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Re: 小説って良いなぁ…… プロロ二頁目 執筆中 ( No.8 )
日時: 2011/05/22 22:44
名前: 風(元:秋空  ◆jU80AwU6/. (ID: .cKA7lxF)

〈小説って良いなァ……春色プロローグ 二頁目〉

 俺は,心地良い風を受けて走り出す。 お袋が五月蝿く飯食ってから行けとかやいや言うてたけど気にせぇへん!
 はよぅ,学校行かへんと俺,先生に何言われるか分らへん! 部長なんやから遅れるなだの何だのと喧しいし!
 俺が,学校に行ってる理由は,小説好きな仲間と談義するためや! 勉強とか何とか二の次やっちゅうに!
 俺が駆け足で走り出して二分位する。 俺は,この辺になると何故か胸騒ぎがするんや。 
 何故やか分るか? 分る訳有らへんよな? 俺の家から駆け足で二分……徒歩にすると四〜五分位の場所に俺の一切年下の幼馴染の住むちっさいアパートが有るんや……
 何? その幼馴染が好きなのか嫌いなのかって? 問題は,其処やあらへん! いや,好き嫌いで言うたら好きやで!? まぁ,良くつるんでたから好きにならざるえなかったんやけどな?
 健康的な肌の色してて慎重はスラッと高くて純粋そうな可愛い目しとる……何やて? そないこと聞いてへんやて? まぁ,俺が嫌がる理由も多分直ぐ……あ〜ぁ,声が聞こえて来たあぁぁ……
 
「待ってたか慎介? あたしは待ってましたぜ条の内部長! イエ〜ィ!」

 アパートの移動通路の外に有る水道管を伝い俺の,幼馴染の馬鹿女,十六夜日向は降りてくる。
 アホや……待ってへんし! それに,色気も無いパンツが丸見えや……って,言うかいっつも見てる俺は,良いとしてもし,通行人居たらどうなるか分ったもんやあらへんど!
 ツーか,昔からだからってアパートの住民さんたちもアイツに甘過ぎや! アイツもう,大人の体やど! あない事やっとったら……何,俺はあんなアホの心配してんねん!?
 テンパってる俺の前へと日向は満面の笑みを浮かべながら近付いてくる。 あぁ,この感覚も久し振りや……是から何時もの様に付き合わされるようになるけどな……何をって?
 日向の暴力的な朝の挨拶や……本人,スキンシップやと……ぐぶぅ!?

「あっ! 久し振りでちょっと強く打ち込み過ぎちったぁ? ゴメン!」
「ぐふぅ……お前,それで許される思うてるんか?」

 あぁ,やっぱり何時もより強く打ち込みよったんやな? こいつのみぞおちチョップを堪える為に鍛え上げた俺の腹筋が悲鳴を上げとる。 畜生——ケロッとした顔しおって。
 しっかし,コイツ是で謝っとる積りかいな? そんなんで許されたら警察は要らへんでぇ?
 流石に,許さ……おい,そんなウルウルと目を潤ませへんでくれへん? まるで俺が悪者やん? 俺,女の涙とか……いや,コイツは女やあらへん。 唯の暴力馬鹿……や!

「駄目?」
「わあぁったよ! 許したる! ったく,俺も甘いわぁ」

 一つ,仕返しに拳骨でも加えたろ思うた俺やったが彼女の小首を傾げての大きい目を上手く使っての演技にノックアウトして結局は許す事になった。 我ながら情けへん……
 日向の野郎は,「先輩のそんな所がだ〜ぃ好き!」なんて言うて抱きついてくる始末やし……ホンマ,女って芸達者やなぁ。 褒めてるんやなくて呆れてるんやで?

「ところで先輩? 何か目に熊みたいなのが?」
「あぁ,昨日,俺は魔王と世界を賭けて戦うてたんや……朝の八時まで激闘は続いたんや!」

 先程までの涙を拭い何時も通りのあっけらかんとした笑みを浮かべる日向。 全く調子えぇなぁ。
 日向の奴は,俺の顔を覗き込み目の熊を指差し心配げに問う。 目の熊がよほど酷かったんやろう。
 俺は,大した事あらへんと豪語するようにゲームの話を誇張して彼女に伝える。 魔王と戦いを繰り広げてたのは事実やしゲームで夜更かししてた言うよりはえぇやろう?
 それを聞いたコイツは,何だぁ何時もの事かとニコリと笑い実は,自分も朝までゲームしてたとカミングアウトするのやった。 まぁ,認めたくなぁけどこいつも似た者ってことなんかな?

「で,何のゲームや?」
「真田幸村で独眼竜と大決戦繰り広げてました! もう,昨日の昼頃から森田さんと中井さんの声ばっか聞いてたぁ! あたし格ゲー下手すぎ!?」

 俺は,何のゲームを遣っていたのかを歩きながら聞く。 コイツはアクションとかRPG好きやったなぁ。 俺は,どうせアクションかRPGの類やろと思うてた。
 そしたら,以外や格ゲーの話や! BASARAは,女子にも人気やからな…………いや,待て? 待て待て待ておい! それは格ゲーやあらへん! アクションや! 俺とした事がコイツのテンションに!
 
 かぁ〜! 何て間抜けなんや……そう思いながら時計を覗くと時間は八時二十分を回っとった!
 走らんとヤバイ。 俺は,そう思うて日向の手をグイッと引っ張った。 アイツは痛そうな表情を見せるが何故か少しも抵抗はしなかった。 三分ほど真っ直ぐ走った橋の向こう。 
 学校への通り紅薔薇通りが見えてきた。 紅薔薇言うても流石に薔薇が植えて有る訳やあらへんで?
 この通路の真ん中には,日本の国花である桜の並木が,並んどるや。 俺達の市は何時も丁度,入学式当日当りに身頃を迎えて新入生を祝ってる雰囲気や。 俺は……満開の桜より散り際が好きやけどな。
 桜並木の道を駆け抜ける。 流石に,始業式兼入学式前や。 朝までゲームやって学校に遅刻しそうになる様な阿呆はおらへん。 俺等と同じ制服,着た学生なんて一人もおらへんかった。 悲しい……
 
 兎に角,俺たちは学校の校門の前まで歩幅併せて二人三脚みたいに走った。 しっかし,やっぱりコイツ元バスケ部のエースだけ有って体力有るわ。 
 だって,体力にそれなりに自信の有る男子生徒である俺にあわせて走れるんやからなぁ……
 でも,コイツはもう,バスケをでけへん体や。 試合中のトラブルで靭帯を断裂する大怪我をしたんや。 手術は成功して少しは走れる程度までは至ったんやけど……もう,激しい運動は出来んて……
 あの時のバスケ出来んって知った時の,日向の顔は,見てられへんかった……
 俺にも分る! もし,俺が小説を書けへんようになったら……ゲームを出来へん様になったら!
 そんな暗い事を考えてたら何時の間にか学校の玄関口に到着しとったみたいや……青薔薇大学の付属高校である紅薔薇高校。 俺達の学び舎や。 

 十階立ての立派な建物で千葉有数の高校や。 温水プールとかトレーニングルームとか安眠室とか凡そ普通の高校とは,設備の格が違う。 超難関高校!
 入学出来るだけでエリート! そんな場所や。 そんな所に何で俺やコイツが入れたか!?
 アホ! 俺は,努力の人や! そして,コイツは勉強はそれ程でもないがスポーツ推薦で入った。
 時間は,八時二十六分……自分の教室まで行くまで二分位やろう。 何とか間に合いそうや……

「やったぁ! あ・た・し・のかっちいぃぃぃ!」
「えっ? 何? 是,勝負とかやったん?」

 俺は,何とか間に合った事に安堵の溜息を漏らすと,瞬間,素っ頓狂な声が響く。 
 それは,間違えなく日向の声やった……あぁ,是も何時もの事や。 
 コイツは勝負事が大好きな男みたいな女や。 
 いっつも何も言いもせず何時の間にか勝負事にしてくる。 そして,負けたら当然,罰ゲや。
 どんな罰ゲームさせる気や? 俺は,スッゲェ不安に成った。

「今日の罰ゲームは……お弁当忘れたからご飯買ってきて!」

 何や。 初日だけあって大した事,無い罰ゲームやな。 俺は,改めて安堵に肩を下ろす。

「所で,お前……足,大丈夫か?」
「……これ位でガタは来ないからさ。 一々,心配しなくて良いですよ先輩?」

 俺は,そっかと頷いて歩き出す。 
 歩いていると俺の制服の左肩の当りに,桜が舞い落ちて来た。
 俺達を学校へと招待しとる様に見えた。 桜吹雪が舞い上がって綺麗で……
 俺達は,是から始まる一年が希望に溢れたものになりますようにと願った————


                  ————春風プロローグ THE END



                                   
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