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Re:    恋時計  +半実話+ ( No.289 )
日時: 2011/09/10 18:15
名前:   苺羅、 ◆m.d8wDkh16 (ID: S86U/ykR)
参照: ずっと前から彼のこと好きだった 誰よりも やっと私に来たチャンス





 第169話






 そして、連休明けの火曜日。
 明日で終業式、夏休みということで私のテンションはあがってた。
 いつもと同じように学校に行くと、ふいに皆が私を見た。
 ……?
 なんでそんな、ジロジロみてくるの?

 私は不審に思いながらも、教室に入ろうとした——




 「香織〜!! ねぇちょっと!!」



 教室からでてきた真央、みう、愛海によってさえぎられた。
 すると、周りの奴らが全員私を取り囲んだ。
 



 「な、なに……」
 「いつから優志君と付き合ってるの〜?」
 「え?」




 私がふと視線を変えると、そこには同じように大勢の人に囲まれている優志の姿があった。
 ……え? なにこれ、どういうことなんだろう。
 私はしばし考えたが、ようやく答えが見えてきた。




 街に買い物いったとき——





 誰かに見られてた?









 「付き合ってなんかないよ」
 「嘘ばっかり! 沙羅と沙理が見たっつってんだもん! 一緒に並んで歩いてる所!」
 「え……」




 すると、噂をすればやってくる、沙理と沙羅が顔を出した。
 そしておもいっきり、私に顔を近づける。



 「愛可から略奪愛!?」
 「ねぇいつからいつから!?」



 ダメだ……今、どれだけ弁解しても否定されるだけだ。
 どうしようどうしよう、絵磨、いないの?
 私は今にも泣きそうになった。




 「ちょっとぉ、なんなのこれぇ、暑苦しぃ」




 何も知らない愛可が、眉間にしわを寄せてやってきた。
 みんなは騒ぎ立て、一斉に愛可に視線がいく。
 沈黙が続いたあと、誰かが叫んだ。




 「おぉー! 元カノと今カノが並んだ! 修羅場だ!」
 「……はぁ? どういうことぉー?」



 愛可はまぬけな表情で首を傾げて見せた。
 すると今度は森野あたりの人物が、愛可に近寄った。



 「優志は愛可と別れて、香織と付き合ってんだよ」
 「……はぁ!?」



 そのとたん、愛可の形相が鬼のように変化した。
 そして私を引っ張り、優志のもとへとつれていく。
 周りからは「修羅場だ、やばい」って声が聞こえてきて、いつのまにかギャラリーも増えていた。



 「ちょっとどういうことよ! 優志、浮気!?」
 「……いや、その、あの」



 優志はやく本当のことゆってよ!!
 そう念じたが、なかなか言わないので、私が言うことにした。
 愛可はいつもの穏やかな表情と違い、鋭い目つきになっている。



 「あの、愛可、それと……みんな!!」



 私は声のボリュームを最大限にした。




 「誤解だから!! 優志が愛可の記念日プレゼントまだだったから、一緒に選んでほしいって、なりゆきで!」
 

 私は、少し呼吸をする。



 「……つ、ついてったの!! 女子の意見を聞きたいってゆってたから!! 本当にそれだけ!!」




 私は言い終わったあと、ひどく息切れをしていた。
 周りは、静まり返ったがその沈黙を破ったのは、優志だ。




 「……そのとおりだ、愛可、はい」







 優志は、どこからともなく、紙袋を取り出した。
 そのなかにはオシャレな指輪ケースがはいっていて、それを愛可の顔の前に突き出した。



 「……ペアリングだよ、はい」
 「……え?」



 優志は指輪を取り出すと、愛可の指にそっと通して見せた。
 そして自分のぶんも指輪を通す。


 「俺が、愛可に一番似合うとおもったやつ、一生懸命選んだんだ」
 「……優志は、本当に真剣に愛可のことを考えて、それを選んだんだよ」


 私も何気にフォローを入れてみた。




 すると、愛可のいつもの表情が徐々に戻ってきた。



 「本当に……? これ、いいの?」
 「もちろん」
 「……優志ぃっ! 疑ってゴメンネ……!!」




 すると、ギャラリーたちが冷やかし、歓声がおきた。
 中には「そういうことかよ」「つまんねぇ」とブツクサかえって行く人もいたけれど……。



 しばらくして、先生がやってきたので、皆は元の場所に戻った。
 私も少しやつれながら、席に帰る。



 「香織〜さっきは災難だったね……」
 「絵磨、みてた?」
 「香織のとこいこうとしたんだけど、周りがね……人多くて、割り込めなかった……」
 「そっかぁ」



 すると、絵磨はニコッと笑みを見せた。





 「まぁ、皆にわかってもらえてよかったじゃん」
 「うん!」
 「……明後日から夏休みだし、色々楽しもうね」









 あぁ、今年も夏が、やってくる!!
 今年はどんな夏になるんだろう——