コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 恋時計 +半実話+ ( No.284 )
- 日時: 2011/09/08 20:18
- 名前: 苺羅、 ◆m.d8wDkh16 (ID: S86U/ykR)
- 参照: ずっと前から彼のこと好きだった 誰よりも やっと私に来たチャンス
第168話
電車に乗って30分のところに、その街はあった。
私達は少しスペースを開けて並び、駅から出て、立ち止まった。
……実は、このへんの地理あんま詳しくないんだよね。
私が焦った顔で、優志のほうをみた。
「……久々だな」
「は?」
優志はしみじみとした表情で、腕を組む。
「AKBグッズを買いに、友達についてきてもらったとき以来だ」
「……何買ったの?」
「カードだよ!! ここでしか売ってない限定品!」
「……ふーん……」
私はとりあえず、引いた態度をとって、歩き始めた。
優志も「待て」と後を追う。
「一応、この街の地理はちょっとならわかる」
「おぉまぢで? ありがとー」
でもまずはどこからいこう……たしか、ここには——
そうだ!!
「LOFTいこう、ロフト」
「ロフト?」
「あるじゃんほら! 黄色い紙袋の!!」
優志は「あー」といって、くるりと逆方向に歩いた。
どうやらそっちのほうにロフトがあるらしい。
歩くとすぐに、あった。
「……ここ何が売ってたっけ」
「アクセとかメイク用品とか、なんでもあるよ」
「……じゃあいこう」
優志が率先して店の中にはいった。
しかし、またすぐに立ち止まる。
「……何からみればいいんだ?」
「うーん……あっ! そうだ!!」
私は昔に聞いた、美里奈の話を思い出した。
まだ森野と付き合ってた中1の頃で、2人はペアリングを買ったのだ。
もういまはなくしちゃったみたいだけど……。
あの2人もラブラブアツアツだったし、この2人だって絶対ペアリングが似合うはずだ。
「いいとこあるから!」
「どこだよ」
優志の言葉は無視して、私は無我夢中で歩いた。
……えーっと、ここにたしか、指輪とかが売ってて……
あった!! 私は急ブレーキで立ち止まった。
「……なんだよここ」
「ペアリングだよ! ほら」
みると、そこにはたくさん並べられた指輪があった。
「ペアリングコーナー」なんてかいてある。
……にしても種類多いな。
「どれにしよう」
「愛可に似合うと思うのを、自分で決めたら」
私はそれだけいうと、別の方向を向いた。
……どうせなら、ここで買い物済ませちゃおうか。
私はそうおもい、優志のほうに向きなおした。
「んー……!」
優志は並べられている指輪を、真剣に見比べていた。
その瞳は、愛しい愛可を見るようでもあって。
愛可のことを真剣に考えているようでもあって。
とりあえず、愛可を本気で愛していることが伝わった。
「…………」
愛可、幸せものだな。
そのとき、かすかにそうおもった。
「おい、香織」
「は? あ、あ、うん! 何?」
優志に呼ばれて、私はあわててわれに返る。
「これにするわ」
「どれ?」
優志が指差すペアリングは、ピンクのパールがついていた。
ハートのほうが彼女で、丸いほうが彼氏。
「ピンクのパールって、愛可っぽいきがする」
「んーいいんじゃない? 店員さんいってみたら」
私がそういうと、優志は店員さんを呼んだ。
そして色々はなして、指輪を出してもらい、会計を済ませた。
「ありがとうございましたー」
店員の声をバックに、店を出た私達。
そして、また立ち止まった。
「さて、用も済んだし帰るか」
「ちょっとまて」
帰ろうとする優志の肩をつかんだ。
「約束、忘れてないよね」
「……チッ覚えてたのか」
優志は、さっきとは考えられない悪質な顔になった。
……そこまで私におごるのがいやか。
「……仕方ねぇ! 愛可のプレゼントを選んでくれたし、仕方ないからおごってやる」
「おぉっ、ありがと」
私はその場で、スキップした。
優志も小走りになりながらその後を追ってきた。
マックの中は、いつもどおり賑わっていた。
幸い、座れるペースは確保できて、鞄を置くとレジに向かった。
並びに並んでやっときた順番。
私はシャカシャカチキンとコーラゼロ。
優志はポテトのMサイズと、ファンタグレープ。
それぞれのものをトレイにいれて運んだ。
「……ねぇ」
「んぉ?」
優志はポテトを頬張りながら返事する。
なんか、変な顔……っていっちゃわるいけど。
「愛可と同じ高校目指すの?」
「もちろん、そのつもりでいる」
「愛可頭いいから、長本高校とかいけんじゃね」
私もジュースを飲みながら、呟いた。
「俺の頭にあわしてくれるんだよ! ボケッ」
「ボケとは失礼な。いいなー同い年……」
「は?」
優志は何故か反応してきた。
チッ、聞き逃してよ。
「いや、あの……年の差があるとね、ね」
「……お前まだ孝文好きだったのか」
優志は意外とでもいうような顔をした。
私は眉間にしわを寄せる。
「……悪い?」
「別にー、フッフッフ」
優志はへんな笑い方をした。
なんだ、怖い奴。
私はさらに眉間にしわを寄せた。
「……孝文のメアド知ってる?」
「知らない」
即答かい!!
「ほんとにしらないの!? 兄弟なのに」
「本当だって。てか孝文がメアド持ってること自体知らなかった」
なんじゃそりゃ……仲悪いのか。
いや、それが普通?
その後も、私達の意味不な会話は続いた。
その光景を誰かに見られてるとは知らずに