コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 兄弟の絆。 ( No.5 )
- 日時: 2011/05/26 18:38
- 名前: 風琳 碧羅 ◆bimZ8KrNKc (ID: 2RWcUGdy)
- 参照: 終わりそうだw
四 残念な再会
翌日もまー四時にたたき起こされると思いきや、何故か九時まで放置されていた。起こしてくれよ。知ってるか、毎日学校遅刻してるとあれだぜ。生徒指導に目をつけられるんだぜ。
目を覚ますと目の前で半魚人は悠々と踊っていやがるし。一応ラジオ体操のつもりらしい。物凄く気持ち悪いが。
「アユムー起きたぴょ? 今日は一日かけて地球一周レースするぴょ!」
断言する。一日じゃ絶対無理だ。何考えているんだ。もしかしてその為のラジオ体操か?
……俺は棄権させてもらおう。誰がなんと言おうと絶対に参加したくはないね、そんな変なレースには。危険すぎる。
「アユム、アユム。ぼくの事、嫌いなのかぴょ?」
デジャヴ。発音が難しいが、何か本当にこれを感じた。何故だか……本当に分からないが。
いや。今少し何かがひっかかった。思い出せ。これは何だ。……前にも、同じ事を言われた事があるような気がする。誰にだったか。
「アユム? ぼくの事……」
不安そうに見てくるこいつを無視し続ける訳にはいかないんだろうが、それでも無視して思いだそうと必死に脳を動かす。
「……アユム? あ、もしかして——」
誰だった? とても身近にいた人だった気がする。
「——僕の正体に気が付いた、歩?」
思いだした! そうだ、十年前に同じ事を兄に訊かれ、そして一昨日半魚人が持っていた写真は、確か兄が撮って隠していたものだ。
「明兄さんか!」
「勿論。よく分かったねー。というか、気付くの遅すぎ」
そう言って、着ぐるみの中から現れたのは、昔よく遊んでいた四歳年の離れた兄、道明寺明だ。
「久しぶりの再会だからさ、吃驚させようと思ったのに中々気付いてくれないんだもん。焦っちゃった」
ていうか、焦るぐらいならとっととそれ脱いじまえばよかったのに。
「だってそうしたら面白くないじゃん」と口を尖らせる兄。やっぱ立場逆転現象は未だに起きているのか。
「てことで、気付くの遅かった罰。この写真、歩の学校に持っていって校内新聞にでも載せてもらうね」
させるか!
……その写真は俺が幼いころ、この狡猾な兄に騙され、子供用のビキニを着させられた写真だ。……しかも、自分で言うのもなんだが異常なほど似合っている。俺からすると思いだしたくない過去ナンバーワンだ。
そんな写真を広められたら——俺は女の子扱いされ、今まで男装していた痛い奴になってしまう。俺の性別は男であり、女ではない。戸籍も男として登録されている。
「……冗談だって。ま、僕さ、就職先がこの近くになって、一緒に暮らす事になるからその心づもりで居てね。明日荷物も持ってくるから」
前に兄と暮らした方がましと言った記憶がある。
それを今、撤回しよう。
やはり、俺の日常は憂鬱なまま過ぎて行くようだ。
『憂鬱だ!』と今、叫んでみたい。