コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 金曜日(ほとんど)に出る三題話!みんなで書くページ! ( No.13 )
- 日時: 2011/06/28 22:41
- 名前: 北野(仮名) (ID: uel54i.x)
今回は北野(仮名)のやつだよ。結構長かったりする。
二週間かかりました。
お題は辞書、時計、文化祭
「お前達はすでに方位されている!さっさと籠城を止めて出て来い!」
そう校舎の中の、自分自身の教室の前に誠二が着いた時、本物の警官…と呼ぶには程遠い紛れもない警察のコスチュームを身に付けた高校生がメガフォンを目指して丸めた紙の塊を口に当ててさもそれらしく大声を張り上げた。そいつから数メートル離れた所で群衆がおろおろと眺めている。
「何だよこれ?出し物にしては過激だな」
「出し物じゃない!マジで変な奴らが来たんだ」
「ハァ?テレビの見すぎだ。どけ、ここは俺の教室なんだよ」
「なんで信じてくれないんだよ!?」
「あのふざけた格好見て信用しろと?」
さっきから叫び通している妙な同級生を指差した。
「あれはうちのクラスがああいう喫茶で…」
「黙れ。俺は入る」
そして部屋に入ろうとドアに手を掛け、ぐっと力を込める。だが、僅かにカタリと反応しただけでそれ以上の進展は無かった。中から鍵がかけられているようだ。全く折角の文化祭になんでこんな…
「誰だ今開けようとしたのはぁっ!?」
野太いおっさんの怒鳴り声が響く。向こう側からドアが、ガタガタと揺れるほどに殴られた。
「えっ…もしかして実話なのか?」
「さっきからそう言っているだろう!?」
「一体何が…」
「遡ること10分前の話だ」
《《《《《《》》》》》》
「いらっしゃいませ。注文は何に…」
「いるかぁっ!!」
いきなりうちのクラスの出し物(喫茶)にやってきた三人の大人は椅子に座ったにも関わらずすぐに立ち上がり、銃を取り出した。ゴトリと重量感を感じさせる漆黒の外見が本物だと物語っていた。
「キャアアァッ!!」
その凶器を目の前に差し出されたら、クラスの女子は一斉に悲鳴を上げた。男子は驚きで悲鳴すら叫べなかったが。何にせよ、危機的な状況に変わりは無かった。その五月蝿い状況を鎮めるため、その3人組は弾を校庭側の窓ガラスにぶっぱなした。ガシャーンと激しい音がして、ガラスは粉々になり、パラパラと外に降り注いでいった。教室は完全に恐怖に占拠された。そして意味の分からないことをほざきだした。
「腕時計と辞書を持って来い。分かる奴にはこれで伝わる」
それだけ言って教室の鍵を閉めてほんの数人の人質を取ってたて籠もった。
《《《《《《》》》》》》
「尚更あいつ何やってんの?変にキレさせたら危なくね?」
「もう言ったよ!一向に言うこと聞いてくれないけどね!!」
「あいつ最低だな…」
なんかもうだるいから戻ろうと思い、踵を反したその瞬間、さっきの説明に出てきたあるいくつかのワードがフラッシュバックした。
……腕時計と辞書?
一旦見放そうとした自分だが、重要なことを思い出し、ガバッと物凄いスピードで振り替える。
…分かる奴には、分かる?
まさかあいつらの狙いは、宝具じゃないだろうか。だとしたら見過ごす訳にはいかない。誠二がそう悩んでいたとき、情勢に変化が起きた。
ズンッ!!!
腹の奥に音の衝撃が突き抜ける。まるで太鼓を目の前で叩いているようだ。ただし、威力が比べものにならない。叩きつけられると言うより、体中を押し潰し、貫通させるような重撃、何が起こったのかは瞬時には理解出来なかった。さっき、腹の奥に衝撃が突き抜けると言ったが、実際は背中を介して腹の裏側から貫くと言った方が正しそうだ。体を掻き毟る感覚を与えるほどの音量、そこまでうるさいとどこが発信地か分かりづらいが、今のは確かに背後から、教室の反対側の窓の外から聞こえてきた。つい先ほどしたように瞬時に後ろを振り替える。目に移ったのは驚愕の景色、黒の流動体で視界は埋まっていた。それが窓から侵入してくる前に、咄嗟に窓をさっしに叩きつけた。黒煙はもうもうと流れるように飛び揚がって行く。火山の噴火のように煙は留まるところを知らない。黒きの中にチロチロと蛇の舌のように深紅の一筋の光が揺れる。煙が少しずつ晴れていくのにしたがって炎の強さは対照的に強くなる。最後に、完全に晴れたとき、眼前にあったのは到底現実とは信じたくない
光景だった。
「……嘘っすよね?」
そこには、ありえない物があった。いや、あるはずの物が原型を止めずにそこにあった。爆炎に包まれながら体育館は瓦礫の山と化していた。屋根は吹き飛び、床の板はめくりあがり、コンクリートからは鉄骨が顔を出している。確か体育館では吹奏楽部のコンサートをしていた…
「守人に告ぐ。早く持って来い。急がないとあの光景が現実になるぞ」
一体何を言っているんだ?すでに体育館は爆破されている。そのとき、頭の中で何かが弾けた。
「まさか……」
もうすでに他の守人はあいつらの手に落ちた…そうとしか考えられない。信じたくはないが…とするとこの宝具は映写機か。確かあれの効果は立体映像の照射だったはずだ。
「一つ教えておく」
ドアの向こうから声が響く。ガラス越しのぼんやりとしたシルエットで分かることはあっちにいるのは二人で、片方は大柄の男だということだ。
「ついさっき一人の仲間を外に出した。守人が自分から出て来なかったら手当たり次第に……な」
「めんどくせぇっ…」
ったく何だってんだよ。普段勉学に勤める俺たちを悼む気持ちを持ってくれ。全くしょうがないなぁ。とりあえず誠二はロッカー室に向かって歩きだした。