コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 恋時計 +半実話+ ( No.272 )
- 日時: 2011/08/25 21:04
- 名前: 苺羅、 ◆m.d8wDkh16 (ID: xe6C3PN0)
- 参照: 最近いやなことばっかりおこるー
第164話
9年生の実力テストが終わり、私はまた部活に励んでいた。
……てかあと2週間後くらいには、期末が待っている。
あーもう! テスト多すぎだっつーの! いらないってば!!
心の中で叫びつつ、私は練習を続けた。
「ちょい無理! 休憩する」
私は独り言のように呟き、廊下に出た。
廊下の風通しは悪く、冷房をつけてある音楽室のほうがはるかに涼しかった。
……暑いけど、とりあえずここに鞄あるから、お茶でも飲もう。
そうおもい、水筒のお茶を口に入れた瞬間。
「かっおりぃ〜! ひっさしぶりぃ〜」
「んぶっ」
私は思わずお茶を噴出しそうになった。
里子先輩が高校の制服を着て、はしゃぎながらやってきた。
後ろには、桜先輩や凛子先輩、純也先輩と健先輩もいる。
「あれっ、みなさん……お久しぶりです」
「きょーは部活なくて、来ちゃった!」
「まぢですかぁ」
……やばい。
先輩たちがきてくれたのは、嬉しいけど。
「あの、ちょっと待っててくださいね」
「うん」
私は急いでドアを開けて、すばやく閉めた。
そして私は、隣にいる絵磨の肩を叩いた。
絵磨は、ギターの演奏の手をとめ「何?」と尋ねる。
「……先輩たちきた」
「えっ、そうなの?」
絵磨は、急いでギターを置くと、音楽室の黒板の前まで行った。
ここまでいくと、みんな話を聞いて! という合図になるらしい。
その通り、演奏の音はぴたりと止んだ。
「ちょっと……集合! あ、あんま音立てず静かに!」
絵磨の言葉に、みんなは不思議な顔をしたが、そのままあまり音を立てずに、ワッと集まった。
「……先輩達が遊びにきたらしいから。新入部員の人は、素早く準備室へGO!」
「……うぎゃ〜!!」
「しっ! 今そこにいるから」
叫びそうになる後輩を抑えて、絵磨は注意した。
すると、後輩たちは焦りながら、楽器を隠して急いで準備室へ移動した。
「……先輩、お待たせしました」
龍夜がかしこまった口調で、ドアを開けると、先輩たち5人がどかどかと音楽室へはいってきた。
……なんで後輩たちを準備室へやったかというと……。
新入部員全員は、先輩(特に里子先輩)が怖くて、やっと今年入部したのだ。
怖い相手と、会わせるわけにはいかないとおもい、前々から絵磨と相談はしてあった。
別に先輩、怖い人じゃあないんだけどね。
「……もしや、新入部員ゼロ?」
純也先輩が、青ざめた表情で聞いてきた。
私達6人は言葉を詰まりながらも、頷いた。
「……あれ? でも……ドラムセットなんか増えてない?」
凛子先輩、勘が鋭い!!
やばいやばいやばい!! 龍夜が孝文に目で合図を送った。
「えっと、あの、俺色んなドラム試してみたくて……顧問にお願い&貯金で買いました」
「えーっ? なんで? 1個でいいじゃん」
「……ひ、1つ1つのドラムに個性があるらしいです。曲によってわけてるんです、ねっ? 孝文君」
康義も助け舟をだすが、先輩の不審そうな顔は消えない。
……あー! ドラムセットもどうにかして、どっかやっとけばよかった!!
今更そんなこといっても、もうおそかった。
「キーボードの数も増えてるねえ、あ、あと!」
「そ、そんなことより、先輩高校生活どうですか?」
辰雅が、わらにつかむ思いで口にした言葉だった。
……やばい! やばいやばいやばい。
そのとき、追い討ちをかけるように、準備室から物音がした。
……だ、誰!? 先輩は、じろりと準備室を見つめた。
「……準備室どうなってんの」
「あ—————————!!」
私達6人の大声が重なった。
万事休す! ごめんよ、後輩&平安ズ!!
「……なぁんだ、誰もいない」
「え?」
里子先輩の呟きに、私は耳を疑った。
……いないですと!?
「ちょ、ちょ、ちょっとまってください」
絵磨はとっさに先輩を押しのけて、準備室へ行った。
私も様子みたさに、それに続く。
そして、ドアを閉めた。
……確かに、みんないない。
「えーま、かおりぃー……」
かすかな声が聞こえてきた。
多分、美里奈あたりの声だとおもった。
声の方向をみると、何かがもぞもぞうごいている。
そこに近づいてみると……。
「うわっ、そこでなにしてんの」
「俺らやばいとおもって、とっさにここに隠れたんだ」
「これなに? 理科室とかにある、カーテン? なんかここにおいてあってさ。皆ちょうどはいった」
「そ、そっか……」
準備室は、古い楽器などがやまほどおいてあって、その奥もごちゃごちゃしていた。
このごちゃごちゃを、いつか掃除しようとおもっていたが、今日まで掃除してなくてよかった。
「てかさー……先輩まだいる?」
「ばりばりいる。楽器の数が増えてることに気付いた」
「うっわやっべー!!」
優志が思わず大きい声をだしてしまった。
一斉に優志のほうに、視線がいく。
「あっ! ……で、でででででも、バレるのも時間の問題なんじゃあないかなあ……」
「なんでよ」
彼氏の呟きに、彼女愛可が聞いた。
「だって今年の文化祭、絶対見にくるだろ。そしたらバレるじゃん」
「あーそっかあ……確かに」
「ここは、いっそ素直にいっちゃおうかな……」
後輩と平安ズは、カーテンのなかからでてきた。
「里子先輩だって、そんな頭ごなしに怒る人じゃないしね」
「うん、まぁたしかにね」
絵磨の呟きに私も賛同した。
そして後輩達が晴れた顔をして、音楽室に飛び出そうとした瞬間。
「まさか、三井優志とかが入部したんじゃないだろうね!」
「……え、いや、あいつはサッカー部で……」
え?
音楽室から、里子と孝文の声が聞こえてきた。
「あいつバンド組んでたでしょ? うちが卒業したからって、入っててみー、あいつめ、ボコるぞ」
「…………」
場の空気がシーンとなってしまった。
私達は目配せすると、優志たちは再び、カーテンに隠れた。
結局先輩が帰ったのは30分後で、ようやく後輩達が開放されたときは、すでに終了時間が近づいていた。