コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 恋時計 +半実話+ ( No.77 )
- 日時: 2011/06/03 23:13
- 名前: 苺羅、 ◆m.d8wDkh16 (ID: xe6C3PN0)
- 参照: ▼ プリクラとりたいよ〜
第136話
「はぁ……」
私は、ため息をついた。放課後の部活の時間。
先輩たちのいない、6人の部活の時間。
……今年は新入部員がはいるかどうか、気になるところ。
そんな軽音楽部の部室で、私は1人立ち尽くしていた。
練習しなきゃな……部紹介のときに、今までやった曲をやるから、それの再確認しなきゃなのに。
私は一応、キーボードの電源を入れた。
「…………」
鍵盤の上に、手を置いた。濁った和音が響く。
なんでこんなに、モヤモヤするんだろう。
なんでこんなに、切ない気分になるんだろう。
私は自分の気持ちを整理してみた。
高森と日直をしたあの日。
あれから、私は高森に対して変な気持ちを抱くようになった。
もう1回喋れたら、楽しいのかな。
もう1回喋ってみたいな。
授業中に、女子観察するみたいにチラチラ見られても、そんなに嫌ではなくなった。
なんで?
高森が優しくしてくれたから?
そんなことで、心が揺れ動くなんて、うちって結構単純……。
恋なのかどうかもわからない。
すると、私の顔の前で、手が上下に動いているのに気付いた。
「おぉ〜〜いっ、香織ぃい〜大丈夫かぁ〜」
「……わっ!!」
絵磨が私に対して、手を振ってくれていたのだ。
ようやく私はそれに気付いたらしい。
「……なんかさぁ、今日の香織おかしくない? なんかあったの?」
「……べっべつに……」
「別になんにもないよ!」って心から、笑顔で言えなかった。
「なんかあるんだったら……喋ってみて。うちら、9年間の仲でしょっ! ねっ?」
「……絵磨」
思えば昔から。
小1のとき、北川から泣かされたときもかばってくれた。
そのときからずっと、絵磨はうちのそばにいてくれた。
中2のとき、失恋したときも、絵磨は励ましてくれた。
どんなときも、絵磨がいてくれた——
私は友達は多いほうじゃない。
むしろ、少ない方だし、そのなかでも自分から話しかけれるような人なんて、極々わずか。
でも私は思うんだ。
一生に一度、本当に心から信頼しあえる人に出会えたら、それでもいいって。
それが……私にとっては、絵磨なんだよ。
絵磨にはなんでも話したい。
このモヤモヤな気持ちも、絵磨に話せばすっきりするかな。
「よし……絵磨、ちょっとこっちきて」
私は、みんなに聞かれないように、準備室に絵磨を連れて行った。