コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 突然男の子になっちゃったりしちゃったわけで。 ( No.3 )
- 日時: 2011/05/17 17:54
- 名前: ののか (ID: .8sHsKzk)
第2話 「嬉しすぎて飛べる気がする」
いつもの通学路。道行く人々は普通に私のことをなんとも思わず通り過ぎていく。しかも、さっき同じ小学校だった男子に挨拶されたし。
元々、行きは一人だったから良かったけど……。
学校についたら皆に引かれるかな。「気持ち悪い」っていじめられるのかな。
悶々、悶々。あぁ、お腹が痛い。
そんなことを考えながら、とぼとぼ歩いていたらいつの間にか着いていた。
大きく深呼吸して、門を通る。
裏門でよかった。正門だと挨拶運動の生活委員とかいるんだけど、裏門はいないから。
よっしゃ、裏門クリア! だが、これで安心するのはまだ早い……。これからが本番……。
「木津川?」
聞きなれたこのよく通る声。
ゆっくり、ゆっくり振り返る。間違いない、こいつは——。
「やっぱ木津川だ。はよっ」
水嶋大翔(みずしまはると)。クラスメイトの一人。……そして私の好きな人。
いつもだとグッドタイミングで神様まじセンキュって感じなのに、こんな、こんな時に会うなんて神様、いじわるすぎませんかっ!?
どういう反応すればいいのか、分からないんですけど!
「……あれ? お前、こんな髪短かったっけ? てか、なんで男子の制服着て——」
「ちょ、ちょっ! こっちきて!」
後方から人が来たので、思わず水嶋の手首を掴んで、校舎の裏へと連れ込んだ。
はぁ、はぁ、そんな走っていないのに、なぜか息切れしてるよ。
連れ込んだのはちゃんと理由がある。お母さんと妹は私が男になっても“当たり前”のように接してきたのに、なんで水嶋は気づいたんだろうって。その理由を聞きたかった。
「なんだよ、いきなり」
「ちょっと聞きたい事があったから。ね、昨日うちは“男”だった?」
一見聞けば馬鹿な質問に水嶋は目を丸くしたが、すぐに真剣な顔になった。
「いや、お前は女……おかしいな、俺は昨日男のお前と話したよ」
つまり、水嶋は女の私もしっていて、男の私も知っているっていうこと?
まだよく分からないけど……ここは、“私が男の世界”? いわゆるパラレルワールドというやつなのだろうか?
「うち、朝起きたら男になっていて。信じてください!」
「ま、まじかよ……。信じるよ。まだよく……わかんねぇけど。何か困ったことがあったら言えよ?」
「ありがとう!」
これだけでかなり安心できた。
やっぱかっこいいなぁ、水嶋。ここではホモになっちゃうけど。
ここでチャイムが。
急いでいかないと遅刻になってしまう。
「やべっ、いくぞ!」
「うん!」
私と水嶋は走って教室へと向かった。
