コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re:    恋時計  +半実話+ ( No.251 )
日時: 2011/08/17 00:10
名前:   苺羅、 ◆m.d8wDkh16 (ID: xe6C3PN0)
参照:   なんか切ないな、好きやのにー!振り向けこの野朗(何だ





 第162話




 2つのテーブルに、1バンドずつ座って、とりあえず会議を始めることにした。
 でも唐突だから、みんなCDもなにも持ってきてないし、とりあえず何がいいか言っていくことに。


 「絶対AKB、AKB!!」
 

 平安ズのテーブルから、優志の暑苦しい声が聞こえてきた。
 

 「なんかみんななぁい?」


 一応リーダーの美里奈がみんなの顔を見回す。
 戸川、怜緒、愛可は首を振った。


 「AKBってゆってんだろぉおお」
 「……まぢでみんなないの?」
 「えーけーびー以外あっりっえっなっいっ」
 「うち的にK−popとか斬新でいいとおもうんだけど」
 「秋葉原48〜!!あいらぶまゆゆー!」
 「……もぉ優志しつこい!」



 無視し続けた結果、美里奈はとうとうキレて、机を叩いていきおいよく立ち上がった。
 


 「そんなにAKBがいいなら、何の曲がいいのよ?」
 「んっとねーふっふっふ……」
 「で、うちらどうするべ」



 絵磨がこっちの方向に向きなおして、口を開いた。
 私もみんなも、うーん……とうなったまま、動かない。



 「……AKB?」
 「えーっ……」


 龍夜のつぶやきに、私と絵磨と康義の声が重なった。
 だが続いて、辰雅が意見を出した。


 「平安と被りそう、ねぇ、みんな好きな曲とかある?」
 「んー……Bz?」


 孝文が、声を出した。
 ちなみにうちと孝文は、席が一番離れてる。
 

 ……目があったら、一貫の終わりだ。



 「でもみんな知ってて盛り上がれるのでもいいけど、一番コピーしやすいHTTでもいいかも?」


 私も一応、意見を出した。



 「オリジナルが作れたらねぇ……」




 作曲は、コードを組み合わせればなんとかできるだろうけど、作詞の自信がみんななかった。
 前に一度、みんなで作詞してみたが、どれもピンとこなかった。
 ……それに、なんかオリジナルって恥ずかしいし。




 「やっぱいきなりは無理だよ、月曜日、各自でCDとか持ち合おう」
 「それがいいかもな……」
 「じゃ、ちょっとあわしてみる? なんか」



 絵磨、龍夜、辰雅が順にしゃべった。
 私も孝文も康義も、うんうんと頷いて、音楽室へのドアノブを握る。
 すると、背後から愛可の声がした。


 「あっれーどこいくの?」
 「やっぱ話し合いは明日すんの! キミらは?」
 「俺らはAKBと、オリジナルを作ることにしたんだ」
 「オリジナル!?」




 戸川の声に、私達6人全員の声が重なった。





 「作曲は愛可が担当して、作詞はみんなでするんだ」
 「へ〜ぇ、できあがったら教えてね」
 「よし! 作詞すっぞー!」



 怜緒の気合のはいった声をバックに、私達は音楽室へ移動した。










 「せんぱ〜い!!」




 音楽室にいくと、後輩達がワッと集まってきた。
 キラキラ輝かせた瞳。……どうしたの?



 「先輩たちの演奏聴きたいです! ……ダメですか?」
 「……どうする?」



 辰雅が、私達の顔を見回した。
 みんな頷いて、だれも否定する人はいなかった。



 「よぉし! じゃあみんな片付けて集まって! うちらがミニライブ開催しちゃうよ〜!」
 「わーあ! やったぁああ」



 後輩達は、飛び跳ねて大喜び。
 なんか嬉しいな、こうして喜んでくれるなんて。





 私は、キーボードをセッティングして、位置についた。
 ……只今、心臓爆発しそうです。
 だって、隣に孝文が平然と座ってるから。





 ——どうでもいいかな?
 私が、孝文のことを好きだなんて。
 なんとも思ってない女が、自分を好きだなんて。




 もう、どうでもいいから、忘れちゃってる?



 そんな不安をよそに、皆はセットを終えたようだ。
 すると、孝文のスティックカウントが始まった。



 「ワン、ツー、ワンツースリーフォー!」




 孝文の力強いドラムさばき、聞いてるだけで気持ちいい。
 なんて素敵なんだろう、私この人のこと本当に好きだ。



 そして龍夜の、野太いベース音。
 辰雅の、甘くて太い、コードカッティング。
 康義の綺麗なパワフルサウンド。
 そして私の、シンセサイザーで奏でるオルガン音。

 ようやく絵磨の、美しい歌声が入った。




 私、大好き。





 孝文が——


 絵磨が——


 龍夜、辰雅、康義が——



 軽音楽が、CLOVERが、後輩達が、卒業した先輩達が。





 みんな大好き。




 私、ここでバンドできてよかった。
 私、しあわせ。