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Re: 大嫌い。*実話* ( No.55 )
日時: 2011/05/31 20:18
名前: 宇莉 ◆I/.b8govos (ID: xr1in99g)

第十五話**





小さな小さな時間の中で、
           
            
                 私はまた君に恋をする。


***

ごめん、未優。
今だけ気持ち抑えれないよ。
やっぱり好きだよ、大好きだよ。

私の中の、伝えることも出来ない想いが溢れ出す。
出来ることならこの声でこの口で、今君に伝えたかった。


…まだ君が好きだよ、って。
 私のことだけを見てよって。



「はい。」

真潮は小さくそう呟きながら、小さな紙切れを私に差し出す。
私は何も言わずにそれを受け取る。

何も言わずにじゃない。
何も言えなかった…の間違いだった。


「返事待ってるから。」

目の前の真潮は綺麗な笑顔で笑った。
つられて私も笑顔になる。

私の笑顔を見た後に、真潮は教室へと戻った。



幸せをかみしめてる余裕もなかった。
授業まで残り1分!

反対側の校舎に美術室。
私は走って美術室へ向かった。


もちろん頭の中は、まだ幸せに浸っていたけど。


***

少し手紙の中を見るのは怖かった。
何が書いてあるかは全く予想が出来なかったから。

私は授業中にも関わらず、真潮からの手紙をそっと開く。
一つ一つを丁寧に。

一番上の行に、「川村へ」と書いてあるのは見えた。
それに続いて中を開き、次の文章も読む。




———————————————————

川村へ

いきなり手紙ごめん。
いきなりだけど、付き合ってくれない?

本気だからよろしくお願いします。


            真潮


———————————————————



ここに書いてある意味がよく分からなかった。
もしかして私、今告白されている?

真潮から?
私に?
え?告白?

ぶっきらぼうな字での告白。
その字は昔と変わっていない。

真潮の潮の「月」」の部分が変に曲がるところも変わってない。

…それだけのことが何故かとても愛おしく感じた。




私は、ルーズリーフを半分に破く。
その紙切れで返事を書いた。



————————————————————

真潮さんへ


なぜ私なんですか?
私たちは何も接点がなかったと思うのですが。

未優はどうしたの?


————————————————————


嬉しい、という気持ちを無理やり抑えて書いた手紙。
なるべく綺麗な字で書いた。

何回も何回もやり直したせいで手紙はボロボロだった。
そんなことも気にせず私はその手紙をポケットに入れた。


***


教室に戻ると、早速真潮がいた。
私の少し気まずい気持ちを壊すかのように、普通に話しかけてくる。


…いや、私が意識しすぎなだけかも。

「川村、手紙書いた?」
「え、…うん。」

「ちょうだい。」


そういって真潮は手を差し出す。
私はその上に手紙を置いた。




…その時、真潮の手のひらと私の人差し指が軽く触れた。
それだけでもかなり緊張している私。



やっ、やばいやばいやばい!!!!!!!!
かなりの緊張だぞ、これは!!!


私の手紙を受け取った真潮は、「ありがと。」だけ言って教室へ戻っていった。






私の人差し指は、まだ君の温もりが残っているような気がした。



                    第十五話** end