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Re: すいぶ!-南梨高等学校吹奏楽部-【部員募集中!!】 ( No.26 )
日時: 2011/05/10 22:55
名前: 夕詠 ◆NowzvQPzTI (ID: w32H.V4h)
参照: http://www.kakiko.cc/bbs2/index.cgi?mode

【harmony.6*ぱーかす!】



僕は初鹿千紘。先週から南梨高等学校の吹奏楽部に入部した高校一年生です。
そして、そんな僕にはいくつか悩みがあります。
一つ目、

「おー!千紘ちゃん!今日も可愛いねー!!」

「先輩、僕男です。」

先輩や同級生からのからかい。
僕はパーカッションパートなんですが、そのパートのリーダー兼部活の副部長の某Y先輩が特に面倒です。

二つ目、

「またまたーそんな女の子みたいな顔してー」

先輩や同級生からの“女の子みたい”発言。
これも特に某Y先輩が面倒です。

そんな面倒なY先輩の可愛い発言を適当にあしらいながら、パート練習場所の音楽室へ向かう。
すると僕に笑顔を向ける人が一人。

「あ、千紘ちゃん」

落合菜実先輩だ。
落合先輩は同じパートの二年生で、すごく頭がいい。
僕は落合先輩の事をパートの中で唯一のまともな人だと思っている。

「先輩、ちゃん付けはやめて下さいって言ってるじゃないですかっ!!」

だが、まともだろうとまともじゃなかろうと、ちゃん付けだけは絶対に嫌だ。
顔も女顔で、名前も女みたいだし。
せめて呼び方だけは女みたいなのは回避したい。

「でも、男にしては長めのサラッサラの髪に大きな目に長い睫、薄い唇———」

そう淡々と僕の特徴を上げていくのは三年生、町浦封歌先輩。
長い黒髪が特徴的な単独行動を好む人、だと思う。

「僕の特徴がどうかしたんですか?」

僕は尋ねる。
すると、町浦先輩は視線をこちらに向けずに呟く。

「女じゃない」

「だから違うって言ってるでしょうがっ!!」

淡々とした町浦先輩の言葉に思わず声を荒げてしまった。
もう、先輩たちはいつになったらやめてくれるんだろう。
相当面白がってるからなー。しばらく続くだろうなー。
あー整形したいわー。

「もう、僕の話はいいですから練習しましょうよ」

僕は話題をそらすため練習を促す。
これ以上イジられ続けるなんて嫌だし。

「それもそうだね」

落合先輩の言葉に町浦先輩もY先輩———米長先輩も練習を始めた。
こんなにイジられてもこの人達の事が嫌いにならないのはきっと、
この人達の真面目な顔が好きだからなのかもしれない。
さてと、僕もれんしゅ———……

「あ、千紘ちゃん!そのマレット取ってー!」

米長先輩の大きい声が音楽室に響く。

「ちゃん付けしないでください!!」

———……やっぱり前言撤回でお願いします。