コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 大嫌い。*実話* ( No.80 )
- 日時: 2011/06/21 09:38
- 名前: 宇莉 ◆I/.b8govos (ID: xr1in99g)
- 参照: http://www.youtube.com/watch?v
第二十二話**
教室に入ると、すぐに鞄を置いて席をつく。
今にでも颯が教室に来るような気がして怖かった。
鼓動がうるさい。
すると、あることに気が付いた。
真潮の存在に近い颯に、協力してもらうって手もあるぞ?
そうすればもしかして真潮と近い存在になれるかも…?
少しの希望が見えた気がした。
私は、自分自身の性格上思ったことは絶対に曲げない。
いわゆる頑固なので、すぐに颯にいうことを決めた。
「早くこーい!」
さっきまで、来てほしくなかった人間に来てほしいだなんて私も都合がよすぎるなあ…。
そう思いながら、私は下駄箱に向かった。
***
「あっ?結莉!?」
下をむいて下駄箱の前で待っていると目の前には颯がいた。
少し私よりも大きい背は私を見下すようだった。
待っていましたといわんばかりのいきおいで颯を口を開いた。
「お前の好きな人って誰!?」
正面向かって聞かれるとなんだか照れ臭かった。
しかも予想以上に大きい颯の声に鼓動がうるさい。
周りの視線が私達のほうへとうつる。
私は驚いて颯の口を抑えて、そのまま人気の少ないところに引っ張っていった。
颯はただ何も言わずについてくるだけだった。
「颯、声でかい!」
「わりぃ、気になりすぎてさ。」
謝っているくせに全然反省の色が見えない。
こんなことにかまっていてもきりがない。
そう判断した私は、本題へと入る。
「私の好きな人教えたら、颯のも教えてね?」
「おう。」
深く深呼吸をする。
「うちの好きな人は…、
ま…。」
「しお、だろ?」
私の精一杯の声をかき消して颯は声をだした。
…こっこいつ、人が一生懸命だったのに!
そう思って颯を少し睨む。
颯はものすごくニヤニヤしている。
颯は今すぐにでも、真潮のところに行きそうで怖かった。
そう思いながら少し颯が行きそうなところへの出口をふさぐ。
「んで、颯の好きな人は?」
さっきから気になっていたことについて聞く。
私がそれを聞いた瞬間、颯の顔が少し赤くなったような気がする。
少し可愛いところもあるんだな、そう思い私も小さく笑う。
「まあ、約束は約束だしな…。
俺の好きな人は、3年2組の背がちいせえ奴。」
それだけ言うと私がふさいでいた出口をあっさりかわしてでていってしまった。
2組の背の小さい奴…?
この時、私はまだ確信はなかったけれどあるひとりの人物が思い立った。
「…穂乃?」
それと同時に、颯の顔が思い浮かぶ。
好きな人を聞いただけであの赤い顔なんだから、きっと今はもっと赤いんだろうな。
そう思い、私は下を向いて小さく微笑む。
私が颯に真潮のことが好きだと教えたのは、
吉とでるか、凶とでるか——…?
川村結莉、人生最大ともいえる賭けにでました。
***
教室に戻ろうとすると、廊下に真潮と颯が居る。
二人の間に会話はない。
ただゆっくり真潮と視線が合わさる。
少し恥ずかしくなって視線をずらす。
もしかしてもう颯、真潮に言った?
え?言ったの?
そう思うと、だんだん後悔してきた。
鼓動がまたゆっくりと早くなる。
颯と真潮の視線を感じながら、私は二人の横を通る。
通ったあとも背中に視線を感じた。
深く深呼吸をする。
…私ってやっぱり馬鹿?
この時、動き出したんだ。
ゆっくりゆっくり、運命の歯車が。
【第二章*他人の君】and第二十三話** end