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Re:    恋時計  +半実話+ ( No.318 )
日時: 2011/10/13 23:09
名前:   苺羅、 ◆m.d8wDkh16 (ID: S86U/ykR)







 第175話






 そして、9月になりいよいよ2学期——
 放課後、私達の姿は音楽室にあった。
 ついに1ヵ月半後には、部活を引退するんだ。
 そうおもいながら、私は文化祭の練習に取り掛かっていた。





 けど、だんだん疲れてきたので、休憩することにした。
 私は、壁にもたりかかり、ため息をつく。







 どうすれば、いいんだろう。
 手を伸ばせば伸ばすほど、君が遠くなる。
 ほら、今は同じ室内にいるのに、見てるだけ。
 メールできたら、なにか変わるかな。





 私には、そんな勇気が全く無い。








 そんなことを考えていると、突然ドアから人が現れた。
 ほとんど顔を見せない顧問だった。
 顧問の登場に、楽器の音は止まり、一斉に皆はそっちをみた。




 「皆〜ちゃんとやってる〜?」
 「やってますよー」



 部員の1人が、大声で答えた。
 顧問はにっこり笑みを浮かべると、絵磨の方に視線をやった。
 そして、両手を広げる。




 「ちょっと、Cloverのみんな、こっちきて!」
 「なんですかー」



 辰雅がギターのストラップをはずしながら、答えた。
 「ちょっと話がある」と顧問が答えると、皆は楽器を置いた。
 私も立ち上がると、みんなと一緒に準備室へ行った。




 準備室へ行くと、顧問は端っこにたち、その付近に私達は立った。
 数秒の沈黙が流れると、顧問は話を始めた。






 「毎年、9月の半ばに軽音楽のコンクールがあるのは知ってる?」
 「知ってます、毎年先輩が出てましたよね」


 龍夜が、真顔でそういった。
 顧問は頷くと、話を続けた。




 「実は、今年は貴方達にでてほしいとおもって」
 「えー!?」



 みんなの声が、重なった。
 軽音楽コンクールは、毎年先輩たちが出場していて、いつも金賞か銀賞で帰ってきていた。
 そして、全校集会のときに賞状をもらい、春椿軽音楽部は少しは有名になっていた。



 「で、でも文化祭の練習があるし……」
 「創部以来、10年連続入賞の伝統を守れるか不安ですよー」




 絵磨と、私が順番に答えた。
 すると顧問は、再び笑みを浮かべた。




 「大丈夫! あなたたちの十八番の曲でいいんだし、それに貴方達なら入賞間違えなしよ!」
 「え、そうっすか?」



 孝文が、少し照れくさそうに言った。
 続いて龍夜が質問をした。



 「それって、9月の何日ですか?」
 「9月の……18日だったかな?」
 「じゃあ、ほとんど時間ないじゃないですかぁ!」



 康義が、頭を抱えながら叫んだ。
 そして皆は、難しい顔をしながら、黙り込んでしまった。







 「……でも、創部以来ずっと出てるなら、ちょっと出てみたい気もしない?」
 「……んー……まぁ」
 「……得意な曲やればいいよね」




 絵磨に続き、龍夜と康義も賛同の声をあげはじめた。
 




 「どう? ダメかな?」
 「……いえ、私は、でたいです!!」
 「俺も」
 「俺も!!」
 「私もかな」
 「俺もちょっとでてみたいかも〜」
 「皆がそういうなら……」




 絵磨、龍夜、孝文、私、康義、辰雅の意見がそろった。
 すると顧問の顔が、パーッと明るくなった。




 「本当!! ありがとう!! じゃあ、申込用紙かいといて、あとで職員室に持ってきてね、じゃあ」




 顧問は白い紙を渡すと、愉快そうな顔をして、音楽室を去っていった。
 私達はその背中を数秒みつめたあと、筆記用具をとりに、鞄のある場所へ向かった。