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Re: 大嫌い。*実話* ( No.51 )
日時: 2011/05/29 13:17
名前: 宇莉 ◆I/.b8govos (ID: xr1in99g)

第十四話**



目覚まし時計が部屋中に響く。
寝不足の私にとっては、そうとうキツかった。

目覚まし時計を止めて、私は時計を見た。
『6時半』…

時計の針は、その数字を指していた。

即座に頭の中で計算をした。
「あと、30分は寝れる…」

そう呟いて私は目を閉じた。

***



「結莉ー!起きなさい!」

お母さんの叫び声でまた目が覚める。
軽く返事をして、時計を見た。





                     …「7時半!?」

見たのと同時に声もでる。
あれから一時間も寝てしまっていたのか。

家を8時には出なきゃ間に合わない私にとってはそうとうきついものがある。

私はすぐに布団が飛び起きた。


髪型なんていじってる暇じゃない…!

私はただ遅刻しないことだけを願って大急ぎで準備をした。



***


「セーフ!」

私は教室の入り口で叫ぶ。
周りから小さな笑い声がちらほら、と。

少し恥ずかしくなりながらも自分の席についた。
その瞬間、同時にチャイムも鳴る。

私はカバンの中から教科書をだし、制服を整える。
ダサい制服がこんな着方じゃ、もっとダサい。

ブレザーを引っ張って、背筋を伸ばす。

その次に、髪の毛をいじった。

家で髪の毛をいじる余裕なんてなくて、寝癖を直すので精一杯。
その寝癖さえも、少し横にはねていた。


「なんで、こんな日に限って…」


…私はいつだってそうだ。


穂乃の家に泊まりに行くときも、熱中症でダウン。

一緒にお寿司を食べにいくときも、腹痛でダウン。


…私ってもしかして、運がない?
うぅ…、これって不公平ってやつじゃないですか、神様。


「結莉ー、何この髪の毛!」

後ろから真未の声がして私は振り返った。
真未は、私のはねている髪の毛を見て笑っていた。


「うっさーい!時間がなかったんだよおお!」
「それにしても、これはひどすぎるでしょ。」

爆笑しながら、小さな指摘をされる。
…あんま気にしてなかったけどさすがにこれはやばいかも。


…真潮に変に思われたらどうしょう。


急に焦りだした私が、すぐに髪の毛を結んだのは言うまでもない。


***


朝の会が終わった。
後ろに一つで結んだ髪は、少し違和感があった。

一限目は、美術だった。
移動教室なので、みんな準備をはじめ次々と教室から出ていく。
移動教室の時、最後にでるのは決まって私と真未だ。

私と真未、仲の良いクラスメイト『岡田 夏』『園田 優香子』で一緒に教室を出ようとしたその時。



「川村!」

後ろから私の名前を呼ぶ声がした。
私は歩くのを止めて、後ろに振り返る。





                      ……真潮だ。

あの真潮が、私の目の前にいる。
名前を呼ばれたのは久しぶりだった。

真未達は、私が居なくなったのも知らずに先へと歩く。
周りには誰もいなかった。


あの頃と違って、私よりも少し大きくなった身長は少し輝いて見える。





髪型も、顔立ちも、身長も、髪の毛も、——…



          全部全部が輝いて見える。








——ごめん、未優。



今だけ真潮を好きでいてもいいですか?


            
                   第十四話** end