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Re: 大嫌い。*実話* ( No.43 )
日時: 2011/05/22 11:07
名前: 宇莉 ◆I/.b8govos (ID: xr1in99g)

第十三話**



「結莉、面白いんだけど!」

「最近ネタがさえてるんじゃない?」



真潮を好きじゃなくなってから、笑えない毎日を誤魔化すかのように私はひたすら皆を笑わせていた。


今、皆が見ている「私」は本当の私じゃない。
どこか奥深いところで泣いている偽りの「私」。


***


昼休み、私のクラスでは笑いが起きる。
そう、私が全力でギャグをしているからだった。

全力の変顔や、全力のギャグ…
意外に自分って変な才能があったんだなんて思う。


…でも



本当は真潮のことが好きな自分を隠したいだけ——…


叶わない恋だなんて周りにバレたくないだけ——…







       ここにいる偽りの自分を隠したいだけ。



***

何にも変わらない毎日。
私は、大きな声で「ただいま」と叫ぶ。


寝ていたお母さんは、びっくりして小さい声で「おかえり」と返事をしたようだった。


私はすぐに二階へと駆け上がる。
自分の部屋の扉を開け、カバンを置いてから携帯を見る。



「新着メール2件」

そう表示されていた。


一通目のメールを開く。

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宛て名:川村結莉
題名:
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おーいっ






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それは親友の「木村 穂乃」からの意味の分からないメールだった。

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宛て名:木村穂乃
題名:RE:
————————————
暇人ですかーっ!?





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意味の分からないメールは、意味の分からないメールで返す。
これが私の決まりだった。


二通目の新着メールを開いた。


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宛て名:川村結莉
題名:
————————————

久しぶり




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なんの記号もなく何の絵文字も顔文字もない。
このメールの仕方にはどこか見覚えがあった。







このメールの送信者は伊藤真潮だった。

第十三話*end