コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

 --切り取り線に沿って千切ろう-- プロローグ ( No.4 )
日時: 2011/10/15 23:55
名前: 神楽 ◆wzyGZ0ZRQk (ID: qlgcjWKG)
参照: *、 この気持ちが簡単に伝えられるのなら——

  4/3  am 08:26

  天気快晴  気温21℃  菊上キクノウエ町菊上学園中校門前



 四月初旬にしては暑苦しい気温、天気に恵まれる事のできた入学式当日。校門の脇に植えてある桜の木は無事に小さいが蕾をつけていた。中には今日の日を祝福しているように花をつけているのもある。そして新入生の生徒、在校生の生徒が、その桜のアーチをくぐりながら校門を通っていく。
 こんなどこにでもありうる入学式の一コマ。だがその風景にどうしても馴染めない部分がある。

 「ハジメちゃんの馬鹿っ !! 入学式に遅れちゃうじゃんか !! 」

 親子連れでやってくる生徒の中を、新品の菊上中の制服を着て逆走する少女が一人。


 菊上中新入生。栗原茜クリハラアカネ。茶色の髪を横に束ね、前髪を綺麗に切り揃えている。今でいう『パッツン』だ。目が人形のように大きく、顔が極端に小さい。色白で頬が桃色に染まっている。身長も極端に高く、足も長い。まさにモデル体型。


 他から見れば確実にモテる。だが、顔と違い性格がそうでないのだ。


 「調子に乗ってんじゃねぇよ。あんの糞あまめっっ !! 入学式に遅れたらどうすんだぁぁ !! 」

 このように、暴言吐きまくりだ。周りにいた人達も離れていく。だが、そんな事を気にする彼女ではない。むしろもっと酷いことをぼやいている。その時。

 ドンッ !!

 茜の肩と誰かの肩がぶつかった。顔を上げると美少年がそこにいた。読者の皆様は「なんてベタな展開なんだ」なんて思っているでしょう。しかし。

 「春ちゃん !! 何処にいたのさっ !! 遅れちゃうよ」

 茜が少年の手を引く。だが何処か違和感がある。それは下半身を見れば分かるのだが。     少年はズボンでなく‘スカート’をはいていた。そうだ。この少年は——いや、少女なのだ。


 女男ならぬ、男女。赤崎春アカザキハジメ。こちらも菊上中新入生である。黒髪のボブで前髪を結び後ろにもっていっている。目が切れ長で、綺麗な顔立ちをしている。それは、‘美少女’というより‘美少年’だった。しかも背も茜と同様高いので拍車をかけていた。


 校門の周りにはもう生徒がほどんどおらず、皆校舎に入っているようだった。桜の木の下置いておいた鞄を持ち、片方の手で春の手をひき、校舎に入る。幸い二人は同じクラスだったようだ。
 教室に入ると見慣れない顔がいくつもあった。とりあえず前後で座ると指示があるまで春と話を始めることにした。他愛の無い話をしていたがよく見てみると周りは話していない事に気が付いた。


 入学式が始まり校長先生の長ったらしい話を聞き流す。これからの中学校生活が楽しくなると願いながら。