コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 大嫌い。*実話* ( No.26 )
- 日時: 2011/05/08 20:28
- 名前: 宇莉 ◆I/.b8govos (ID: ByQjFP4v)
第九話**
君が未優にいう言葉は一つ一つが力強い。
まるで、言葉全体で好き、と伝えるかのように。
——私と真潮の『初めて』は、どんどん未優との『初めて』に変わっていく。
それを、嫌だと思う私がここにいたけど行動に移せない私もいる。
でも、どう行動に移せばいい?
怜の時みたいに無理やり奪い取るの?
…そんなことできやしない。
絶対心に後悔が残るから。
***
「待ってろ…だなんていいねー」
「うらやましい〜…!」
遥希や真未、色々な女子達が言う。
何か言わなきゃっ…! そう思うけど言葉が出てこない。
頭が真っ白になりかけている。
大きく深呼吸をした。
何か言葉が出ようとしている。
「——良かったじゃん。」
小さな小さな声でしか言えなかった一つの言葉。
この言葉は未優に届いただろうか?
こんな最悪の偽りの言葉、届いてませんように。
…私はただそう願うしかできなかった。
案の定、周りの興奮した大きな声で私の小さな声はかき消される。
未優も笑顔だった。
…そら、そうだよ。
「待ってろ」だなんて。
絶対笑顔になれるに決まってるじゃん。
…ズルいよ、未優、羨ましいよ、未優。
君だけの真潮がとてもとても羨ましいよ。
真潮が愛しい。
***
未優と真潮が分かれて一週間がたとうとしていた。
別れた、と言葉だけで言っても二人は学校でも話しているし仲もいいみたいだった。
そう、付き合ってるときと何1つ変わっていなかった。
…でもそんな時、ある一つの噂が流れ始めた。
——真潮が未優のことを嫌いになったってこと。
それを聞いたとき、私はきっとこぼれる笑みを我慢していただろう。
未優には失礼だけど私にとってはとてもとても大きな幸せだった。
だって、私のことを見てくれるチャンスがまだあるってことが分かったから。
…でも周りの人はほとんどその噂を信じていなかった。
私はそれがとても嫌で仕方なかった。
だって信じてないってことは未優と真潮を認めているってことだから。
だから私は、できるだけたくさんの人にその噂を言ってしまった。
いつかその噂が現実になればいいなだなんて、とても残酷なことを考えてしまっていた。
…——私って本当に最悪最低だ。
***
私の流してしまった噂は、少し広がりそしてまた少しなくなった。
噂を流した後、私は後悔に浸っていたから噂が減ったことで少し心が安心していた。
未優と真潮の仲に亀裂も入ることさえなくて、ただ仲が深まっていく毎日をただただ見ている私。
そんな毎日に終止符をうつ出来事。
「——ただいま〜」
「おかえりなさーいっ!」
学校がやっと終わり、家に帰宅。
私の魂の抜けた声と、お母さんの元気な声が交差する。
私はすぐに二階にあがり、机の上にあった携帯を見る。
『新着メール一件。』
私は何も考えずにその新着メールを見る。
誰からきたのだろう、…
画面に『展開中』の文字が出てきて私はメールを開いた。
…『伊藤真潮』
そう記されていた。
「…えっえ!?」
意外すぎてもう一度名前を見る。
やはり『伊藤真潮』に違いはなかった。
少し期待して私はそのメールの内容を開いた。
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宛て名:川村 結莉
題名:
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今、未優にまた告白したら付き
合えると思います?
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このメールを見た瞬間、涙がでそうになる。
真潮は未優に告白しようとしている。
その声で、口で。
…もし私がここで、「付き合えない」と答えたらきっと真潮は告白しないだろう。
でももし「付き合える」と答えたら、真潮は告白する。
予想外のメールに驚きながら私はメールを返信した。
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宛て名:伊藤真潮
題名:Re:
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なんでうちに聞くの?
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宛て名:川村結莉
題名:Re2:
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え?
なんか未優と仲良いから。
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送信した一分後に返ってきたメール。
…どうしょう。
友達の幸せを叶えるか、自分の幸せを叶えるか。
私の目には自然に涙が出てくる。
…——私に友達の幸せを叶える勇気なんてあるのか?
私の今の判断で、いろんな人の人生が変わる。
私は涙を拭いてメールを打ち始めた。
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宛て名:伊藤真潮
題名:
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大丈夫だと思うよ!
頑張れ。
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…大好きだから背中を押した。
「頑張れ」って震えた声で、背中を押した。
…——今、頬に伝っている私の悲しみはきっといつか消えるから。
第九話** end