コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

四人目 野田弘樹の場合4 ( No.16 )
日時: 2011/04/30 17:00
名前: 天神千尋 (ID: VmcrDO2v)

ノダはいったん、趣味等々をカミングアウトすると以前のような根暗な姿が嘘のように明るくなった。そんな姿をほほえましく見て、人間ちょっとしたきっかけで変わるもんだなぁと思っていた。

そして、数日であっという間にクラスのアイドル的な存在に躍り出ることになる。ノダはリアクション芸人だったのだ。

柔道の猛者でガタイもでかいのだがとにかくちょっとしたことで悲鳴を上げてくれる。だが、いたずらを仕掛ける方も必死である。何故かと言うとその後には豪腕にものを言わせたラリアットかヘッドロックという報復が待っているのである。ある時も、廊下の角でびっくりさせようと待ち構えて「わーーー!」とやった際に、あまりにもびっくりしてしまいよろけたノダがそのまま教室の扉をなぎ倒して大騒ぎになってしまうなどという一幕もあったりした。

騒がしい毎日を送っていたがアホであり尚且つ馬鹿である我々は浮いた話があるわけもなく放課後は相変わらずゲーセン通い、薄暗いゲーセンでひたすら格ゲーや脱衣麻雀に興じる毎日だった。変わったことといえば、遊びに行くメンバーにノダも加わった事だった。

その日も財布が空になってゲーセンを出た我々は将棋の感想戦のように、

「ロレントは立ち中パンチが対空技なんだから落ち着いて出せばめくりは回避できる」

とか

「せんべいガードさせてのダッシュ二本背負いは卑怯」

だの、その日行った対戦を振り返ってあーでもないこーでもないと会話をしていた。勿論、金も無いのでコンビニ前でジュースやアイスなどを片手に時間を無駄に過ごしているだけだ。そこに岩田さんも加わりそろそろ遅くなったし帰るかとなったところでノダが口を開いた。

「岩田さん、相談があるんですけど」

「ん?何だよ改まって」

「あのぉ僕、非常に絡まれやすいんです...で...えーと」

ともごもごしている接ぎ穂をネギがさす

「こいつ、道歩いててもすぐからまれるんですよ。この間もドームにライブ見に言ったらなんか壊そうな人にからまれてるし」

そして、さらにモリワキが続ける

「で、今度、学校行事で鎌倉に行くんですけど他校の元気いっぱいな人達に絡まれないためにはどしたらいっすかね?」

そうなのだ、ネギとノダでインディーズバンドのライブを見に新宿へ向かった時も、ネギがちょっと目を放した隙にキャバクラのキャッチにつかまったり、俺と映画を見に行ったときもトイレでホモに絡まれたりと事あるごとにトラブルに巻き込まれているのである。

この、鎌倉行きもきっと何か起こる、と本人を含め全員が不安を抱えていての相談だった。すると岩田さん吸いさしのタバコを捨てると

「絡まれるって事は、弱いと思われているんだ!つまりはな!なめられているんだよ。気合を入れろ!」

「え?ってことは剃り込みいれるとかそういうことです?」と俺

ノダ以外の四人が空を見上げて、剃り込みを入れたノダを想像する。

「「「「ぷっww」」」」

全員が同時に噴出してしまった。それに気がついたノダが少し傷ついたのか

「じゃあどうすればいいって言うんですかーー」

と非難めいた事を言ってきた。そこで岩田さん

「まぁ眉毛でも剃ればいいんじゃね?」

とそこで話は終わり夜も遅くなったので全員家路についた。