コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 大嫌い。*実話* ( No.65 )
- 日時: 2011/06/05 08:11
- 名前: 宇莉 ◆I/.b8govos (ID: xr1in99g)
- 参照: http://www.youtube.com/watch?v
第十八話**
まるであの出来事がなかったように、もう一度つまらない毎日へと戻った。
時間が過ぎるなんて、あっという間だった。
あの出来事があったからといって、何も変わらない。
…私と真潮の距離なんて縮まってもいない。
そんなの考えることすら虚しくて。
真潮の姿を目にするだけで、あのときの悲しさがこぼれてきそうな気がして私は真潮を避け続けた。
…——君の目を見ていると、『もう諦めろ』って言われているような気がするから。
***
あの出来事が無かったように明るい私。
それを自分で演じているのもとても辛かった。
誰かに気付いてほしかった。
真潮のことなんてまっすぐ見ていない。
ただ時々視界に入るだけ。
ただその時々でも、そのたびに鼓動がうるさい。
そしてあの出来事を思い出すたびに、真潮が変わったことが思い出す。
無理やり頭からかけ離す。
この前の出来事で、真潮を嫌いになったはずなのに。
真潮を視界に入れるだけで鼓動がうるさい自分も馬鹿だ。
あの真潮は嫌い。
今の真潮は好き。
…自分の気持ちがわからなくなってくる。
***
あの出来事の翌日が終わろうとしていた。
さっきもいったとおり時間がたつのは早かった。
私は部活へ行く準備をする。
真未と遥希、優香子と教室を出た。
その時 未優も1組の教室から出てくる。
未優と視線が重なる。
私は少しきまずい気持ちだった。
少し苦笑いをすると未優は笑顔で返してくれた。
もし真潮が私に告白したことを未優が知っていたらどうしょう…!
変な不安が私を包む。
私の気持ちを知らずにか、未優は私たちの方へと近づいてきた。
未優に聞きたいことは沢山あった。
『真潮と別れたの?』
『なんで別れたの?』……
また少し気まずくなって私は口を閉じる。
…そんな私の気持ちを察したのか未優は口を開いた。
「私ね、真潮と別れたんだ…。」
深刻そうな口調のわりには、表情は笑顔に近かった。
これはただの強がり?
そう思いながら私は答える。
「え…?なんで!?」
…私意外に演技上手なんじゃないかと思う。
必死に、『そんなこと今聞きました』みたいな表情をする。
意外に難しいものだ。
「あっちからいってきたんだけどさー…。」
「うん。」
「自分でもわりと気持ちはスッキリしているんだよね!」
「え?」
予想外の未優の対応に、私の間抜けな声が飛ぶ。
気持ちは、スッキリ〜…?
そのあと、未優は色々言っていたけどその前の言葉が印象強すぎて私の耳にはまったく入らなかった。
「でもまあ、うち真潮嫌いだから!うん。」
「へーそうなんだあ…!」
「へっ、へぇ〜…。」
言い切った顔で私を見る未優。
驚いている遥希の横で、私は動揺を隠せなかった。
「私、トイレ行ってくるね!」
「うん、いってら。」
長い話に疲れたのか未優は、トイレへと向かう。
待っている私達は、違う話をしだした。
私は何か気になって未優の背中を見つめていた。
あれが未優の本心じゃないような気がして。
背中を見つめると、未優はトイレに入っていく。
「っ…」
見てはいけないものを見てしまった。
トイレに入る瞬間の未優の表情。
…——今にも泣きそうな表情。
未優はきっとまだ真潮が好きなんだろう。
本当は別れたくなかったのだろう。
そう思うと私の肩が小さく震えた。
第十八話** end