コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 透明度五十パーセントの非日常。 ( No.17 )
- 日時: 2011/06/16 18:19
- 名前: 風琳 碧羅 ◆bimZ8KrNKc (ID: 2RWcUGdy)
- 参照: うーんと。こいつら……馬鹿だ、正真正銘の(
九 そして狂うよ何処までも
結局、彼女を俗に言うお姫様だっこで連れて行き、それでも掴んだ手を放してくれない為に、保健室に居た。一時限目の開始のチャイムが鳴るのが聞こえた。どうせもう皆勤は取れないんだ、無視するに限る。
「……ん…………」
時々彼女が寝返りを打つたびに、可愛らしい声が漏れる。このまま居ててもどうしようもない為、とりあえず俺と一緒についてきた男友達に声をかける。
「なぁ、櫂。お前、彼女になんて聞いたんだ?」
「……あのな、里桜が自分で言うって言ってるんだから俺に聞いちゃいけないだろ?」
「いや、だって本人寝てるし」
俺がそう言うと、彼は困ったように腕を組んだ。ちなみに今更だが、コイツの名前は『真藤櫂』という。俺の一番仲の言い男友達だ。最近御園さんと一緒に居る所をよく見かける。その時は大体御園さんが真剣な顔で何かを話しているようだから、俺は近づかないようにしている。だから彼女とどういう関係なのか未だに知らない。
「……そうだなぁ…………。少しだけなら……」
櫂がそう言いかけた時、びくっと御園さんが動いた。そして、ゆっくりと起き上がる。「大丈夫?」と櫂が声をかけても、何も返事をせずに、ただ虚空を眺めていた。
俺も試しに「大丈夫か」と声をかけてみる。すると、彼女は急激に眠りから覚めたようで「だ、大丈夫ですっ!」とまたもや頬を赤らめながら答えてくれた。どうでもいいが、毎回頬を赤らめられるとこっちもこっちでちょっとビビるんだな。本当どうでもいいことだが。
「え、あ、えっと……。あ、あひゅむくんっ」
「……え……っと…………」
普通に舌を噛んだようで、再び紅潮する。その仕草が結構可愛いと思ったらいけないのだろうか。彼女はもう一度「歩君っ!」と言い直して俺に向き直った。
何故か櫂は心底楽しそうに俺を見てから「里桜、俺は外に行っとくな」と言い残して、部屋を出て行ってしまった。
何が何だか分からず残された俺は、御園さんに「ちょっと待ってて下さいね」と言って、保健室の先生の所へ行ってしまった。すぐに彼女は戻ってきて、そして彼女はいきなり、それこそ唐突すぎるぐらいに言った。
「歩君っ! 大好きですっ!」
嗚呼、狂ってしまいそうだ。