゴンゲートって竜門中のことか?
同級生の可能性が高いと思われたので、開こうとしたその時
脳裏をよぎる一つのフレーズ
—————月輪の同胞衆
「——っつぅっ!!!」
moon…月、circle…丸=輪
まさかこれは・・・・・
—————俺達は狙われているらしい。
脳裏に現れたもう一つの紫表のセリフ。
あの龍牙から送られてきた情報だから信憑性は個人的には一切無い。
だが、紫表は実際に信用していた。
それに、代介の話から察するにその組織の存在は確かであろう。
不安と勇気の入り混じった思いでケータイの決定キーを押した。
すぐに、開けなければ良かったと、後悔することになる。
『犯罪者どもが。いきがっているんじゃあない。
裏活動?ハッ!驕りたかぶった偽善者の自己満足だ。
悪人潰すと息巻いてるがお前らのしてることが悪じゃないとは言えないよなあ?
粛清だ、制裁だ!!今すぐ学校に来いよ、相手になる
さあ宴の始まりだ』
「調子乗ったかっこつけが何言ってんだか」
そんな風に平静を装い、強気な独り言を言ったはいいが、
内心はかなり取り乱していた。
こいつ…裏活動を知ってる!?何者だよ!
一旦紫表の家に電話をかけてみることにした。
ケータイの電源の部分のボタンを軽く押し、
ホーム画面に戻る。
そして、市外局番から一文字ずつ、
落ち着かせるようにゆっくりとボタンを押していった。
「何だこの張り紙?」
同じころ、紫表は自分の家のドアに一枚のA4の紙がべったりと
張られているのを目にした。
ついさっき張られたようで、糊が乾ききっていないどころか
塗ったばかりのようだ。
まるで、自分が帰ってくる時間が予測されていたようだ。
まずは母さんに聞いてみよう、そう思って家の中に紫表と基裏は入った。
「ただい・・」
「ああ、紫表帰ってきたわ。今代わるね」
いきなり、ただいまも言っていないのに母さんがやってくる。
手には受話器を持っている。
誰からの電話なのだろうか?
「白谷くんからよ」
どうやら治からのようだ。
おそらく内容は・・・
「もしもし」
受け取った受話器を耳におしあてる。
持っている右手が小刻みに震えている。
電話の向こう側から治の声が聞こえてきた。
「なあ、紫表。月輪が・・・」
「ああ、俺も張ってあった。内容は・・・」
この後話して分かったのだが
書かれていたことはほとんど同じだった。
ただ、少しだけ違うところは
治の場合、粛清だ、制裁だ!の部分が
紫表の場合は、裁きの時だ、その身に無力を思い知るがいい!だった。
「どうすんだ、紫表?」
まさかこんなにも早くに来るとは思ってもいなかった。
だったらいっそのこと・・・
「俺は行く。治は先輩と部長、代介に伝えてくれ!頼んだ」
「待て紫表!お前体は・・」
話を最後まで聞かずに電話を強引に切る。
そして、血相を変えて基裏の方を見た。
「基裏、ドアの片付けと母さんを頼む!学校に行ってくる」
それだけ言って、カバンを置くと
帰って来たばかりだというのにまた夜の道へと飛び出した。
「あの子どうしたの?」
母さんがやたらと不審そうな顔をしている。
それをいち早く察知した基裏は全力でフォローに回った。
「何か最近いたずらが流行ってるの。今被害にあったから学校に隠れてる
犯人のところに行ったのよ」
まじでいたずらみたいな感じで良かった。
とりあえず、基裏が一番苦労したのは、
裏活動のことを知られないために自分ひとりで片付けるよう母を説得することだった。
- Re: リバーシブル 人の名前考えるのってめんどくさいよね ( No.75 )
- 日時: 2011/07/03 18:34
- 名前: 北野(仮名) (ID: arQenQl7)
- 参照: 二つに分けます
「あ〜、今週は楽しかったな〜」
夜道をゆっくりと帰っていた沙羅は
パソコンを見てないので、そんな非常事態に陥っていることに
気が付いていなかった。
鼻歌なんか歌って、のんびりと帰っているその時
闇の中から、闇の様に真っ黒なローブを羽織った一人の人間が現れた。
そのローブのふちが紅く彩られていなかったら
おそらく沙羅はその存在に気がつかなかっただろう。
初め沙羅はこの人を気にも留めていなかった。
「・・・・・早乙女沙羅ね?」
かすれるような、幽霊のような弱々しい声があたりに響く。
その気味の悪さに、背筋が逆立つような感覚を覚えた沙羅は後ずさりした。
その、女と思われるローブの人間がスッと右腕を持ち上げる。
まるで、操られているマリオネット人形や、機械のように
角ばった動きで何かを天に捧げるように右腕を高く高く上げた。
掌の中にあったのは一枚の薄っぺらい紙きれ。
「地に伏せ給いし霊魂よ、汝に命ず。我汝らを縛りつけしその鎖断ち切らん
故に汝らその者を押さえよ」
—————何?呪文?
意味ありげな古典的な言葉を言い放った後、
彼女は今までとは打って変わって
喉が弾けそうな声で狂ったように叫んだ。
「ロック・バイ・GHOST!!!!(霊魂の枷)」
カシャン
何か、子供が遊ぶブロックが連結するような快音が聞こえる。
途端に、沙羅の体はピクリとも動かなくなった。
何か、『見えない枷』に捕われているような気分。
「動かない・・・・・」
ヤバいヤバいヤバいって!!
何この人!?いきなりさあ!
まずなんで体が動かないんだよ!?
「これは呪術符。月輪の組織から譲り受けし力」
呪われた、血塗られた人形のようにその人は
恐ろしい形相で笑った。
まるで、外国のホラー映画に出てくるような
おそろしい魔女の形相。
ローブから、ようやく顔が見えたかと思うと、
その顔には見覚えがあるような気がした。
どこから取り出したか分からないが、手にはバットを持っている。
「ショー、ターイム。アハハハハハハハハ!!」
狂った笑い声は夜の闇に吸いこまれていく。
その光景を見ている男が一人いた。
「何だあいつ、こんなとこで何叫んでんだ?
それよりも襲われているあいつは・・・」
闇の中の謎の男は沙羅に気付いた。
「しゃあねえ助けてやるか。それよりあいつら上手く合流したのか?」
その影は、紫表とも、代介とも、小島とも、治とも異なっていた。
続く
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近所迷惑極まりない・・・
- Re: リバーシブル 人の名前考えるのってめんどくさいよね ( No.76 )
- 日時: 2011/07/03 18:36
- 名前: 北野(仮名) (ID: arQenQl7)
さっき言った人物名ピンチは気にしないでください。
適当に同級生や芸能人とかの名前組み合わせるんで。
独り言ではなく作者の戯言でございます。
それより呪文のが難しい・・・
- Re: リバーシブル 人の名前考えるのってめんどくさいよね ( No.77 )
- 日時: 2011/07/03 21:28
- 名前: 北野(仮名) (ID: arQenQl7)
=第六十三話=意外な救援
「帰ってきて早々に一体何だってんだよ、くそっ!」
日もとっくに暮れてしまった夜道を代介は走っていた。
まだ気弓を撃つことはできないというのに天弓を持ち出している。
家に帰ってすぐに妙なメールに気付き、急いで荷物を投げ出して
矢を無造作に数本だけ奪うように掴み取って
敵が待っているであろう本拠地となっている学校に向かって駆け出していた。
「男陣はまだ大丈夫だ。
基裏はそこそこに強いし・・・
先輩は普通に超速戦闘が使える。まず逃げ切れる。
だけど沙羅は何もない・・・
急がねぇとどうなることか・・・」
右手に束で掴んだままの矢を持ち、左手で弓を持っているので
思うように腕が触れず想像以上に走りにくい。
背中の矢をしまう入れ物にさっきから少しずつ収納しているが、
まだ二本程度しか入っていない。
焦れば焦るほど指先は思うように動かない。
「・・・間に合えよ」
目を細めて歯をおもいっきりくいしばる。
他の奴らはどうでもいいが、仲間だけは守ってみせる。
あいつのいる組織が関わっているならそれは尚更だ。
「あんのクソカス野郎が・・・」
思い出したくもない忌々しい
冷徹な悪魔のような顔を思い浮かべる。
あいつが裏切ったから・・・
あいつが、あいつが師匠に背いたから・・・
「いや、待て待て。とりあえず今は沙羅だ。さっさと行かねぇとな」
あいつがどこにいるか分からねぇ以上、本拠地叩いて潰すしかない。
そんなとき、曲がり角から一人の人間が現れた。
咄嗟に代介は半歩飛び退いて間合いをとる。
手元の矢を弓の弦にかけてキリキリと引き絞る。
暗闇の中、こっちを向いたのは別に物騒な敵ではなく伊達だった。
「なんだ、先輩か。敵じゃなくてよか・・」
「ごめんね、後ろに二人もいるんだ」
そう言われたから曲がり角の塀から身を乗り出してその姿を見た。
確かにそこに、敵と思わしき二人の人間がいた。
二人とも、闇に溶け込むような真っ黒なローブを羽織っている。
動きづらい上に暑いこと極まりなさそうな
着ていると鬱陶しそうな体を包む大きな布。
よく観察すると縁を彩るカラーだけが違う。
片方は橙色で、もう一方が黄色。
「二対一か・・・」
面倒臭そうに、そして半分諦めるように代介はそう言った。
正直逃げ足が速いとはいえ、精神面に傷を負っている伊達に
闘うのは強要できない。
それは健史から聞いた話で分かっている。
「二対二じゃないの?」
「闘う気無いんなら黙っててください」
さっきセットしておいた矢をもう一度引き絞る。
倒せるかどうかは分からない。
相手の力が未知数のうえ、自分は本気を出せない。
「頼むぞ」
カラカラカラカラ
コンクリートの地面の上でバットが引きずられる。
動きを封じられた沙羅に、ゆっくりと
狂気を湛えた目で、顔で、仕草で、オーラを放って近づく
黒い幕に身を包んだ女子。
「裁きの時だ。復讐だ。その第一歩が・・・」
より凶悪な目でバットを振り上げる。
迷いの無い目は、その行為が本気であることを物語っている。
そして、それはゆっくりと振り下ろされていく。
「お前たちだ!!」
恐怖よりも今何が起きているかまだ分かっていない、
未知により生まれるクエスチョンマークの方が大きい。
その金属の棒は、ゆっくりと自分の眼前に近づいてくる。
そこでようやく恐怖を覚えた沙羅は、目を固くつぶった。
ギインッ!
金属同士が擦れあう、耳をつんざく音が聞こえる。
バットが顔に当たる気配は無い。
おそるおそる目を開けてみた。
そこには、予想だにしない人間が立っていた。
「本来は生意気なガキに借りを返しに来たんだが」
ついこの間見たばかりの顔。
到底仲間とは言えない人間・・・
「お前に詫びを入れる方が先になったか」
月光が彼の顔を照らしだした。
廃工場で紫表と対したとかとはおお違いの表情だった。
「・・・龍牙・・・さん?」
それは他ならぬあの龍牙だった。
「なんであなたが・・・」
沙羅が目を丸くしているとハァと大きくため息をついて
頭を押さえた。
「本当は俺だけの予定だったんだ」
その頃、代介と伊達の元にも二つの影が近づいていた。
「怪我人はすっこんでろって言ったのにな」
「・・・てめぇら」
代介はいきなり現われ出た二人の人間に対して
驚きの色を示した。
「そう懐かしくないだろ?」
「てか今回は味方だ」
二人の黒ずくめの人間と代介と伊達の前に現われたのは
あの、前園と蟹原だった。
続く