コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 恋時計 +半実話+ ( No.238 )
- 日時: 2011/08/05 23:08
- 名前: 苺羅、 ◆m.d8wDkh16 (ID: xe6C3PN0)
- 参照: 文字数オーバーしたの初めてだΣ
第159話
修学旅行から、家に帰ってきた翌日は、休日になっていた。
その次の日は午後から登校となり、部活もあった。
……今、午後からはじまって、終わったところ。
私は、廊下に立って硬直していた。
「ごめん香織〜! 掃除長引いちゃって、お待たせ」
「……あ、絵磨」
「いこっ!」
「う、うん」
絵磨にいわれたが、私はいまだ動かぬ状態だった。
うん……部活に、いきたくない。
「? なにやってんの、はやく!」
「……いやあの、先いってて」
「え!? なんか用あるの?」
絵磨は、何食わぬ顔で尋ねてきた。
「……いや、その」
「……もー! ほらはやく!!」
絵磨は無理やり私の腕を引っ張った。
私は仕方なく、それに引きずられることにした。
……音楽室は、めちゃくちゃ近い。
絵磨は、勢い良くドアを開けた。
中から「こんにちはー」という声が、ちらほら聞こえてくる。
すると、絵磨がドアから顔を出した。
「なにやってんの、香織」
「……あ、あはは」
「あははじゃないよ、そんなとこ突っ立ってないでさぁ」
「まぢ愛可やばいのぉー!」
「うほっひょ」
……げ。あの声は、平安ズたちだ。
絵磨も顔色が変わり、私の鞄を引っ張った。
「ほらもう、あいつ等もきたし、はやく」
「……っ」
ぐずぐずしていると、ついに平安たちが顔を見せた。
「あっれぇー香織ぃ、なにやってんのぉ」
「なんかあんのぉ?」
愛可と美里奈が、私に気付いて顔を近づけてきた。
しかし、無視していると、平安たちは絵磨を押しのけて、音楽室の中に消えた。
「……香織、どしたの、まぢで」
「……だって、」
「?」
絵磨は眉間にしわをよせて、首を傾けた。
「好きなこと……バレた」
「……あ、あ、なるほど」
絵磨は、目を大きく見開くと、私のそばに近寄ってきた。
実は昨日、私は念のため龍夜に尋ねたんだ。
こんなメールを送って。
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Dear:龍夜
本当のこといって><
好きってこと、その人にほんまにゆったん?
別にいいけどさー…・_・
From:香織
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『その人』とはもちろん、孝文のこと。
そして、しばらくして、返事は返ってきた。
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Dear:香織
言ったしよ
From:龍夜
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そっけない返事。
たった6文字だったけど、私はかなり応えた。
……やっぱり、いったんだ。
言われた時、どんな気持ちだったのかな。
……嫌だった? きもっておもった?
……嬉しいの? 嬉しくない……かな。
私がもし、なんとも思ってなかった人に、すきっていわれたら、やっぱりちょっと意識する。
これは、私なら、の話なんだけども……。
龍夜と康義の、謎の会話が蘇る。
もう、もう、わけわかんない。
「と、とりあえずさ、部員も増えたことだし……前みたいにバンドごとに集まるのは、あんまりないじゃん」
「確かに……そうかも」
「前だって、同じパートの後輩に教えるだけで、部活の時間終わったしさ」
「……だよね」
とりあえず、孝文と目をあわさないようにしよう。
私は、今日は後輩にキーボードを教えることに、専念する!
そう決意し、深呼吸をして、思い切って音楽室にはいった。
「あぁやっときたぁ、もぉ香織遅いよぉ〜」
愛可が急に近寄ってきた。
みると、キーボードの周りには、後輩達が首を長くして待っている。
「あぁ、ごめんごめん! 遅れちゃった」
私は、鞄をそこらへんにおいて、素早く楽譜を取り出した。
そしてふと、ギターのほうをみる。
絵磨はすでに、後輩にギターを教え始めていた。
美里奈と戸川もいます。
「えっと……じゃあ今日は、前にいったコードのおさらいをします……」
修学旅行前、私は後輩に鍵盤のコードの押さえ方を教えた。
愛可はクラシックピアノができるが、クラシックピアノでは、コード名は使わない。
押さえ方は、ピアノの和音と変わりないが、CやらGやらのコード名は、愛可は知らなかったようだ。
「じゃあ、Cのコード」
私が言うと、後輩と愛可は、綺麗な和音を奏でた。
Cは、ド・ミ・ソを押すことで出すことができる。
「……はい、D」
私はそういって、すこしだけ違う方向を見た。
……!!
ふと、見た方向がドラムのところだった。
小学生の男子が、スティックを持って叩いている。
そのそばで、孝文は立っていた。
「……あ、あと、G!!」
私の声は、慌てて裏返った。
けど、後輩はそれを知る由もなく、綺麗な和音を響かせた。