コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 小説カイコ ( No.63 )
- 日時: 2012/05/05 12:44
- 名前: ryuka ◆wtjNtxaTX2 (ID: L3izesA2)
- 参照: なぜかmyバトンがピンク色のryukaです。
その後、俺は古典の授業を犠牲にして考えたのだ。
まず、時木が成仏しない理由について。
それから、鈴木から悪時木を抜く方法について。
最後に、俺は何ができるのか。
そして授業の終わり、俺の自力では何もできない という結論にたどり着いた。
来る昼休み。
暇人な俺は若きオタク共で溢れ返っている昼休みのコンピューター室に乗り込んで、カイコマスターのサイトの掲示板にこんな書き込みをしたのだ。
“新参の高橋という者です。突然ですが、相談です。今、僕の友達に幽霊が憑りついていて、寿命が二倍速で縮んでいるらしいのです。祓ってあげたいんですが、誰かいい方法を知っている方はいらっしゃいませんか?”
こんなクソ恥ずかしい書き込みをして、その後はしばらくソリティアで十分くらい時間をつぶした。さすがにまだレスは返ってきてないだろうけど、期待感に押されて、もう一回カイコのサイトを覗いてみた。
すると、恐ろしいことに、三件もレスが入っているではないか。もしかしたらカイコマスターはみんな暇人なのだろうか。
掲示板のトップで、赤色のnew!という表示がついている三件のレスにはそれぞれ投稿者の所在地名と名前が表示されていた。
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○new! 時木 杏(千葉県 我島岡市)
今日の8時に駅で待ってる。遅れるなよ。
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○new! 苓見 土我 (神奈川県 鎌倉市)
除霊には相当の経験者か、それなりの血族の者であること、強力な使い魔を持っていることが必須です。話は変わりますが、東京都にお住まいですか?それとも職場か、学校からここに書き込みしたのですか?できれば直接会って、詳しくお話しを伺いたいのですが、どうでしょう。ここに、僕のメールアドレスを載せておきます。
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○new! 長谷川 れいこ (岩手県 盛岡市)
気を付けて!霊は生きているニンゲンとは違います!! 高橋君がどのような霊との関わり方をしているか分からないけれど、どんなに親切でも、仲良くなっても、生きている者と死んでしまった者には大きな隔たりがあることをどうか忘れないで!
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みんなマジレスしてくれたことに心から感謝である。正直、馬鹿にされるかと思っていた。
それに、しても。
この土我さんも長谷川さんも随分と博識だし親切だ。土我さんはメアドまで載せておいてくれたし。本当にありがたい。でも、携帯から土我さんにメールするのはちょっと怖いし気が引けるので家に帰ってからパソコンでメールを入れてみることにしよう。
いつのまにか、カイコがキーボードの隣に居た。……学校までついてくるとは。
「高橋、土我と連絡を取るの?」
「あ、う、うん。っていうか、カイコは土我さんと知り合いなの?」
「まあね。知り合って数十年は経つかなぁ。」
「えー、冗談でしょ。」
カイコがのそのそと動いた。
「いや、馬鹿にしないでよね!高橋!僕はこう見えても今年の七月で百六十四歳になるんだからね?ちょっとは人生の先輩として敬ってほしいかなあ?」
「そりゃあとんだSFだね(笑)」
カイコが む、と少し怒って見せた。そんなちょっとした動作が何となく、可その愛い………って、俺は変態なのか?!
「ところで高橋。今日はいつ部活が終わるの?」
「えっと、ね。頑張って六時半には終わらせたいところだけど。」
するとカイコは、早く終わらせてよね!と言い残すと、空中から突如現れた白い繭の中へ消えていった。