コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 透明度五十パーセントの非日常。 ( No.19 )
日時: 2011/06/17 18:50
名前: 風琳 碧羅 ◆bimZ8KrNKc (ID: 2RWcUGdy)
参照: ちょっと忙しくなってきたのでさくっと完結させる事にする。

十一 『お前らもうくっつけよ』

 目を覚ますと、真っ先に見えたのは黒い瞳だった。続けて、黒い髪が目にとまる。そして「大丈夫ですか?」というソプラノの声。
 俺はゆっくりと体を起こすと、周りを眺めた。

「よう、歩。起きたか」
「……櫂か。御園さんも、すまないな。俺、倒れたのか?」

 俺がそう言うと、櫂は笑って「お前らもうくっつけよ」

 ……チョイ待て。
 それとこれとは話が違う。そもそも、おま、俺の事心配してたんじゃなく、冷やかしに来ただけか。帰れ。
 とりあえず言っておくが、今は授業中だぜ。朝っぱらから休むんじゃねぇ。


「だからな、お前が倒れたのは里桜に告られたのが原因だろ? だったらもう、くっついちまえよ。そうしたらほら、色々と」
「スマン、櫂。俺にはお前の思考が読めない。それから色々ってなんだ、色々って。何もないだろ」

 俺がそう言うと、御園さんが「歩君! やっぱりわたくしじゃ駄目なんですか!」と涙目で訴えかけてくる。

 この二人の相手もう無理。俺には無理。先生何処行った。誰か助けてくれよ。

「……あー。もう、よく分からねぇ」
「歩君がわたくしと付き合ってくれたらいいんです! それだけなんです」

 あー、その事なんだが。

「お前ら二人って、付き合ってたんじゃなかったのか?」
「は?」「どういう事ですか?」

 二人とも目を丸くして、俺の言葉に反応した。
 数秒遅れて櫂が「里桜に歩について聞かれてただけだ。どういう女の子が好みだ……とか」

「…………」

 俺はなんだか申し訳ないような感じがして、何も言葉が出てこなかった。

 俺は暫く考える素振りを見せてから「いいよ」と小さな声で呟いた。
 御園さんが、え、と言って俺の方へ可愛らしい瞳を向けた。


「……付き合ってもいい」
「本当ですか! 嬉しいですっ!」

 彼女はその言葉の通り、その場で飛び跳ねていた。その様子が実に可愛らしい。

「やっとか。奥手野郎は本当に面倒だな」

 俺の方を見て、櫂がそう口にしたのが聞こえた気がした。