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Re: すいぶ!-南梨高等学校吹奏楽部-【フルート集合画うp!】 ( No.132 )
日時: 2011/06/10 19:07
名前: 夕詠 ◆NowzvQPzTI (ID: nPrzJCKN)
参照: http://www.youtube.com/watch?v=yYDo8uVjqKg

【harmony.21*コンクール曲!】



「今日こそは課題曲と自由曲決めるよー!三十分から合奏ね!」

部員全員が集合した音楽室、顧問の河野蕗先生は張り切った様子で言った。
それとは対極的に部員の表情は暗い。

———毎年八月に行われる吹奏楽コンクール。
大編成と小編成に分かれていて私たち南梨高は大編成に出場する。
そこで、コンクールから指定されたⅠからⅴの課題曲の中から一曲、出場校側から自由に一曲選んだものとの合計二曲を演奏しなくてはならない。
本来なら一年生の入部前に決まっているらしいのだが、今年は演奏会が立て続けにあって忙しかったようで未だ決まっていないのだ。
と、いうわけで今から決めるっぽい。

課題曲の候補はⅡの天国の島。
自由曲の候補は海の男達の歌。
今日中にこの二曲に決定するかしないかを決める。

「あー合奏だるい」

私の目の前で絢音先輩が呟いた。
合奏が心底嫌らしく、さすがの絢音先輩もローテンションだ。
ちなみに今は私———凜と絢音先輩、和真先輩、そして同級生で同じパートの鈴木詩織の四人で合奏の準備をしている。
詩織は小さい頃からトロンボーンをやっていてとても上手い。
私も上手くなれるように頑張らなくっちゃ!!
……とモノローグをやっているうちに準備は終わり、いざ合奏です!!

———二、三年生が。

一年生はまだ入部して間もないので今は一応見学。
コンクール当日までに吹けるようにならないと……。
でも何か自由曲候補の曲が難しいとか先輩が言ってたなぁ。
私に、でき———……



「……有泉」

「へっ!?」

いつの間にか寝ていたらしく、自分を呼ぶ声にハッとする。
でも眠いのは私だけではないらしく、私を起こしてくれた千紘ちゃんも欠伸をしたのか涙目だった。

「そういえば、千紘ちゃん」

「ちゃん付けしないで下さいっ!」

私が声を掛けると千紘ちゃんはムスッとして言った。
その反応が破壊的に可愛いから皆イジってるんだから逆効果だってば。

「合奏、今どこまでいったの?」

会話上は華麗なスルースキルを発動し、質問する。
千紘ちゃんは「ちょうど基礎合奏が終わったところ」と答えた。
基礎合奏とは平たく言えば基礎練習の合奏バージョンのようなもの。
ということは、

曲が始まる!!

先輩たちは楽器を構え、河野先生も指揮棒を構える。
そして先生は口を開いて、

「じゃあ今からざっと合わせていきまーす。連続で行くからね」

その言葉に先輩たちのはきはきとした返事が音楽室に響いた。
全員が準備完了したのを確認して先生は指揮棒を振った。

瞬間、それに合わせて音が鳴り響く。
確かこの曲は———Ⅱの天国の島だ。
ピッコロのソロが最初にあって、それを吹いている青山先輩は凄くカッコいい。
そして曲は進んでいく。

中間部、テンポが速くなる部分。
木管の連符の後、入ってきたのはトロンボーン。
はっきりとした歯切れの良い音。
それが真っ直ぐ飛んで行って。

凄い……。

その一言に尽きる。それほど先輩たちは凄かった。

そんな風に聞き惚れているうちに曲は終わった。
一分ぐらいの間の後、先生が再び指揮棒を振った。

波の音が静かに音楽室に響いた後、ペットの井鳥先輩とホルンの南梨先輩のメロディー。
中間部のユーフォ。その後のホルン、ボーン。
どれもカッコいいのには変わりないんだけど、一番カッコいいと思ったのはオーボエの楓先輩のソロとその伴奏のピアノを弾く結実先輩。
ソロの最後の伴奏が誰もいなくなって楓先輩だけになる部分———お世辞抜きで鳥肌が立った。
やっぱり……音楽って、凄い。

曲が終わって先生は指揮棒を譜面台に置いた。
そして笑顔になって、

「この二曲で課題曲と自由曲決定、ということで!」

と言った。
先輩たちはさっきの数倍明るい声で返した。


*******
参照は南梨高吹部自由曲『海の男達の歌』です
よかったら聴いてみてください!