コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- うんことアホ黎明篇 ( No.21 )
- 日時: 2011/04/30 16:10
- 名前: 天神千尋 (ID: VmcrDO2v)
突然ですが、皆さんうんこを煮たことありますか?まぁそうですよね無いですよね、知ってます。
俺はあります。
と言うと趣味的な世界を想像される方がいらっしゃるかも知れませんがそんなアブノーマルな趣味は一切持ち合わせていません。持ち合わせているものと言えばちょっとした好奇心といたずら心です(てへっ☆)。
とまぁ皆さんの殺意を喚起したところで、ぼちぼちと。
ノダ哀戦士事件より数日。意気消沈するノダを元気付けようと、再びクラスが一致団結をした。策士としてネギが抜擢され様々な提案がされたが結局のところ実行可能な内容をと考えると、俺の意見が採用された。
内容はと言えば
山口の彼女に嘘告白の手紙を書いてもらい、ノダの靴箱に投函。
第二校舎裏へと呼び出し女装したモリワキが待ち構えて全員でノダの誕生日を祝うという計画だった。
ところが、女子の制服を調達したは良いが、モリワキの190近い巨体ではスカートはひざの下で止まってしまう。上着のセーラー服にいたっては両腕が袖を通らないと言う事態が発生してしまい。モリワキにセーラー服を着せると、単なる半裸の変態となってしまうことがわかった。
では替わりの奴は...となったところで、全員がこっちを見ている。
あっという間にモリワキに取り押さえられて、代打俺となったのである。
スカートを履いたことのある男性がもし居れば気持ちをわかってもらえるかと思うんですが、なんでしょね?スカートって股下がすっかすかで不安な気持ちになりますよね?(一体誰に呼びかけているんだ...。)セーラー服を着たところで制服の提供者、山口の彼女がささっと俺の顔に化粧を施す。
化粧が終わり、待ち受ける全員を振り返ると
「おおぉぉ???なんかいるぞこんなおばさん。」
「まぁ無くはないな。」
「キスまでならできる。」
などと思い思いの気持ち悪い感想をこっちに投げかけてくる。
「意外とヒロシは女顔なんだね?」とノダ
「・・・」
「・・・」
おおおおおーーーーーーーーーい。すまんバレたと、ネギがノダの後ろで拝んでいた。どうにも後一手という所でつまずくというネギの計画らしい失敗だった。
計画は失敗に終わったが、せっかくジュースとお菓子を買い込んだので、廃部寸前の自転車部の部室で「ノダお疲れ様です&誕生日会」を催す事となった。
だけどさ、忘れないで欲しいんだよみんな。
おれ女装中なんだけど...。
- うんことアホ黎明篇2 ( No.22 )
- 日時: 2011/05/03 23:20
- 名前: 天神千尋 (ID: UAMHtL4A)
銘々こ汚いソファーやパイプ椅子に着席して、埃臭い部室の中でノダの哀戦士事件の感想や、その後の顛末などを語り合っていた。
我が家は両親がビール党で半分アル中のような二人だったので、味のついたソフトドリンクはお茶か麦茶くらいしか冷蔵庫に入っていない、久しく飲んでいなかったジュースの味に感動した俺は、コーラだのサイダーだのを水のようにがぶがぶ飲んでいた。
と、当然生理現象としてトイレに行きたくなる。
「ちょっとトイレにいってくるわ」
「ヒロコちゃん、ちゃんと赤いほうのおトイレいくのよーー!」
とネギが囃し立てるので、空になった1.5リットルペットボトルを手に取り、ちょっと待てよと思い直して、空でないほうのペットボトルを全力で投げつけてやった。
「ったく誰のせいでこんな格好してると思ってるんだよ...」
と悲鳴を背中で聞きながら、口の中で漏れる漏れると呟き小走りにトイレへと向かう。男子便所の前に辿り着いたときには蛇口のすぐ先まで尿が迫ってきていた。とそこで襟首を捕まれる
「おい、そこは男子便所だ。おまえはこっちだろ!」
振り返らないでも分かる。この野太い声はラグビー部顧問の中村だ。中村は皆から大先生と呼ばれていた。理由は簡単、当の本人がそう呼ぶことを共用していたのだ。都立高校でありながらラグビーの強豪高校にまでのし上げた功績で幅を利かせている先生で、還暦近いというのに保健体育の授業では女子そっちのけのシモネタ全開である。男子にだけは非常に人気のある先生なのであるが玉に瑕なのは、授業中寝ている生徒がいるとスリーパーホールドでオトすという必殺技を持っている。過去、学校が荒れている頃には華麗なジャーマンスープレックスをお見舞いしたなんていう伝説を持っている先生である。
そんな先生にかかれば、こっちは捨てネコ同然。全力の肯首で答えると女子便へと向かった。扉に手をかけても大先生はその場を離れる雰囲気が無い。諦めてゆっくりと押し開ける。
「どうかだれも居ませんように!」
と信じても居ない神様に祈り、扉を開けるとだれの姿も無かった。今度どっかの神棚にチロルチョコ供えます!と気まぐれに信じた神様にお礼を述べて、個室に入る。
スカートのチャックを下ろそうとして、気づいてスカートをまくり座りションの大勢に。蛇口を緩めてほーーーっとしていると、チロルチョコで満足しなかった神様が怒ったのか数人の女子がドタドタと入ってくる音がする。
「なんでだーーーー!!ちくしょう、こうなったら入った瞬間にさっさと出てしまおう。うん、そうだそうしよう。」
隣でそのまま個室に入っているという背徳感に耐え切れず、女子が事に及ぶ前に出て行こうと心に決める。外から聞こえてくる足音に耳をすまし、音がならないようにそーっと扉のロックを開錠する。
「1、2ぃの、3!!!」
と、ひとつ忘れていたことを扉を開けた瞬間に思い出す。
ちょっと愚痴らせてください。
なんで女子って連れションするんでしょうね!!あの制度やめていただきたいんですけど!
はい愚痴終了。
そう、二人でトイレに入ってきたという、つい数秒前の事実を失念していたのであった。扉を開けた瞬間、驚く女子。次いで、彼女の視線が俺の体を下から上へと舐めて行く、そして顔に到達した(この間扉を開けてから10秒、体感は永遠)そして大きく息を吸い込み口内より悲鳴が発生した頃には、すいません×200位を高速で叫び女子便を後にしようと扉を開けたところで悲鳴を聞きつけた大先生再登場!
今度は大先生、しっかり俺の顔を拝んだ状態。
「おまえはC組の佐藤!!!!!!!」
しっかりホールドされた状態で、職員室に連行と相成りその後、執拗な事情聴取というか、女装させたクラスの連中への恨みもありぺらぺらと事情を話し、翌日。
クラスの連中全員が両のほっぺたを真っ赤に腫らしていた事はいうまでも無い。
この事件が契機となり、ホモをカミングアウトした後輩から告白されたりと色々あるのであるが、その話はまたどこかで。
そして時は流れて翌年。
高校三年の2月中旬。
既に進路が決まっていた(浪人だよ!ほっとけ!)俺、ネギ、モリワキはLASTミッションの相談を例の薄暗い踊り場でしている。さぁ本編の幕開けである。
- うんことアホ雌伏編 ( No.23 )
- 日時: 2011/05/05 11:59
- 名前: 天神千尋 (ID: UAMHtL4A)
いくらモテない我々とはいえ多少そわそわする季節というものがあるのである。そう、2月14日である。毎年結果は惨憺たるモノなので何の日だかは言いたくない。休日もしくは平日なんじゃないの!
とはいえ、食パンを咥えて走っていたら転んだ拍子におぱいを鷲づかみ、そこから始まる恋、なんてのがあるんじゃないのぉ!と馬鹿にしながらもかすかに期待している我々である。朝靴箱の蓋を開けるときには、側頭部を隕石が直撃するくらいの確率で、「もしかしたら!」と思いながら開けているのである。
そんな心の隙間を利用したミッション『嘘バレンタイン』は毎年恒例で行われていた。1年生のころは、嘘手紙を入れて体育館裏で待ち伏せ、2年生の頃は、モリワキの家で手作りチョコを男3人で四苦八苦しながら作成併せて、普段から接している異性「母親」に手紙を書いてもらい靴箱に投函そして、高校3年の2月14日を迎える1週間前。我々は困っていた。
「もうさ、色々やりきっちゃったよな」と俺
「そうだよなぁ、またうちでチョコでも作る?」とモリワキ
「いやぁ、もう無理っしょ」とネギ
LASTミッションの会議は行き詰っていた。そもそもこのミッションのクライマックスは手紙で一定の場所に呼び出し。そこにみんなで待ち伏せするという所にあった。ところが、標的であるノダは数々騙されてきている為、すっかり態勢ができあがってしまいちょっとやそっとの手紙では騙されなくなってしまっていたのである。とそこで俺がひらめく
「つまりはミッションのクライマックスを別のところに持ってくればいいんじゃね?」
他二名の頭に??が大量に浮かぶ。肩をすくめて、これだから馬鹿は嫌なんだと説明を重ねる
「つまり、呼び出すという行為自体にもう無理がある。だったらそのチョコを受け取った時にクライマックスを持ってくればいいんだよ」
「例えば、チョコが爆発するとか?」とモリワキ
「それは大怪我か大失敗の絵しか見えないな」
「じゃぁ、うんこでチョコを作るとか?」とネギ
天啓に打たれるとはまさにこのことである。三人で顔を見合わせると
「「「それだ!!」」」
全員一致で作戦が決定した。
- うんことアホ雌伏編2 ( No.24 )
- 日時: 2011/05/11 21:15
- 名前: 天神千尋 (ID: UAMHtL4A)
今なら言える
「それじゃない!!」
だって…今はもう大人だし。
だがしかし万年中二病を患っている我々である。しかも一年前の女装大作戦にて大きな失敗と理不尽な制裁を受けている為、何が何でも成功させたい。穴だらけの作戦参謀ネギを降板させて今回の作戦参謀には俺が抜擢された。何を隠そう今回の作戦には俺のパーソナリティがどうしても不可欠でなのであった。そのパーソナリティとは、つまり
「何事があっても目立たない」
という、とても誉められない必殺技である。
クラスで班分けがあってもなんでか最後まで残る。必要書類が俺まで回ってこない。挙句の果て、修学旅行中トイレ休憩の際にサービスエリアに放置される。もはや特異体質と言っていいくらいに忘れられる。愚痴ってばかりでは話が進まないので、話を戻そう。
このミッションは三段階に分かれる。
1、調理場確保
2、材料収集
3、調理
2の材料収集はご近所さんをぐるぐる回れば犬のうんこが腐るほど(まぁすでに腐っているようなもんだが・・・)手に入るので問題なし。成功の如何は調理場確保にかかっていた。自宅でさすがにうんこさんを煮るわけにはいかない。我々は家庭科調理室に標準を定めた。
家庭科調理室のカギをパクる・・・ではなく拝借する際に、俺の能力が発揮された。鍵置き場の真後ろにいる数学教師にそれっぽい質問をネギとモリワキがしているうちにかっぱら・・・ではなく拝借するわけだが、なんかもう拍子抜けするくらいあっさりと入手できてしまった。
「なっ!大丈夫だったろ?ヒロシは目立たないことでは右に出るものはいないね。」と全く嬉しくないほめ言葉をモリワキからもらった。
「右に出てても分からないくらいだからなっ」これはさすがにほめ言葉ではないと判断した俺は重た目のけつキックをネギにお見舞いする。
作戦は第二段階へと進んだ。すでに自主登校期間な我々はお昼過ぎ学校の周りをキャッキャいいながらうんこさんを集める。そんな姿をみて怪訝な顔をする専業主婦の皆さんに、学校の周りを掃除しているんです、そう!我々はボランティア精神にあふれた若者なんです風を装って、気がつくとちょっと大きめのビニール袋半分くらいのうんこさんを入手することができた。
ほくほく顔で学校に戻ると、ちょいと拝借した…めんどくさい…先ほどぱくった鍵を片手にハイテンションで家庭科調理室にへと流れ込んだ。
これが、最悪の事態を招くことも知らずに・・・。
- うんことアホ怒濤篇 ( No.25 )
- 日時: 2011/05/12 00:00
- 名前: ツ天ツ神ツ隻尋 (ID: UAMHtL4A)
さぁいよいよ、メインディッシュである。
(誤解を解いておくと、比喩である。すかぴょろぅな趣味は持ち合わせていないのであしからず。)
作戦のクライマックスを飾るべく、準備に取り掛かる。
妙なテンションの三人は、驚いた顔のノダを想像して含み笑いのままとりあえず、そこいら辺にあった鍋を用意する。ガスコンロを用具だなから取り出しうんこさん改め我らがうんこ様を鍋に投入
てれてってってててれてってってってててれてってててててとんてんとんてん
(キューピー三分クッキングのOPのつもり)
おたまをマイク代わりにネギがアナウンサーとなる。
阿吽の呼吸でモリワキが和食の料理人を務める。
「さぁ本日作っていただくのは?」
「こんな時期ですからね。今日はチョコレートを作りたいと思います。」
「いいですねぇ。ところでモリワキ先生は今年は何個くらい貰えそうですか?」
「もらえるわけねーーーだろっが!!みじん切るぞ!」
「さっでは材料を紹介しましょう。うんこ。以上」
こんな、やりとりに、ひとしきり爆笑をする。
では、今後同じ作戦を実行する勇気ある若人が現れるやもしれないので、詳しく調理工程を紹介していこう。
まずは、鍋に移したうんこ様には小石やら枯れ草など不純物が混ざっているので手際良く取り除く。そして何を持って不純物なのかという疑問は前頭葉から追い出しておきましょう。それでは続けます。
ちょいと水を混ぜて、まろやかなうんこ様となったところでガスコンロにいよいよ火を入れます。鍋を片手に振り向くと、モリワキが方眼紙で器用にハートの型を作成していた。ネギはトッピングできるような物は無いかとそこいら辺の引き出しをひっくり返していた。とここで緊急事態が発生する。皆さんうんこ様を煮ることがあれば気をつけてほしい。
うんこって煮たら白くなるんです
白くひび割れた鍋の中身を途方に暮れて取り囲む三人。
「もうさ、においもきっついしホワイトチョコって事でいいんじゃね?」
とモリワキがあきらめムードでつぶやいた。だが、今回の参謀は俺である。心の中の安西先生があきらめたらそこでゲームセットですよと、両手にうんこを抱えて微笑んでいる。
「あきらめるのはまだ早い!!なにか!きっと何かあるはずだ。」
とネギが荒らした引き出しを検分していく。そこで、この事態を打開するアイテムをついに手にする。
「棒寒天だ!!これなら白くならないし瑞々しいままでいけるぞ。ぷるっぷるの奴をおみまいしてやろうぜ!!」
「「よっしゃーーー!!」」
まさか小学生のころから自炊していた事がこんな形で生かされるとは思わなかった。再び勢いづくアホ三人。水を足してとろみが出たところで、まってましたと棒寒天をすこしずつ溶かしこむ。ところがここで再び問題が発生する。
文章では決して表現しきれない。匂いである。
漫画やアニメで表現するなら、もう一面の空気が黄色い状態である。先程は水分がすぐ蒸発してしまい臭いには臭いがまぁ我慢できないほどではなかった。ところが棒寒天を投入したとたん水気がいつまでたっても飛ばないので右肩上がりで臭くなる。呼吸もままならないほどに匂いが充満したところで、心配になり
「ちょっと様子みてくるわ」
と家庭科調理室の扉を開けて、外の様子をうかがう。と、背後でばたーーんと強烈な音がする。あわてて家庭科調理室に戻るとモリワキとネギが呼吸困難に陥り気絶していた。
撤退!!撤退だ!!!やはりうんこ様に挑むには少々装備が不足していたんだ。せめて鋼の剣くらいではないと、ひのきぼうで立ちむかった我々がアホだったのである。(アホじゃないひとはそもそもうんこ煮ないという突っ込みは黙殺します。)
んなこと考えている場合ではない、とりあえず近くにあったバケツに水を汲むとモリワキとネギにぶっかけた。ほどなく目を覚ました二人。本当に呼吸もままならないほど臭かったので死んだかもしれない(死因うんこ)と思ったので、ほっとしたのもつかの間、作戦の失敗と撤収を告げると重たい体を引きづって教室出口へと向かった。
扉を開けると沢山の後輩たちが我々を出迎えていた。あれ?俺達いつのまに人気者になったのかな?と勘違いをしなかった理由は二つ、一つはそんな勘違いができるほど、ポジティブな人間ではないという事。そしてもう一つは何よりも、出迎えていただいた皆さんが一様にしかめっ面で鼻をつまんでいたからである。
遠くに耳を澄ませばサイレンも聞こえる。
「あー通報されたのね・・・」
当時は、とある新興宗教が異臭騒ぎをおこしまくっていたので気を利かした先生が通報したらしい。そして、逃げることも隠れることもままならないまま、大先生にしょっ引かれていき事情を根掘りぶん殴られ葉掘り聞かれる。根掘り葉掘りさんはクリスチャンなのかな?不思議なミドルネームが挟まっているが抗議をするとミドルネームがレベルアップするので黙ってうつむいていた。そして事情を話すとなぜかノダも連行されてきて一緒になって正座させられた。
数時間経過
日もとっぷりと暮れたところでやっと解放を許された。
とそこで大先生が
「あーおまえら後、反省文なっ」
と不思議に思った俺が振り返り質問する
「先生、反省文のタイトルどうしましょ?」
「なんでうんこを煮たのかについてだ!」
そこから高校卒業までの一ヶ月間、なんでうんこを煮たのかという禅問答に対して原稿用紙と格闘することになるのだが、それはまた別のお話。
ちなみに残念ながら続きます。