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Re: 大嫌い。*実話* ( No.21 )
日時: 2011/05/07 21:00
名前: 宇莉 ◆I/.b8govos (ID: ByQjFP4v)

第八話**


冷たい風が私を巻き込み、私を通過する。
もう春なのに風は冷たかった。
…まるでこれからの出来事を表すかのように。


***


「お疲れ様ーっ」
「部活帰りはやっぱ、皆で語るぞ!」


3時間の厳しい部活も終わり、私と部活仲間の遥希 未優 真未中心のメンバーはいつものたまり場へと向かっていた。
部活仲間が揃って話せること、これこそが青春というものだと思う。

皆、お菓子やアイス 色々な物を買って席についた。


「では…、何について話す?」


最初に切り出すのは決まって私だった。
聞かなくてもわかっている、それが本音だけども。


「やっぱ恋バナでしょ!」


未優の明るい声が隣で聞こえた。
とびっきりの笑顔の未優は、今にも話そうな勢いだった。
私も少々の心構えをする。


「私、実は…「あっ」


とてつもなくいいタイミングで、隣の真未が声をあげた。
皆、未優の話に集中していた為か、いきなりの真未の反応に驚く。

真未を見ると、どこかを執着するように見ていた。
コンタクトをしていても、両目がBの私も目を凝らしてみた。




…真潮だ。


一瞬でわかった。
周りには男子が二人いる。

だんだんこっちに向かってくるのがわかった。
きっと未優はうれしいんだろうなーっ、私の考えが頭に過る。


真潮達は私たちの席の隣に座った。
少し空気は気まずくなり始めた。


…その瞬間。


未優の携帯の着めろが鳴り出す。
皆はその音に少し驚いた。

なぜだろう、少し胸騒ぎがする。
この着信…、真潮な気がする。





…——私の勘は的中した。


未優の表情や目は確実に真潮い釘づけ。
私たちはただ、お菓子を食べるだけ。

もう一度気まずい空気が流れる。



その時、いきなり未優が席をたつ。


「ちょっと、ごめんね」


そんなことを言って、真潮のところへ向かった。
どうやら真潮が未優を呼び出したらしい。



真潮と未優はそのまま二人でどこかに消えてしまった。
まるでもう帰ってこないかのように。


***


数十分後。
あまり良い表情ではない未優が戻ってきた。

戻ってきた未優は私たちの席の目の前にたちいう。



「…別れちゃった。」


近くで見ると、目には涙をためている未優。
これには私も驚いた。

皆が一斉に「なんで!?」。
最大の疑問を未優に聞く。



「…なんか真潮にも事情があるから言えないって。」
「なんだそらっ」



未優の言葉に流れるように遥希がいう。

…事情?
もしかして他の人を好きになったとか?

それがうちとか?


変な妄想が次第に膨らんでいく。
次の瞬間、未優の言葉で妄想は止まる。


「…待ってろって言ってた。」


人の不幸を少しでも喜んだ罰だろうか?
私の妄想は一気に叶わないこととなった。


「待ってろ」だなんて、私も言われたことないよ。
君と未優の『初めて』が増えていく。






…——これを素直に喜べない私は悪い子?

                       第八話** end