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Re:    恋時計  +半実話+ ( No.298 )
日時: 2011/09/12 19:45
名前:   苺羅、 ◆m.d8wDkh16 (ID: S86U/ykR)
参照: ずっと前から彼のこと好きだった 誰よりも やっと私に来たチャンス







 第172話






 お祭りの中は、やっぱり沢山の人でごった返していた。
 ……あっついな〜でもたのしいからいいや。
 そうおもいながら、絵磨と人ごみをかきわけた。
 私はふと、ヤキソバのところに視線を移す。
 ……ん?



 黒髪のワックスでオシャレに決めた髪の毛。
 背の高い、あの後姿はもしかして——




 私は、絵磨の肩をぽんぽんと叩いた。





 「なに?」
 「……あれ、みてみ」




 私はニヤニヤしながら、ある人物のほうを指差した。
 絵磨はしばらく凝視すると、突然顔が赤くなった。



 「あれってもしかして、い、い、壱……」
 「お、ヤキソバ買ったぽいよ、いこ!!」



 私は、絵磨の了承も得ずに、腕を引っ張った。
 心友の恋の協力ってのも、楽しい。
 私は、さりげなーく、珠紀君の視界の中にはいった。
 


 「……あれっ、珠紀君……じゃない?」
 「……七瀬、香織?」



 珠紀君は、きょとんとした表情をしていた。
 友達らしき人はどこにもおらず、1人で焼きソバを抱えている。
 絵磨はというと、私の背中を盾にしていた。




 「……1人なの?」
 「いや、これから合流するんだけど、腹へったから買っちゃった」
 「ほぉー」



 私はさりげなく、絵磨のほうをチラッとみた。
 どうしようもなくなった絵磨はついに、珠紀君の前に顔を出す。
 珠紀君は、口を開いてまぬけな表情になった。




 「え、ええ……久保もいたの」
 「う、う、うん……」



 顔を赤らめて話す絵磨。
 きょとんとする珠紀君。




 ……ん?




 うち、邪魔者だ!!





 
 「おぉぁああ、あそこにおいしそーなチョコバナナが! ちょいいってくるわねーん」




 私はふざけてそういうと、チョコバナナの売店へ去った。
 ……頑張れ、絵磨!! 私は列の最後に並んで2人を見つめた。
 ……遠くから見ていると、2人はただ向かい合っていた。
 あんまりよくみえないけどなんか喋ってる、かな。





 「——さん、お客さん」
 「お?」
 「……注文は?」
 「あっ、す、すいません!!」



 私はいつのまにか、後ろに沢山の人が並んでいることに気付いた。
 慌てて1個注文すると、元の場所に戻った。
 ……あれ? いないぞ? どこいった?



 まぁこの人ごみの中だ。
 ……でも、はぐれてしまったのかも……。




 私は辺りをきょろきょろ見回した。
 ……いないし。






 無理に探して、入れ違いになったら嫌なので、とりあえず夜店コーナーからはずれた柱にむかった。
 そして、また辺りを見回す。




 「……香織ー!!」
 「あっー」



 すると、向こう側から手を振りながらやってくる、絵磨。
 私は目を見開いて、驚いた。



 「……どこいってたのー?」
 「いやぁ、チョコバナナってどこかな、って探してた!」
 「まぢで? ……珠紀君どうしたの?」



 私はチョコバナナを口にしながら聞いた。
 すると、途中で絵磨も何か買ったのか、食べ始めた。




 「なんか友達みつけて、あっちいっちゃった」
 「なんだー! 喋った?」
 「んー……」




 絵磨は少し間をおいて、





 「壱、誰ときたの? ってきいて、答えてもらって、そうしたら……友達みつけてどっかいった」
 「おぉーでも喋ることはできたんだ!」
 「うん! よかったぁー」



 絵磨は再び頬を染め、幸せそうな笑顔をみせた。
 ……恋してる女の子ってやっぱ素敵だな。
 みてるこっちまで楽しくなるよ。