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Re:    恋時計  +半実話+ ( No.337 )
日時: 2011/12/12 15:10
名前:   苺羅、 ◆m.d8wDkh16 (ID: S86U/ykR)
参照: 冬休みまでに、一通り終わらせます!!






 第185話





 翌日、私はテストが終わった日の帰り道を絵磨と歩いていた。
 絵磨に全て、昨日のことを告げたのだった。


 「そっかあ……てか孝文、おっさん化してない?」


 おっさんとは、優志のことである。
 最近私達は、優志のことをこう呼んでいる。
 


 「んまぁ、血繋がってるからね……」
 「孝文、優男だとおもったんだけどな、なんか違うね」
 



 私は、それを聞きながら、空を見上げた。
 思い出すな、丁度もう、1年前になるのかな。





 年下だけどどこかたくましくて、ちょっとうるさいけど、なんだか頼もしく見えてさ。
 いつのまにか、そんな孝文の事を大好きになってた。
 今まで一番愛してた、本当に幸せだった。
 まさか、急にこんなことがおこるなんておもってなかった。
 でも私、知らなかったのかもしれない、孝文の本当の人格を。
 まだなんだかんだいって、中学1年生。
 龍夜とすごく仲がよくて、まだまだ子供っぽさがはじける学年。



 恋愛なんてきっとまだ、知る由もない。
 まぁただ単に私がキモイと感じただけかもしれないけど。
 なんだか、長い眠りから覚めたような感覚だった。





 でも、もう孝文とはもう会いたくない。
 喋りたくない、大嫌い、あんたなんか嫌い。
 そうしないと、思い出すから。
 辛くなるから、きっと叶いやしないこの恋を思い出して。




 辛いの、もう辛い恋はしたくなかったの。
 接点がなかったから、ちょっとがんばってみたのに。
 君はそれを、受け入れてくれるはずがなかった。
 空振りした。三振だった。アウト。
 どこかで『両想い』って、思ってたのかな、わかんないけど。




 でもね、あんまり泣きそうなほどショックじゃないんだ。
 なんでだろう? 悲しいっていうより、違う気がする。
 多分、君が年下だから。
 年下ってこんなもんなんだ……って思ってる。
 ああ、私何考えてるんだろう。







 私は、鞄の奥深くから、あるものをとりだした。
 それは、コンクールが終わったときのこと。
 皆で写真をとったあと、絵磨の手伝いもあって、孝文と念願のツーショットを撮ることができた。
 嬉しくて嬉しくて、ファイルにいれて持っていた。





 










 「私、これいらないや」
 「……いいの? 本当に」
 「いいの、こうして気持ちの整理をする」










 私は、手すりの前にたって、写真を持った手を伸ばした。
 この手を離せば、写真はゆっくり急降下していく。
 





 もう愛せない、愛しちゃいけない、駄目なんだ。
 これで君ももう、迷惑じゃなくなるよね?
 こうしたら、私以外、いや、私も、誰も傷つかないかな?
 いいかな、本当に。







 私はゆっくりと、手を離した。
 すると写真はくるくる風に舞いながら、やがて川に落ちた。
 私の想い出を消し去るように、写真は川のなかへと消えていった。








 そのとき、一粒の涙を流したのは、絵磨にも内緒の話。