コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 小説って良いなぁ…… 第一話 三頁目執筆中 ( No.28 )
- 日時: 2011/06/02 19:33
- 名前: 風(元:秋空 ◆jU80AwU6/. (ID: .cKA7lxF)
<小説って良いなァ…… 新入生入学 三頁目>
<十六夜日向視点>
「よし、今日のホームルームは是で終了だ。 何か、聞きたい事は有るか?」
あそこまで不当な扱いを受ける様を見ると流石にかわいそうになってくるな……駄犬……
あはっ、間違えた! 純星だった!
って言うか、何で学校初日から奴は遅刻してくるの? 面子ってのないの!?
かく言うあたしもギリギリだったけどさ?
そんな事を純星の方を見ながら思っていると何時の間にか明日の休み明けテストの日程が届けられ、ホームルームは終わりを告げていた。
流石は、成績優秀者たちの集う高校の中堅クラスだけあって、あたし以外の面々は、皆、先生の話を真面目に聞いていたみたいだ。 榛原先生の言葉に対し沈黙と言う名の全理解があたしの他の生徒達から提示されていた。
ここで、質問とか馬鹿丸出しだから学校が終ったら放課後、黒凪ちゃんに聞こうとあたしは思いとどまる。
「よし、質問はねぇ様だな。 式辞館に行くぞ。 入学式中は静かにな」
先生は、周りを一頻り見回して、数十秒待つ。
そして、誰も、自分の話を聞き逃した者は居無いと判断し話を進める。
放心状態の純星をやけに強い視線で見詰ていたが奴は、先生の視線の事など気付かなかった。
式辞館とは、式典などの時だけに使用されるこのマンモス高校らしい豪華な内装の体育館級の大きさの部屋の事だ。
基本的には、入学式とか卒業式位しか使われないが、災害時の避難場所としても指定されている。
生徒達は、先生の合図と共に立ち上がり順番に、藍沢君を先頭に、教室の外へと出て行く。
放心状態だった純星のことは、後藤君って言う彼の後ろの席の体格の良い子が運んでくれた。
全く……迷惑な奴。
「黒凪ちゃんは、あんな奴の何処が良いの?」
「えぇ? 背ェ高くて格好良いし結構、熱くて護ってくれそうだし……少し馬鹿っぽい所も……良いニャァ?」
眉根がぴく付くのが分る。
あたしは、後ろの黒凪ちゃんに、小さな声で何であんな奴と付き合っているのと聞く。
実際、本当に疑問だ。 彼女の可愛さや甘い声なら幾らでも、男が引っかかるはずだ。
一瞬、彼女は、目を瞬かせるがその後、淀みなく言葉を並べていく。
成程、見方が違えばそんな風に見えるのか……あたしは、そう思った。 最後の言葉が強調されてるのが妙に気になるが。
まぁ、所詮、純星だし良いか……所詮、男も女も自分よりアホな異性の方が制御し易く良いんだろうな。
「おい! 十六夜! 黒凪! 私語は厳禁だ」
真面目な榛原先生の言葉に、あたし達は生返事で答える。
式辞館に着く。 時計の針は九時半三分前。 一年前は、迎えられる逆の立場だったなぁ……などと思いを馳せる。
あたし達は、予め用意されている席に、前から番号順に腰を下ろしていく。
開会式の挨拶が終り、新入生が入ってくる。
美形居ないかなぁ……とか、あの子、可愛いなぁとか思ってみる。 あたし等も当然、先輩達に品定めされてたんだろうなぁ……
「私達は、この学び舎に入学できた事を誇りに思い、今後とも怠けることなく勉学に励み、短い高校生活を充実した物とすることを誓います!」
校長先生の挨拶の後、新入生代表挨拶が行われる。
新入生代表の子は、男の子で中々の長身だった。 それで居て、美形! 水島ヒロみたいな感じの美形だった!
周りがドヨめくのが分る。 しかも、声が若干、緑川光さんに似ていて凄い……
そんなスゲェ新入生にあたしがふおぉぉってなっていると黒凪さんがあたしの肩を叩くのを感じる。
「彼……あたし達の部に欲しいニェ?」
あたしが振り向くと彼女は、小悪魔的な笑みを浮べ小首を傾げて言う。
できれば、あたしもあんな格好良い子が入るなら大歓迎なので否定はしなかった。
「そうだね……明後日が、天王山だね!」
「ふふっ、楽しみだね今年一年間」
小さくあたしは、彼女に同意する。
彼女は、口角を吊上げて未来を見るような瞳で誰にともなく呟いた。
新入生代表挨拶が終ったのか、例の青年は登壇していた。
周りの反応を見て……特に女子の反応を見てか、彼は、顔を顰めていた。
彼が、退団し自分の場所に戻る。
新入生代表の後に、校歌斉唱をして新入生が退室し、最後に閉会式の挨拶。
何の波乱もなく入学式は、終了した。
そりゃぁ、高校生の入学式で波乱なんて有ったら困るが……しかし、条の内先輩は望んでいるんだろうなぁ……
入学式も終り、あたし達は、自分達の教室に戻った。 時計の時間は、十一時半を指していた。
入学式って二時間も掛かるんだなぁ……眠くなる訳だよ? って言うか、来賓式辞とか要らんし!
廊下の途中で多くの女子が、新入生挨拶をしていた子の話をしていた。 まぁ、先生に一喝されたけど。
明日の実力テストを配慮して、今日は、午前中で日程は終了した。
十二時頃には、再確認の為だけのホームルームも終了し解散となった。
多くの子達は、新入生のどの子が好みかとか話しながらも、少しでも勉強したい一心で、教室を足早に後にしていた。
「純星ィ! 久し振りぃ!」
「何だ、白阿も三組だったのか?」
今まで気付いていなかったのか馬鹿。 この分だとあたしの事も気付いて無いな。
「うおっ! 日向まで!?」
「鈍過ぎ」
案の定、奴は、体を後ろに逸らして私の存在に驚いてくれた。
その様子を見た黒凪ちゃんがほくそ笑んでいたのは、恐ろしかったな。
黒凪ちゃんは、奴の腕に手をやり「そんな所が可愛いんじゃニャい?」と満面の笑みで言った。
純星も満更でも無さそうだ。 憎まれ口は、叩いても抵抗はしない。
「ねぇ、純星? 少し買い物付き合って欲しいにゃァ?」
そんな阿呆の腕に、彼女は容赦なく細い腕を絡めおねだりする。
恐ろしい子……黒凪ちゃんは、勉強しなくても有る程度大丈夫だろうけど……コイツはヤバイだろうに?
流石に、馬鹿男も抵抗はしたが、根本的に口喧嘩の強さが違い敗北し結局、彼女に付き合わされる事となった様だ。
「明日のテスト……オワタ式?」
「完全に終ってるじゃん?」
流石に、彼も勉強少しでもしたかったらしい。
そりゃぁ、間違いなく三組の中では底辺に位置するであろう男な訳だから当然なんだけど……——
それにしても、憐れだ。
「所でさ? 十六夜っちも行かない?」
どれ被害があたしに及ぶ前にさっさとトンズラするか……
そう、考え鞄を持って席を立とうとするあたしに彼女は、声を掛けてくる。
全く、気配が笑っていない恐ろしい笑顔を見せながら黒凪ちゃんは、あたしに誘う様な風情の言葉を投げかけてくる。
正確には、語調や発散する殺気!? から脅しであるのは明確だった……
「はい……」
あたしは、瞬間、彼女に勝てるはずが無いことを悟り、従う事を決める。
その瞬間、彼女の顔が、満面の無邪気な笑みへと変るのが分る。
あぁ、恐ろしい子……そして、あたしの明日のテスト…………グッバイ!
たかが一日、されど一日です!
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