コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- 一人目 近森守男の場合3 ( No.3 )
- 日時: 2011/04/21 01:14
- 名前: 天神千尋 (ID: UAMHtL4A)
中学時代モリワキとの接点がほとんど無いまま時は流れて、高校受験。
いい加減に決めた志望校の合格発表、その高校を受けた同じ中学の人間が固まっての道行き。国語の問題があまりにも難しく、こりゃ落ちたわという残念ムードの中、モリワキが口を開く。
「俺、面接でラグビーやるって言ったから受かったわ!」
なぁに冗談かましているんだよと突っ込みを入れようと振り返ると思いの外、真剣な表情をしているモリワキがいた。
こういった無根拠な確信を無駄に抱く人間だとはその当時は知らなかったのと、あまりにも真剣な表情なので「それはよかったな!」と返答すると元気いっぱい「おう!」と拳を突き上げた。常に遠慮がちな人生を歩んできた俺としてはそんなモリワキの姿が眩しかった。
結果、5人で合格発表を見ると、合格者3名・不合格者2名。
不合格者はわたくしとモリワキである。やったーーーと喜ぶ3人、われわれが不合格だと知ると、なんだか途端に痒そうな表情になった。まぁそうだよねおおっぴらには喜べる雰囲気じゃないよねぇ...と横にいるモリワキを見ると、引くくらい号泣していた。合格者の喜びに水を指すわけにもいかないので、モリワキを連れ立ってその場を離れる。
んだよ自信あったんじゃねーのかよーと、慰め半分、からかい半分で電車に乗っている。時間は14:00過ぎ。
腹も減ったし、まぁ飯でも食うかと、てん屋に入って特上天丼を注文して目の前に湯気を立てた天丼が来るとモリワキはすぐにいつもの調子に戻っていた。
ったくコロコロ変わりやがって、こっちは落ち込む間も無いのかよ...と心の中で毒づきながらも、不合格という二回目の人生における敗退がそれほど重たい出来事では無くなっている事に感謝していた。
私立高校の受験に落ちたわたくしは学区内で言えば中の下の都立高校になんとか引っかかり、当のモリワキと高校を同じくする事になる。
そして、この高校でうんこさんを煮る事になるのだが、それにはあと二人、重要人物の紹介を終えてからにすることにする。