コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 透明度五十パーセントの非日常。 ( No.10 )
- 日時: 2011/05/31 17:55
- 名前: 風琳 碧羅 ◆bimZ8KrNKc (ID: 2RWcUGdy)
- 参照: 意味不明方向に絶賛進行中。
二 カオス過ぎる再会
自称半魚人の兄から逃れるべく、学校へ行く支度を急いでやっていると、不意に玄関のチャイムが鳴った。兄が「僕出るよー」と言っているのを押さえて、扉の取っ手に手を掛けた。兄を出させるとロクな事がないという事が分かり切っていたからな。これでも一応兄が就職の為に俺の家に来てから一カ月一緒に暮らしてるんだ、この兄の馬鹿さ加減にはもう慣れないといけないんだ。
しかし、こんな朝早い時間に誰だ……?
ゆっくりと扉を開けてみると、其処に居たのは女性、俺や兄貴と同じようなやや茶色がかった癖のない髪に、大きな焦げ茶色の瞳。整った顔立ちは白く、主観でも客観でもきっと「綺麗」な部類に入るその女性は、俺のよく知る人物だった。即ち——俺の姉。そして一応、明と双子だったりもする。勿論二卵性の。
「歩っ! ああー、会いたかったぁっ!」
開口一番がこれだった。呪われてるのか俺。
だってそうだろ。いきなり抱きよせて来て頬を擦りつけてくるんだぜ、自分の姉が。いかれてるとしか思えないこの行動は、素でやっているから余計にたちが悪い。なんで俺の家族はこんなにも変人ぞろいなんだ。嫌になって来るぜ、本当に。
しかも兄がやってくるしな。誰かが家の前を通りかかったら通報でもされそうだ。
「あ、茜姉さん。お久しぶりです」
「明君も。久しぶりね」
何故か火花が散ると言うね。だってそうとしか言いようのない空気に満ちているじゃないか。所で姉さん、そろそろ学校行きたいんだがな。
「明。あたしの歩に勝手に手を出してどういうつもりなのかしらね」
「茜も。何で歩に抱きついているのかな」
意味が分からない。わっつ? 何でそんな言い争いになっているんだ、誰か説明してくれよ。と言うか何だ。さっきの丁寧口調も喧嘩の前兆ってか。おかしいとは確かに思ったけどよ。
茜姉さん、そろそろ放してくれないと俺は学校に行けない。放してくれないか。なんてこんな空気の中では言えない訳だ、怖すぎるから。この二人は恐らく俺の知る中で一番相手が厄介な人だと記憶する。
試しに「学校に言ってもいいか」と言ってみる。
この先は予想通りだと言っておこう。もう滅茶苦茶読めてたよ、この二人がどんな行動をとるかなんて。
言った瞬間「歩は黙ってなさい」と茜姉さんに却下され、図り合わせたかのように二人は姉の手から逃れた俺を捕まえ、部屋の方へと連れて行く。律儀にドアの鍵を閉めて。
結果的に俺は自分の部屋へと連行され、二人を相手に色々された訳だ。色々……と言うのはちょっとまぁあれだ。言いたくないな。……何しろ俺の男としての未来が掛かっているからだ。
「歩ーっ! あぁーっ」
時折姉さんが意味不明な声を上げたりする。正直、滅茶苦茶不気味。だってな、外ではこの姉さん、なんて呼ばれているか分かるか? 「最強最悪の女」と。まぁ、中学高校時代に色々やらかしたらしい。だから俺からすると、家でこうやって俺だけには一応甘いのがもしかしたら偽善じゃないのかなんて思う訳だ。
こういう訳で、俺は少々この姉に恐怖を覚えたりすることも少なくない訳だ。特に今——俺の手足を何処からか持ってきたロープで縛りつけている時とかな。
「って、ちょ、姉さんっ!? 俺なんで、ちょっ」
「何か問題でも?」
あり過ぎだ、畜生。何普通に返してるんだよ、普通に問題大有りだよ。というかこれで問題ないという姉さんは頭がどうかしているとしか——
「あ、歩。今日はあたしと一緒に寝たいのよね」
——うん、頭がおかしい。確定。俺そんな事ひとっ言も言ってねえし。
しかも兄貴が横から「歩は今日、僕が面倒みてやるの」と意味不明な事を口走ってる。一応言っておくが、今はまだ朝だからな。今日はまだ優に十六時間はあるからな。ちゃんと考えて行動しろよ。
しかも地味に力強いし。俺一応学年でも結構力は強い方だと思ったんだがな。
……俺の兄姉は普通にカオス過ぎだ。