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Re: 透明度五十パーセントの非日常。 ( No.9 )
日時: 2011/05/29 15:26
名前: 風琳 碧羅 ◆bimZ8KrNKc (ID: 2RWcUGdy)
参照: おかしい方向に進んでいます(


一 壊れて行く非日常

「歩ぅー。僕の朝ご飯が飛んでったー」

 飯が飛ぶわけねーだろ、馬鹿が。自身の兄を一瞥し、自分で作った朝ご飯に手をつける。この兄は馬鹿だが何故かいい大学に進学して、しかも大手企業に就職ときた。おかしいだろ、こんな野郎を採る連中も。一応見た目は中々いい。俺と同じ茶色がかった髪に、焦げ茶色の瞳は普通に人がうらやむ程綺麗で、肌は滅茶苦茶白い。しかも顔は整い過ぎているとしか思えない。スタイルもいいしな。聞いた話では滅茶苦茶モテて、毎日のように告られていたらしい。しかもそれを全て「やだ」の一言で一蹴したんだと。
 明日から兄の飯作らないでおこうかと考えている最中、その『馬鹿で愚かな自分と血が繋がっているかどうかすら分からない、たまに変装して気持ち悪い半魚人の姿になっている見た目はいい変人』が話しかけてきた。

「歩。僕は『馬鹿で愚かな自分と血が繋がっているかどうかすら分からない、たまに変装して気持ち悪い半魚人の姿になっている見た目はいい変人』じゃなくて、半魚人ぴょ。それで、僕の朝ご飯がUFOみたいにぐるんぐるーんでびょんって飛んでったんだけどどうすればいいぴょ?」

 おお、何で俺の考えが読めたんだ、凄いな兄貴。なんて言うかボケ。しかも地味に自分が半魚人だと認めやがった。というかこんな奴と俺本当に血が繋がってるなんて思いたくないんだが。しかも、何だ。何故語尾に『ぴょ』とかつけてるんだ。
 それに擬音語ばっかりで全く意味がわかんねぇ。どうすればいい、って言われても、俺が見たのはお前が皿をぐるぐると回しながら「フリスビーだぞぉー」とか言って投げた所だけだ。結果的にお前が悪い。結論、お前が投げたからだ。証明終わり。

「あ、歩ぅっ!? それはあんまりだよっ! 僕お腹空いて飢え死にしちゃって不良になっちゃうぴょ!」

 いやいやいや、明らかおかしいだろ。と心の中で突っ込む。というか朝からこんなエネルギー使ったら今日乗り切れる気がしねぇよ。意味不明だ、特に俺の兄貴。そして俺の兄貴。最後に俺の兄貴。

「僕、其処までおかしい人間だとは思わなかったよ」

 そうだよな、お前は半魚人だもんな。
 嗚呼、疲れた。さっさと学校行くか。


 後から考えると、この時俺は、これ以上日常が壊されていくなど思ってもいなかったんだ。